前編に引き続き、九州放送機器展2022(以下、QBEE)会場で気になったブースを紹介していく。
▶Vol.01 九州放送機器展2022レポート前編。手にして初めて分かる機材たち
Too(DropBox)
DropBoxのプラットフォームを使ったアドオンソフト「DropBox Replay(β版)」を参考出品。動画に関するコメントの収集、フィードバックの管理、修正作業、レビュー、進捗管理といった作業を1つのプラットフォーム上で行える動画コラボレーションツールだ。Replayタイムラインにフィードバックのコメントを書き込むことで作業の効率化を狙ったもの。今回はまだβ版のため簡単な実装とのことだったが、そのデモを見る限りβ版以上のクオリティを感じた。製品版ができたらまた見たいソフトウェアである。
ジャパンマテリアル
今回はMatrox製品をメイン展示。世界初の4K60P 4:4:4対応のIP KVMエクステンダーと、H.264でのエンコード/ストリーミングが可能なMonarch製品だ。このエンコーダーは遅延が非常に少ないのが特徴だという。
イメージニクス
イメージニクスブースでは4K HDMI 9画面ビューワー「HEV-U91」と、16入力16出力、12G対応マトリックススイッチャー「ISA-U1616」をメインに展示していた。HEV-U91は4Kモニターに色々な映像をマルチに出すことができ、ビデオ制作からサイネージまで利用幅は大きそうだ。今秋発売予定なのでInter BEE 2022では製品版の展示があると思われる。
朋栄
今回はIP/12G/3G/HD-SDIに対応した16系統のフレームシンクロナイザー「FA1616」をメインに展示。すでに中継車ではデフォルト搭載とも言える「FA-1010」の正常進化と考えれば間違いない機種の一つだ。
ヴィデンダムメディアソリューションズ
同社が取り扱うJOBYの2chワイヤレスシステムや、Rycote製のガンマイクなど、電子機器的な製品を多く展示。
もちろん三脚システムやジンバルに特化したFAST GimBoomに二股の脚を組み合わせた三脚はなかなか興味深い。
エヌ・イー・ピー
細かいガジェットなら何でも作ってくれるという同社だが、今回はブース内にHollyland製品を展示。同社のブースではSolidcom C1とベースステーションの展示だったが、他のブースではM1の展示もあった。九州のテレビ局関係者もしっかり見に来ていたのが印象的だった。
銀一
ムービー系カメラマンなら銀一=ステディカムがすぐに頭に浮かぶと思う。今回ももちろんメインはステディカムだが、同社は昨年から小物系のガジェットも色々と取り揃えている。
中でも面白いのはケーブルマネジメントツールのSprigだ。これは1/4、3/8インチネジに差し込んで使うケーブルストッパーの類。リグ組で余ったケーブルを簡単にきれいにまとめられる。
もう一つはいわゆるカチンコ、イギリスのFilmsticksだ。大きさが色々あるので現場によって使い分けるのもよいだろう。
日本ビデオシステム
同社の社長は現役カメラマン。彼が現場で欲しいと思った物を製品化するのでどの機材もカメラマンならその意味が分かる物ばかり。
今回展示したのはショルダー型の光伝送装置「ST-7 HIKARI」。文字通りハンドヘルドにショルダーリグを取り付け、光伝送を可能としたものだ。
システムカメラを入れる程ではない現場にはちょうどいいサイズ感だ。またラックマウントモニターを数種類展示。なかなか液晶モニターの部材が手に入り難い現状でこのラインナップは頼もしい。
総評
3年ぶりのQBEEは全く変わらず…と言いたいところだが、ソニーのブースがないのは正直残念なところ。しかし、来場者は相変わらずネクタイを締めたスーツ姿の方より学生が多いのはこの展示会の特徴で、これだけは変わらずだったのは嬉しいところだ。
QBEEの一番の特徴は、NAB Showで参考出品だったものが製品化されて展示されていることが多いことだ。つまり、NAB Show開催後のQBEEはなかなか面白い展示会なのだ。来年は全てが通常開催になることを期待したい。