XF605 SCENES Vol.03

2021年10月末発売のCanonの業務用デジタルビデオカメラ「XF605」を実際のライブ配信現場に投入!日本マクドナルドフランチャイジー株式会社豊昇様主催のアルバイト従業員(以下:クルー)表彰式のライブ中継を担当した。

■機材構成
4カメ 4PCソース合計8チャンネルのライブスイッチングと画面構成

01ch:Canon XF605
02ch:Canon EOS R5 RF24-70mm F2.8 L IS USM
03ch:Canon EOS R5 CN-E70-200mm T4.4 L IS KAS S COMPACT SERVO
04ch:Canon EOS R5 CN-E 18-80mm T4.4 L IS KAS S COMPACT SERVO
05ch:PCタイトル
06ch:PC動画再生
07ch:PCパワーポイント
08ch:PC登壇者テロップ

Canon XF605 1台、Canon EOS R5 3台の合計4台のカメラスイッチング、グリーンバック合成、テロップ合成、カメラとパワーポイント素材の合成を行った。

今回の配信チームのテーマは「受賞されたクルーの皆様の表情!ステキな笑顔」

ALL JAPAN CREW CONTEST(以下:AJCC)は、日本マクドナルドが、1977年から開催している技能コンテスト。マクドナルドを支える約14万人の店舗クルーの技術とサービスの向上、モチベーションの向上を図るためにAJCCを毎年開催している。今回は、AJCCのフランチャイズ法人戦として行われた、豊昇戦表彰式におけるライブ中継業務を請け負った。コロナ禍に置ける授賞式であったため、受賞クルーを会場にお呼びすることはできず、各種素材を合成してライブ中継を行った。

受賞者の決定も、本番当日の午前中まで厳密な審査が行われたため、本番当日も、最終素材の制作に社員の皆さんは大忙しで編集を行っていた。お客様の会社で導入されていたカメラはEOS 5D/6D。EOS 5D/6Dで各店舗の各クルーを撮影したこともあり、今回の配信用カメラの選定もキヤノンでシステム構築を行った。

今回、最も大切なテーマは「受賞されたクルーの皆様の表情」。特に、素敵な笑顔、暖かい顔色など、忠実な顔色のカメラ映像が一番のテーマになる。複数台の「カメラの色」を慎重に合わせることが必須条件であった。

最近のライブ配信現場では搬入搬出時間、準備時間がとても短い場合が多い。現場に着いていからのインストールおよび搬入設置などで作業は盛りだくさんだ。その中でも短時間で最大の調整作業を行う必要がある。特にマルチカメラを使用する場合、各カメラの色合わせに多くの時間を割くことになる。基本的にはホワイトを基調に色温度を決定するが、カメラメーカーや機種、レンズの違いによる色合わせは、ある意味職人技が必要だ。

筆者がXF605で最も注目しているポイントは、カスタムピクチャーファイルの充実だ。Canon Log 3やPQ/HLG以外にも、BT.709のバリエーション、EOS Standard/EOS Neutralが搭載されており、幅広い環境へ対応可能だ。今回はEOS Neutralで設定した。

実際の現場で調整を行ってみたが、非常に短時間で3台のEOS R 5システムとXF605の色調整を人物の肌色スキントーンにしっかり合わせることができた。また、クライアントからの要望で、司会(MC)の女性を社内で制作された背景バックで合成することになった。グリーンバック合成をする時には、やはり顔色が少し変色することが時々あるが、違和感のないグリーンバック合成ができた。

配信カメラはミラーレスか?それともズームレンズのビデオカメラか?

インストール作業の中できっちりと色を合わせることができたEOS Rに搭載したレンズは以下のズームレンズを用意した。当日色々な都合で、カメラ位置が変更されることが多々あるからである。

  • CN-E70-200mm T4.4 L IS KAS S COMPACT SERVO(EF→RF変換)
  • CN-E 18-80mm T4.4 L IS KAS S COMPACT SERVO(EF→RF変換)
  • RF24-70mm F2.8 L IS USM

上記のズームレンズを搭載したR 5はライブ配信当日、「少しカメラの位置を変えてください」という要望に応えることができ、構図を適切に作ることができた。ミラーレスカメラの登場で、ライブ配信の中でも深度の浅いボケた映像は効果的な場合もが、ビジネスイベントや講演会などの中継カメラは、事前の打ち合わせで決めたカメラ位置に合った適切なレンズを使用してミラーレスカメラでライブ配信を行う現場が多い。

XF605はミラーレスカメラに劣ることのない高精細な画像を表現できることが当日の現場で実証された。カメラマンの猿田氏によるXF605の各種調整設定により3台のEOS R5とXF605の色調整は的確に行うことができた。技術的な目線だけではなく、今回のクライアントからも非常に綺麗な映像と大きく評価された。

配信現場でもXF605は、注目されるビデオカメラになるだろう。ズーム、フォーカス、アイリスリングを備えながら、35mmフィルム換算で約25.5-382.5mmのレンジをカバー。フルHD時は4Kセンサーを活かし、画質を保持したまま最大約30倍のアドバンストズームが可能だ。

今回はクライアントが用意したPowerPointの動画などに、会場から中継された社長のメッセージ映像や、表彰された方と本部の皆さんの合成映像など、色々な場面でカメラ映像とパソコンコンテンツの合成を行った。4台のカメラ映像と用意されたコンテンツのの合成映像は、自然な色合いを表現できたと思う。

私自身もこれまで他メーカーのミラーレスカメラや業務用ビデオカメラなどを多数使用してきたが、キヤノンのカメラおよびレンズを使ったマルチカメラのライブ中継は、やはり人の顔色肌色が忠実で綺麗に表現できると確信している。

ネットワークの接続による遠隔地へのエンコード機能 「IPストリーミング」で動画記録中(H.264)のIPストリーミング(H.264)が可能に

XF605にはネットワーク接続による遠隔地へのエンコード機能が搭載されている通常はカメラに映像信号HDMI/SDIケーブルからPCやエンコーダに接続してライブ中継を行うことが一般的だが、XF605にはいわゆるネットワークの有線ケーブル接続口が搭載されているように、ネットワークケーブルを接続することで、構内のLANに接続された場所から、別の離れた場所へ構内ネットワークへの接続で映像音声を送ることができる。

解像度はHDのH.264形式で最大9MBの転送レート。XF605はネットワークの中で直接IPへ映像を送ることができる。今回私が試したレコーダーはティアックのTASCAM VSRシリーズ。TASCAM VSRシリーズにXF605の映像を送ってみたが非常に綺麗で高精細な映像を送ることができた。

UVC対応。オンラインミーティングソフトへUSB接続

PCとのUSB接続によりWebカメラとしても活用できる。XF605はZOOMをはじめとするミーティングソフトの外部カメラとして使用でき、PCのインカメラと比べ高精細な映像を配信可能となる。

期待しているオプション

EOS R3と共通のマルチアクセサリーシューを採用しており、音声入力は外部4ch入力に対応。このマルチシューに対応するTASCAM製キヤノン用キットCA-XLR2d-Cが重宝する。カメラ本体が有している2系統のXLR入力と組み合わせることで最大4系統のXLR入力が可能になる。XF605のショットガンマイクロフォンとしてTASCAM TM-200SGを使用してみたが、全長153mm、質量53gと小型軽量ながら頑丈な筐体であり、超軽量なショットガンマイクとしておすすめだ。

まとめ

Canon EOSシリーズとXF605複数カメラの色調整が容易になった。ズーム、フォーカス、アイリスリングの3連リングによる操作性と機動力は素晴らしい。このスペックでこんなに軽い!業界最小クラス3本リング・4Kカムコーダー。EVF/LCD/HDMI/SDIのそれぞれ同時出力が可能とうことで"ライブ配信には最適"といえるカメラだ。

掲載承諾および協力:日本マクドナルドフランチャイジー株式会社豊昇


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