txt:稲田出 構成:編集部
今年のNABの総括をAfterNABshowで考える
2017年5月30日の大阪グランドフロント大阪に続き東京秋葉原のUDXにおいて、6月1日~2日の2日間After NAB 2017が開催された。After NABはラスベガスで開催されたNABで出展された最新機器やサービスでの成果をいち早く日本に紹介することを主な目的として2013年から毎年開催されている。今年は48社の出展があり、初日は1,348人、2日目は1,456人の来場者で賑わった。
- Vol.01 After NAB Show Tokyo 2017レポート01
- Vol.02 After NAB Show Tokyo 2017レポート02
- Vol.03 地味に重要なHDRとSDRが混在する時代のワークフロー
- Vol.04 注目の360°VRの課題は、どこで、なにで、なにを見るのか
キヤノン
キヤノンは2017年5月31日に発表された新フォーマットを搭載したEOS C200や、昨年発表になっていたものの発売が延期されていたEOS C700 GS PLのほか、EFシネマレンズのCOMPACT-SERVOレンズシリーズとしてCN-E18-80mm T4.4とCN-E70-200mm T4.4、4K対応リファレンスモニターDP-V2420やラックマウントタイプのDP-V1710などの新製品を出展した。
EOS C200は4K DCI(4096×2160)/60p対応の新しいビデオフォーマット「Cinema RAW Light」および、4K UHD(3840×2160)/60p対応のMP4を搭載しており、CFastとSDメモリー2種類にそれぞれ別フォーマットでの記録が可能。デュアルピクセルCMOS AFを搭載し、すべてのEFレンズでコンティニュアスAFや顔検出AFに対応しているほか、新規アクセサリーのLCDモニターLM-V1により、モニター画面上のピントを合わせたいところをタッチするだけで目的の被写体にピントを合わせられる
EOS C700 GS PLは最大15Stopの広ダイナミックレンジを持つCanon Log 2を搭載しているほか、Codex社のレコーダーCDX-36150を装着することで、最大120Pの4K RAWを記録可能。なおEOS C700 GS PLはPLマウントとなっており、先に発売されたEFマウントモデルとは異なりデュアルピクセルCMOS AFに対応していない
CN-E70-200mm T4.4。昨年発表されたCN-E18-80mm T4.4に次ぐCOMPACT-SERVOレンズシリーズの第2弾で、幅広いズームレンジでドキュメンタリー制作や報道現場での撮影のほかスポーツやネイチャーの遠方撮影など、さまざまな撮影現場に対応する
4K対応リファレンスモニターDP-V2420。HDRとSDRの映像を左右に表示可能で輝度レンジや階調のほか、明るさなどの違いを一目で確認できる。EOS C500やEOS C300 Mark IIなどの4K Cinema RAW映像をディベイヤーしてモニタリング可能なほか、カメラのメタ情報を取得してその内容の表示も可能
ラックマウント対応の4KリファレンスモニターDP-V1710。 ITU-R BT.709のほか、DCI-P3やDCP-P3+、Cinema Gamut、ITU-R BT.2020、ACES 2065-1をサポートしており、Canon Log、Canon Log 2、Canon Log 3、Hybrid Log-Gamma(HLG)、SMPTE ST 2084などに対応している
ブラックマジックデザイン
ブラックマジックデザインはNABで発表した新製品DaVinci Resolve Micro PanelやDaVinci Resolve Mini Panelのほか、昨年傘下となったFairlightのDAW機能を統合したDaVinci Resolve 14やATEM Television Studio Pro HD、ATEM Television Studio HD、Thunderbolt 3搭載のキャプチャ&再生ソリューションUltraStudio HD Mini、URSA Mini Pro、Fairlightコンソールの48フェーダーモデルなどを出展した。
DaVinci Resolve 14は今回のバージョンアップによりFairlightのDAW機能が統合され、DaVinci Resolve 14を中心にDaVinci Resolve Micro PanelやDaVinci Resolve Mini Panel、Fairlightコンソールなどを組み合わせることで、それぞれ専用のシステムとして運用できるだけでなく、ファイルの共有やワークフローがシームレスに対応可能となった。
DaVinci Resolve Micro PanelはUSBバスパワーで給電できるように設計されており、デスクトップのほか、フィールドでの作業にも対応可能
DaVinci Resolve Mini PanelにはLCDが装備されており、選択しているツールのメニューやコントロール、パラメーター設定などが表示可能。またツールの切り替えやカラーコレクターの追加、ノードツリーのナビゲーションの設定などを行うボタンが装備されている
ATEM Television Studio Pro HDはSDI×4とHDMI×4の合計8入力が可能なスイッチャーで、ソース/プログラムビデオ確認用のLCDのほか、マルチビュー出力にも対応の出力がSDIとHDMIの2系統装備されている。姉妹機種のATEM Television Studio HDはコンパネが省略されている以外は同等な機能を備えている
ATEM Television Studio HDやThunderbolt 3搭載のキャプチャ&再生ソリューションUltraStudio HD Miniなどの新製品も出品された
Blackmagic URSA Mini Pro。EF、PL、B4、NikonFなどマウント交換が可能で、Bluetoothによりアイリスや色温度、感度などのリモートが可能
Fairlightコンソールの48フェーダーモデル。オーディオエンジンは最大1000トラックで192kHz 24-bitに対応。DaVinci Resolve 14にオーディオページが追加されオーディオ収録や編集、ミキシングのほか、フィニッシングやマスタリングなどが行える
AJA Video Systems
AJAは、4K対応レコーダーKi Pro Ultra PlusやH.264レコーディングとストリーミングを可能にした小型コンバーターHELO、4K対応のキャプチャカードKONA 4などを出展。Ki Pro Ultra Plusは4K/60pまたはHDを4チャンネル収録可能なレコーダーで、ポータブルタイプのレコーダーでHDをマルチチャンネル収録が行える製品となっている。HD収録は独立して設定が可能で、LCDには4分割されそれぞれのチャンネルのモニターが可能。入出力はSDIのほかオプションでファイバーケーブルにも対応。収録フォーマット化4K/UltraHD/2K/HDのApple ProResまたはAvid DNxHD MXFとなっており、専用のSSDパックに記録するようになっている。
Ki Pro Ultra Plusは4K/UltraHD 50/60pに対応しておりApple ProRes HQ収録が可能なほか、最大1080 50/60pのHD信号を最大4チャンネルApple ProResコーデックにて同時に収録が行える
H.264レコーディングとストリーミングを可能にしたHELO。SDIとHDMIのI/Oに対応しており、CDN配信しながら、同時にSDメモリーカードやUSBストレージのほか、NFSやCIFSプロトコル対応のNASにH.264ファイルとしてエンコードし収録可能
KONA 4はSDのほかHD、2K、4Kまですべてを10-bit 4:2:2/4:4:4サンプリングで処理が行え、HDR 10およびHLGに対応。また3G-SDIx4本を接続することで最大120fpsまでのAJA Rawをキャプチャ可能
IDX
IDXはVマウントタイプリチウムイオンバッテリーDUO-C190およびDUO-C95の後継機種DUO-C198とDUO-C98のほか、ソニーUタイプマウントバッテリーSB-U98、SB-U50やソニーLタイプマウントバッテリーSL-F70、SL-F50などの新製品を出展。また参考出展として、オンボードのLEDライトを披露した。バッテリーは内部のバッテリーセルを厳選することで、いずれも容積あたりの容量が大きくとれるようになっており、共通のセルを採用することでコストダウンを図っているという。
LEDライトは、カメラに取り付けることを主な目的として設計されたENGライトと、背面にマグネットが仕込まれた1cmほどの厚さのLEDライト3種類で、いずれもバッテリーは内蔵されており、USBコネクターから給電して充電するようになっている。
Vマウントタイプの高容量リチウムイオンバッテリーDUO-C198、DUO-C98。形状の工夫によりグリップ性能が向上したほか、バッテリー残量が10段階になりきめ細かなチェックが行える
SL-F70、SL-F50。7.2VのX-TAP出力とUSB出力に対応しており、Lタイプの充電器のほかX-TAP充電器LC-XT1による充電が可能
SB-U50、SB-U98。D-TAPとUSB出力を搭載しており、D-TAP対応の小型ライトなどに給電可能なほか、USB機器の充電も行える。Uタイプの充電器のほか、D-TAP充電器での充電も可能
ファイスライトタイプ1。色温度を3200-5600Kに可変できるほか、0-100%の調光も可能。USBからの充電で約1時間の点灯が可能。LEDは個別点灯となっており、個々のLEDのばらつきや調光時の色温度がないように設計されている。マグネットのほか1/4ネジにより三脚などに取り付けられる
ENGライトFL-200E。色温度を3200-5600Kに可変できるほか、0~100%の調光も可能なほか、DMXによるコントロールにも対応している。電源は7.4-24Vとワイドレンジとなっており、Lタイプのバッテリーや12V外部給電など様々な電源に対応可能。明るさは1mで1050Lux(5600K)
txt:稲田出 構成:編集部