txt:小寺信良 構成:編集部
いい意味で期待を裏切られたBIRTV
8月23日から25日まで3日間の予定で、中国は北京で開催される映像機材展「BIRTV」を取材した。数年前に仕事で北京には何度か来たことがあるのでそれなりに勝手はわかっているつもりだが、このショーを取材するのは初めてである。
会場となっている展示場は、建物はかなり古いがホールが10棟もあり、総面積としては幕張メッセのメインホールを全部合わせたぐらいの感じだろうか。建屋は10棟あるが、実際には老朽化した一部の建物は取り壊されており、展示は8棟で行なわれていた。大きな建屋が複数並んでいるあたりは、昔の映画撮影所のような雰囲気もある。
実際に中を見てみるまでは、正直あまり期待していなかった。どこかで見たことがある、おもしろグッズ的な撮影アクセサリばかりだったらどうしようと思っていたのも事実だ。だが、いい意味で期待を裏切る充実度だった。
大手メーカーのスマートな展示
確かにメーカー直営のブースは日本の大手メーカーに限られ、それ以外のメーカーは地元輸入代理店の出展というかたちとなっている。したがって同じメーカーの製品があちこちのブースにあるという「ダブり感」はある。だがそれは昔のInterBEEもそうだった。
いわゆる「長屋」的な展示も沢山ある
詳しい製品は後日のレポートに譲るが、展示としては国外大手メーカーの製品を押さえつつ、中国オリジナルメーカーによる製品開発もかなりレベルが上がっている。撮影アクセサリのような「作り物」だけに留まらず、クラウドサービスやソフトウェアの展示もかなり多かった。
クラウド・ソフトウェア系の展示も充実
ただテーマ性というか、くくり方が日米の感覚からするとしっくりこないところもあり、ある部分だけを見ればいいという人にとっては、展示が探しにくい点は否めない。
もちろん、どこかで見たことのある製品があるのも事実だ。製造を中国工場に発注しているうちに技術があがり、最終的には同じようなオリジナル製品が製造できるまでになったというところかもしれない。そうした製品が、オリジナルメーカーのすぐ裏のブースで展示されている。
加えてシネマ関係ということでは、劇場用の椅子からポップコーン製造機まで展示している。確かにここに来れば関係するもの全部が見られるのだろうが、映像機器展としては振り幅が広すぎだろう。
劇場用レーザープロジェクタから椅子まで、何でも展示
だがこのような混沌こそが、中国らしいのだろう。この有り余るパワーの中から、オリジナルのモノや発想が生まれてくる可能性もある。パソコンやスマートフォンがそうなったように、我々の映像業界もまた、中国企業に席巻されるときが来るかもしれない。