「AU-EVA1」を入念にチェックする岡カメラマン。詳しいレポートが期待できそうだ
txt:小寺信良 構成:編集部
ついにAU-EVA1の実働モデルが登場! | Panasonic
昨日はお昼に北京入りしたため、午後3時間程度しか会場を見て回ることができなかった。今日が本格的な取材である。まず向かったのはパナソニックのブース。NABではチラ見せだったスーパー35mmシネマカメラ「AU-EVA1」の実動モデルが展示されていた。
日本ではまだ情報が少ないカメラだが、ハンドルやビューファインダを外してかなり小型化できるようになっている。詳しくは動画レポートや、岡カメラマンのレポート(近日公開!)を見ていただいたほうが早いだろう。
昨年のInterBEEあたりから、局内インフラはSDIでいいんじゃないかという方向性を打ち出したパナソニック。参考出展された「AV-HS8300MC」は、そうした方向性を具現化した12G-SDI入力対応の4Kスイッチャー。SDI 1本で4Kの接続ができるため、本体規模としては従来のHDスイッチャー並みのサイズを実現したところがポイントだ。4Kながら80in/40outを実現した、4M/Eスイッチャーである。
参考出展の「AV-HS8300MC」
またHDとの切り換え運用も可能で、その場合は160in/80out/8M/Eと、2倍のスペックとなる。今回の展示ではコントロールパネルは既存モデルを流用しているとのことだが、逆に考えれば既存製品ユーザーであってもコンパネはそのまま、本体入れ替えだけで4Kオペレーションが可能になるという点では、キツキツで設計してある中継車やスタジオサブなどは、卓周りを作り直さなくてもよいというメリットもある。すでに日本国内では受注しており、年内には数ヵ所に配備されるという。
現地の放送機器メーカー社長に訊く | HDAVS
せっかく中国まで来たということで、中国オリジナルの放送機器メーカーにお話しを伺った。HDAVSは北京に本社を置く総合放送機器メーカーで、ENGカメラ、スタジオカメラ、レコーダー、編集システムなどを幅広く手がけている。
社長の呉 会森氏は、ソニーやパナソニックなど日本企業における中国市場担当を歴任した経験があり、中国製の放送機器を作ることを目標として2005年に創業した。現在は中国最大の国営放送である中央電視台(CCTV)北京本社内の機材のうち、半分程度はHDAVSの機材だという。
自社製品を解説する社長の呉 会森氏
日本との関わりも深く、日本国内にも錦糸町に関連会社を持っている。呉社長自身も日本に帰化しており、錦糸町にお住まいだそう。ハードウェアの製造は中国だが、設計は日本で行なうことも多く、部材調達も日本で行なう事も多いという。
HDAVSのカメラシステムでは、記録メディアとしてiVDRを採用している。iVDRは、ご存じの方はもう少ないかもしれないが2000年初頭に日立、アイ・オー・データ機器、三洋電機らでコンソーシアムを立ち上げたインターフェース規格だ。ストレージには2.5インチHDDを採用し、一時はPC用リムーバブルディスク、テレビレコーダなどの製品も出たが、あまりパッとせず現在に至っている。
記録メディアにiVDRを採用しているのはユニーク
iVDRを採用している理由は、現在では圧倒的に低価格で入手できるところで中身的には日立(HGST)製だという。中国ではまだ4K放送の予定がなくHDがメインであるため、HDDの速度でも十分対応できるという。
またドラマなどの制作現場では4Kでの収録も始まっている。4Kカメラ向けとしては、SSDタイプのiVDRを使用するという。iVDRはインターフェース規格なのでストレージは何を採用してもいいわけだ。
同社が開発中のENGハンドヘルド「HDC-1280」
メディアサイズが大きいため、開発中のハンドヘルドカメラ「HDC-1280」もやや大型だが、センサー部が交換できるようになっており、HDから4Kまで同じボディで対応できる。このカメラで世界進出を狙うという。