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txt:酒井洋一/編集部 構成:編集部
16mmカラーネガフィルムの現像出しは個人や小規模プロダクションでも可能
Vol.02では、16mmカラーネガフィルムとデジタルで撮影を行ったANIME GIRLのMV撮影現場を紹介しました。ANIME GIRLのMV撮影は、カメラマンの小林基己氏や撮影部チーフの小林英彦氏、筆者も含め、みんな「フィルム撮影久しぶりだね」と少し懐かしさを感じつつ、温かさと緊張が混ざったいい雰囲気の現場でした。
Vol.03では、撮影済みの16mmカラーネガフィルムを現像出しするための基本的な手順や知っておきたい知識を紹介します。
今回は、「コダック VISION3 500T カラーネガティブフィルム7219」の400ft(1秒24コマで約11分撮影可能)を2缶購入。合計800フィート分の撮影を行いましたが、撮影済みのカラーネガフィルムは、現像を行わなければ上がりを映像として観ることができません。
また、国内で映画用フィルムの現像をサービスしているのは、東京現像所とIMAGICA Lab.、レトロ通販のみ。特に東京現像所とIMAGICA Lab.は、どちらも劇映画、テレビコマーシャル、短編映画、ミュージックビデオのフィルム現像で日本映画界を影で支えてきた大御所的存在ですが、個人や小規模プロダクションでもフィルム現像の依頼は可能です。今回は、東京現像所にご協力を頂き、現像を依頼することとなりました。
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ANIME GIRLのMV撮影では、合計で800フィートのカラーネガフィルムを使って撮影を行いました
(01)電話で現像出しを連絡
必ず前持って東京現像所に電話で連絡をします。東京現像所の営業部の電話番号は042-485-9915です。営業部に取り次いでいただき、
- 依頼したい内容を説明。「現像+スキャン」または「現像だけ」など
- 依頼したいフィルムの種類と量
- 持ち込む予定日時
を伝えます。これらの情報を伝えると、かかる費用と納期を教えてくれます。
ちなみに、フィルムは現像のみ行い、フィルムだけ上がってきても何もできません。現像と同時にスキャンを依頼し、グレーディングや編集可能な状態で上げてもらうのが一般的です。しかし、今回の東京現像所への依頼は、フィルム現像のみとしました。
料金の目安は、現像は100巻(100フィート)の16mmカラーネガフィルム1本現像で約1万円、スキャンは約1万円とのことです。
(02)東京現像所に撮影済みのフィルムを持ち込み、受付を行う
あらかじめ連絡をした日時に撮影済みフィルムを持ち込みます。東京現像所は、映画や映像関連企業が多い調布市にあります。調布駅は、京王線新宿駅から特急を利用すれば約15分で到着できます。
撮影済みフィルムの保管には、高温などの劣悪な環境を避けるように気をつけたほうがいいでしょう。コダックでは、保冷剤とフィルムを同梱して保冷・運搬できる「KODAK Motion Pictureクーラーバッグ」を販売しています。
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東京現像所の最寄り駅は京王線調布駅
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撮影現場での定番アイテムのKODAK Motion Picture クーラーバッグ。ヤフーにあるコダック公式オンラインショップやAmazon、ヨドバシ.comで購入できます
東京現像所は調布駅から徒歩10分のところにあります。建物に入って受付を行います。現像とスキャンを依頼したい場合は、ハードディスクを一緒に渡します。初めての取引の場合は、住所や名前の登録が必要になります。
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調布駅から徒歩10分の住宅街にあります
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受付は、建物の中に入ってすぐのところ
(03)缶表を書く
受付で、現像をどのような条件で行うかを明記する缶表を書いて貼ります。缶表は、東京現像所やIMAGICA Lab.など各社独自のものが用意されています。
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東京現像所で使われている3種類の撮影済缶表
缶表で特に重要な情報は、
- 撮影時のコマ数(例:24コマベースでの撮影)
- チャート撮影の有無
- ロールナンバーの1、2、3など
- 減感、増感の有無
とのことです。撮影時のコマ数は、現像だけの場合は問題ありませんが、その後スキャンする際に重要になる項目です。ロールナンバーは、現像の上がりの際に指定した順番につなげて納品するための情報です。
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缶表を書いて、フィルム缶に貼ります
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3枚のうちの1枚。このように情報を書きました
以上で、現像出しは完了です。
現像に関する疑問、質問を東京現像所に聞く
フィルム現像を出す際の手順や疑問について、東京現像所の営業本部、山口省一氏に話を伺うことができましたので紹介します。
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酒井氏:カラーネガフィルムの現像とスキャンにかかる費用は、いくらぐらいですか?
山口氏:現像とスキャンの金額は、100巻1本でそれぞれ1万円になります。スキャンは、ProRes 422 HQ、LogのDPXなどでお渡しすることができます。ですので、100巻1本の現像とスキャンで合計約2万円とご案内しています。
スキャンに使うハードディスクはこちらで用意しません。スキャン依頼の際には、データを入れてお渡しするハードディスクを忘れずにご用意ください。
酒井氏:「約」という形になるのは、増感や減感の処理で金額が変わってくるからでしょうか?
山口氏:100巻1本が約1万円というのは標準現像の場合の金額で、増感や減感を行う場合は、約1.5倍の金額になります。
酒井氏:400や800フィートなど、これからフィルム撮影を初められるカメラマンの方には、そのへんが1つの区切りになると思います。そのあたりの「400や800フィート現像とスキャンでいくら」のような感じで、東京現像所さんの中で、セットプライスを設定するような予定はありませんでしょうか?
山口氏:特に400フィートや800フィートで区切ることは考えていません。あくまでも100フィートで約1万円とご案内しています。料金は量にもよりますので、あとは要ご相談となります。
酒井氏:個人の方のお取引でも対応可能なのでしょうか?
山口氏:現金になりますが、問題ございません。これまで個人の方でもご連絡をいただいて、持ってこられる方もいらっしゃいました。
ただし、個人の方の請求書払いには対応していません。あくまでも現像前に料金をいただくか、現像終了後にお渡しするときに料金をお支払いいただく形になります。
酒井氏:依頼してから現像の上がりの目安を教えていただけますか?
山口氏:基本的には毎朝9時から現像を開始します。それまでに持ち込んでいただければ、当日中に上がります。ただし、それは先に連絡をいただければという条件になります。たとえば、大きな映画の作品が入っていて、ずっと現像機が回りっぱなしということもあります。そうすると、当日中に上がらない場合がでてきます。
酒井氏:スキャンの時間は別途どのくらいかかりますでしょうか?
山口氏:スキャンは現像プラス1日かかります。また、土日、祭日はこれらの作業自体はすべてストップします。
酒井氏:現像は毎日稼働しているのでしょうか?
山口氏:止まる日もありますが、基本的には毎日稼働しています。そのために、依頼の前には必ずご連絡をいただくことをお願いしてます。
酒井氏:スキャンをお願いする際に、ルームがあって立ち会いみたいなことはできますか?
山口氏:それに関しては行っていません。スキャンの立ち会いとなってくると、また別途となります。
酒井氏:現像を依頼する際に注意しなければならないことはありますか?
山口氏:スチル写真の現像は行いません。あとは映画用のフィルムでも「エクタクローム」と呼ばれるリバーサルフィルムがあるのですが、それは現像できません。現像液が違っているためです。
個人の方に特に注意していただきたいのは、まず一回電話していただいて、金額のご相談と、持ち込んでいただける日程、時間をご確認させていただくこと。それと基本、すべて現金取引でお願いをさせていただければと考えております。
Vol.04では、カラーネガフィルムのスキャンについて紹介します。
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