SXSW online 2021開催の目玉は、XRをふんだんに取り入れた事。サイバー空間にいつものオースティンの街が再現されると聞き色めき立った。毎年SXSWに参加しエキスパートもかなりいるが、さすがにXRの世界に強い人間は数少ない。
そんな中、VRガチ勢であるぴちきょがオースティンの街に舞い降りた。2019年にワールドプレミアだった「Ready Player One」の世界が現実にやってきたとも言える。今回メタヴァースの世界からやってきたぴちきょに、SXSW Online XRの世界の歩き方を指南してもらおう。
VRジャーナリストのぴちきょがみたSXSW Online XRの世界
txt:ぴちきょ 構成:編集部
VRChatで開催されていたSXSW Online XRのバーチャルオースティンの街を回りました。SXSW自体筆者は初参加です。今回XRがメインとなると聞き付けの参加。
開会の直前までXR版の入場方法のアナウンスもほとんどなく、一体VRChat上でどんなWorldが展開されるんだろう?!と不安になりましたが、蓋を開いてみれば、素晴らしいVRインタラクティブイベントでした。
全体MAPらしきものがどこにもないので、ざっと全体を動いて地理を把握しつつ、公式アプリで「VR」「SXSW Online」タグのついたイベントやセッションをチェックします。
初日はどこで何が行われているのか勝手がわからず右往左往しました。SXSWに参加しているベテラン組もさすがにVRには馴染みがなく、一緒に右往左往(笑)。Facebookのグループチャットで情報交換しながら協力プレイで乗り切る感じがまさに海外大型展示会です。
実際の劇場を模したパラマウント・シアターは目玉コンテンツのひとつ。毎日毎時間プログラムが上映されます。セッションはVRシアターからだけでなくアプリやWebブラウザからも視聴可能です。
メインセッション会場はザ・コンテンポラリーの3Fです。アバターをまとった登壇者が壇上でセッションを行い、思い思いのアバターが神妙に聴いたり質問しているのはとてもシュール(笑)。
今回SXSW映画の部でも受賞し、周囲の参加者にも絶賛されていた「4 Feet High」。車椅子に乗ったアルゼンチンの高校生の少女の青春コメディ。身体障害やジェンダーに踏み込んだストーリーも素晴らしく、主人公の視点で完全に映画の中に入り込む圧倒的なVR映像体験ができました。
ポータルをくぐるとレッドリバーストリートへワープ。私は行ったことがありませんが、例年の参加組によると街のつくりがそっくりで感動ものだそうです。現地に訪れたくなりますね。
レッドリバーストリートには、ライブ会場、バー、大聖堂、ライブ会場が点在しています。
ネットワーキング会場として毎日16:00からオープン。南アフリカ(遠い!)音楽ビジネスをやっている二人組と仲良くVRChatの良いところは、アバターなので、実際より気軽に声をかけやすいところ。みんな気軽に声を掛け合って雑談するので、どんどんフレンドの輪が広がりました!
日本のVRChatコミュニティにいると可愛い美少女アバターが多いのですが、SXSWでは皆無。写真から簡単に3Dアバター生成できる「Ready Player Me」を使ったリアルなアバターや、VRChatに用意されているパブリックのモンスターを使っている人が多く、文化の違いを感じます。普段から親しんでいるVRChatにいるにも関わらず、まさに海外にいるような、別のアプリを使っているような、不思議な感覚に陥りました。
さて、ネットワーキングにも以外も毎日さまざまなイベントが開催されています。本当に忙しい。午前3時には起きてThe Contemporaryで行われるセッションに参加。少し仮眠して6:00にEmpire Control RoomGarageへ出向きネットワーキング。終わったら音楽ライブを探しにMohawkやWTTOSへ。
日中は所々設置されているVR映像作品を鑑賞し…なんて日々を送っていたので体力的には限界です(笑)。
興味深いセッションや素晴らしいエンタメ作品だけでなく、世界のエンタメ関係者が一堂に会し交流を深められるのに399ドルの参加費は破格言ってもいいかもしれません。今回、主なコンテンツが音楽や映像だったのでVRとの相性は良かったとも言えますが、満足度が大変高く、VR展示会・見本市の大いなる可能性を確信しました。
開催するまでは甘くみていたSXSW Online XR。Worldそのもののクリエイティブも数々のセッションやインスタレーションも素晴らしく、それをPC+VRに比べて著しくスペックが劣るOculus Questでストレスなく体験できたことに感動しました。しかもVRなので現地どころか会場間の移動コストもかからないというのがまた素晴らしい。
初めての開催で運営側も手探り状態で日々方針をアップデート。情報もなかなか行き渡らず、日本のプレスや参加者たちと頻繁に情報交換しながら、時差に苦しみながら、セッションやパーティーを渡り歩くのはこれぞ海外展示会の醍醐味でもあり、とても刺激的な一週間でした!
今から来年の開催(SXSWスタッフがあるというようなことを匂わせてました 笑)が待ち遠しいです!
txt:ぴちきょ 構成:編集部