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シネマカメラのノミネート発表
カメラの新製品が多い年だった。特に今年は「100万円以下でミラーレスカメラ以上、シネマカメラ未満」のミドルレンジシネマカメラの新製品が各社から登場。「個人でも買えるシネマカメラ」が話題になった。さらに、12K解像度を実現したURSA Mini Pro 12K発売も忘れられない出来事だった。12Kで約114万円など、Blackmagic Designの発表にはいつも驚かされるばかりだ。
■Canon EOS C300 Mark III
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画素ごとにゲイン変えられる新開発のスーパー35mmのCMOSセンサー「DGOセンサー」搭載が話題になった。4K120Pのハイフレームレート記録が可能かつ、Canon Log 2でDGO駆動時には最大16+Stops相当のセンサーダイナミックレンジに対応する。さらにCinema RAW Lightを採用し、外部レコーダーを使用せずにRAWデータを本体内部に記録可能なのも魅力的だ。
■Blackmagic Design URSA Mini Pro 12K
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EOS R5の8K解像度を上回る、12K解像度対応のURSA Mini Pro 12Kが登場。センサーサイズはスーパー35mmで、12Kで60fps、8Kで120fps、4Kスーパー16で240fpsを実現。12K解像度をカメラ内部にBlackmagic RAWで記録可能。しかも、12K Blackmagic RAWのポスプロ作業はけっして重くないのも話題となった。12Kからの切り出しを活用して、いろいろな作品に使用され始めている。
■RED KOMODO 6K
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これまでのRED DSMC2は、個人所有できる価格のカメラではなかった。しかし、KOMODOは個人が購入できる価格帯で登場したシネマカメラだ。第一印象はとにかく小さい。キヤノンRFマウント対応で、センサーは6Kスーパー35mm、RED承認済みメディアのCFastに対応。特に競合他機種と大きく違うのは、風景が歪まないグローバルシャッターの採用や、この価格でありながらDSMC2と同じ16ビットRAWで幅広い編集が可能なところだ。
■Z CAM E2-M4
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Z CAM E2シリーズにマイクロフォーサーズ、EF、PL、Mレンズマウントに交換可能なE2-M4が登場。マイクロフォーサーズマウントは標準付属。マイクロフォーサーズCMOSセンサーを備えており、120fpsでDCIまたはUHD 4K記録に対応。ATOMOS NINJA Vの組み合わせで、ProRes RAW記録が可能。さらにスマートフォンで操作可能なのも特長。国内の販売価格が20万円以下というのも話題だ。
■Canon EOS C70
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60万円前後という価格でありながら、C300 Mark IIIと同じ低ノイズのHDR動画を生成するスーパー35mmの「DGOセンサー」を搭載。Canon Log 2/Canon Log 3に対応し、Canon Log 2でDGO駆動時には、最大16+ストップ相当のセンサーダイナミックレンジに対応可能。この価格でありながら、NDフィルターをボディ内に搭載している。ミラーレスカメラからステップアップして、本格的な撮影業務を行いたい方に注目のシネマカメラといえそうだ。
■Sony FX6
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本体質量0.89kgと小型軽量でありながらフルサイズセンサーを搭載のカメラ。15+ストップを超えるダイナミックレンジに加えて、4K120fpsハイフレームレート動画撮影が可能。デジタル一眼カメラαシリーズ譲りの強力なオートフォーカスに対応しており、ハイフレームレート撮影を行いながらのオートフォーカス同時動作も実現。電子式可変NDフィルターもしっかり搭載している。
デジタル一眼カメラのノミネート
これまでミラーレスカメラの動画機能は、フルサイズでボケを活かした動画が撮れるのを特徴としたスチルカメラのオプション的な存在だった。しかし、今年のミラーレス動画機能は8K解像度や高感度撮影撮影など、業務用シネマカメラを上回る仕様のミラーレスカメラ登場が注目を浴びた年であった。商業撮影の現場でもミラーレスカメラが選ばれる機会が増えてきそうだ。
■Panasonic LUMIX DC-BGH1
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GHシリーズの動画性能にプロの制作現場に対応する信頼性・拡張性を備えた箱型スタイルのミラーレス一眼。本来はミラーレスカメラカテゴリーの製品だが、特別にシネマカメラのカテゴリーで紹介する。民生機レベルの価格で、SDI、Genlock入力、PoE+給電対応、リモートコントロール可能なのは、BGH1を置いて他にはない。ボックススタイルを採用で、撮影現場に合わせて自由自在にカスタム可能なのも特長だ。
■Canon EOS R5
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8K30P動画撮影、12bit RAWの内部記録など、未来を先取りしたハイスペックを民生機のEOSで実現。キヤノンは、8K解像度は業務用CINEMA EOSシリーズとして市販化するのではなく、民生機のEOSシリーズとして実現してきたのは意外だった。8K撮影は「綺麗」という肯定的な意見が多数で、静止画として切り出したり、デジタルズームの素材として活用されつつあるようだ。
■Sony α7S III
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α7Sシリーズは、初代から暗所に強い動画カメラとして人気のシリーズだ。α7S IIIでは、高感度性能にさらに磨きをかけて、月明かりでも明るく撮れる高感度撮影が話題だ。最高感度はISO409600で、4K120P動画、4K 4:2:2 10bitに対応。追従性を高めたAF性能なども特長だ。
■Panasonic LUMIX DC-S5
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LUMIX Sシリーズで、小型軽量ボディでありながら、静止画と動画両面で高い性能を実現。動画は4K60P 10bit動画記録やAF追従のスロー&クイックモーション撮影など多彩な動画記録モードを搭載。動画記録時間は、4K60P/4K30P 10bit記録で30分、4K30P 8bit記録で記録時間無制限は嬉しい。ATOMOS NINJA Vと組み合わせて5.9K RAW対応も特長だ。
■FUJIFILM X-T4
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X-Tシリーズとして初めて、5軸・最大6.5段のボディ内手ブレ補正機能を採用。また、「フィルムシミュレーション」に、低彩度・高コントラストで重厚感のある「ETERNAブリーチバイパス」をラインアップ。動画撮影は4K60P 10bitや、ブレの少ない安定した映像を実現する電子式の手ブレ補正機能、フルHD240Pのハイスピード動画撮影などを実現している。
何が受賞するのか…?いよいよ発表!
PRONEWS AWARD 2020 ポストプロダクション部門のノミネート製品発表
- カメラ部門
ゴールド賞 - EOS C70
キヤノン
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ゴールド賞は、EOS C70とした。受賞理由は税別約60万円でありながら、EOS C70はC300 Mark IIIと同じ4Kスーパー35mm DGOセンサーを搭載。最大16+stopsのダイナミックレンジを実現しているところだ。
同クラスのシネマカメラの中でも、最大4K120P撮影、デュアルピクセルCMOS AF対応、mini XLR、NDユニット搭載と、バランスの良さが光った。C70はスーパー35mmだが、マウントアダプターEF-EOS R 0.71xでEFシリーズレンズをフルフレームレンズに近い視角で撮影可能なアクセサリーが存在するのもユニークだ。
キヤノンは、レンズとボディ、マウントすべてを手掛けているからこそ、手ブレ補正やAFの面で他社シネマカメラより一歩リードしてる部分もある。少人数現場でAFを積極的に利用したい場合に最適なシネマカメラといえるだろう。
- カメラ部門
シルバー賞 - RED KOMODO 6K
Red Digital Cinema
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シルバー賞は、KOMODO 6Kとした。受賞理由は手のひらサイズといっていいほど小型化を実現しながら、6K解像度とR3D形式に対応しているところだ。REDCODE機能を利用した編集の幅は、同クラスシネマカメラよりも頭ひとつぬき出ている。
さらにKOMODOの唯一無二の特長は、グローバルシャッター搭載だ。歪みを抑えたりフラッシュやストロボの撮影も可能。移動このサイズで用途の広いグローバルシャッターを備えたカメラは他には存在しない。映画やCMなどのポストプロダクションを絡ませる撮影ならば、KOMODOは大注目のシネマカメラといっていいだろう。
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