Lexar(レキサー)といえば、1996年に設立されたアメリカ発のストレージメーカーとして、ご存知の方も多いだろう。日本でも多くのユーザーに支持されている。そんなLexarは2017年に中国のストレージメーカーLongsys(ロンシス)がLexarを買収、今年のCP+2024ではLexarが単独でブース出展、日本市場に再上陸した。

なぜこのタイミングで再参入したのか?また日本市場での今後の展望について、Lexar社アジアセールス・マーケティング統括部長、ウィリアム・ルー氏にお話を伺った。

ウィリアム・ルー/William Lu氏

Lexar Co., Limited.
アジアセールス・マーケティング統括部長

Lexarについて

Lexarとはどのような会社か教えてください。

ウィリアム氏:

Lexarは、メモリーカードからSSDまで幅広い高品質のストレージ製品を提供しています。28年前にカリフォルニアで設立以来、メモリーカードおよびデータストレージ業界のリーダーとして市場を牽引してきました。
2017年にLongsysによる買収後、我々はサプライチェーンと製品開発の設備を強化し、多くの主要市場に再進出しており、日本もその一つです。

Lexar製品の強みは何でしょうか。

ウィリアム氏:

当社は、他ブランドに比べて優れたコスト競争力を持ちつつ、社内開発およびテスト環境を整え、常に最高品質の製品を市場に提供できることが強みです。
具体的には、開発研究設備「Lexar クオリティ・ラボ」があり、有名カメラメーカーの機器を含む様々なデバイスとの互換性や速度を保証する環境を備えています。また自社開発のコントローラチップは排熱性と動作の安定性を両立させ、最適化されたファームウェアを通じてストレージ製品に優れた性能をもたらします。 さらに信頼できるウエハメーカーと提携し、製品の品質と信頼性を確保しています。

社内の開発研究施設「Lexar クオリティ・ラボ」

日本市場に再進出した理由

再び日本市場に参入した理由は何でしょうか。

ウィリアム氏:

日本のユーザーに対して信頼性の高い製品を自信をもって提供できるサプライチェーンが整ったタイミングだと判断し、この市場に再進出することを決定しました。
日本は高品質なストレージに対する強い需要がある重要な市場です。だからこそLongsysによる買収後、自社設備を強化し、流通規模を拡大させてきました。強化された流通網を駆使して、要求の厳しい市場のニーズを満たし、日本で強力な存在感を確立できると確信しています。
日本のメディアストレージ市場は競争が熾烈です。それでも我々は、日本市場に大きな可能性を見出しています。日本のユーザーはストレージ製品に対して信頼性を一番重視しています。
この「信頼」が日本文化において非常に重要であると認識しています。 そこで、我々はユーザーの声を広く集め、それらを迅速に自社の開発設備で検証し、製品に反映させることで、日本のユーザーとの信頼を築きたいと考えています。

日本市場への再進出成功の鍵は、「ユーザーとの信頼関係」だと述べるウィリアム氏

注力製品と市場戦略

今後、日本市場で特に注力したい製品は。

ウィリアム氏:

日本では、特にCFexpress 4.0製品、ハイエンドNVMe SSD「NM790」、防水・防塵・耐衝撃を備えた「ARMOR」シリーズなど新製品ラインを中心に高性能なSSDとメモリーカードに注力します。これらの製品は世界中で高く評価されており、趣味で撮影するユーザーからプロフェッショナルまで幅広い日本のユーザーのニーズを満たすと信じています。
また、カメラメーカーとのパートナーシップに力を入れており、Lexar製品はニコンやキヤノン、DJIなどの有名メーカーからAVL認証を取得しました。これらの認証により、製品が厳格な品質と性能基準を満たしていることが保証されます。こうしたパートナーシップにより、製品の信頼性と市場の評判が向上し、最高のストレージソリューションをユーザーに提供できます。

CFexpress4.0対応のType Bカード DIAMONDシリーズ(左)とType Aカード GOLDシリーズ(右)
ARMORシリーズは防水/防塵性能を備えた高耐久モデル。このシリーズではSDXCカード(左)とポータブルSSD(右)を展開
NVMe SSD「NM790」。排熱性と動作の安定性の両立を実現しているモデル

日本市場で重要視しているユーザー層はいかがでしょうか。

ウィリアム氏:

日本では、特にゲームやコンテンツクリエイターがターゲットユーザーとなっています。コンテンツクリエイターには高性能で信頼性の高いストレージソリューションが必要です。また、プロフェッショナル映像市場も我々にとって重要です。ストレージ製品の品質に高い要求を持つプロフェッショナルがターゲットです。
ご存知の通り、世界のカメラ機器シェアでも日本メーカーは大半を占めています。その背景もあり日本のクリエイティブ市場では、高速なCFexpress Type Bメモリーカードの需要が高まっています。
日本市場でのCFexpress Type BおよびSSDの販売に注力し、販売代理店とのパートナーシップを順次築いていきます。Lexarにとって日本市場は「試金石」と見なしています。日本での販売が成功すれば、それは投資家やパートナーにとって、世界の他市場でも高性能な製品をうまく販売できる証となります。

日本ユーザーへのメッセージはありますか。

ウィリアム氏:

日本市場に再進出することに、エキサイトしています。品質、技術革新、顧客満足に対する我々のコミットメントは変わりません。皆様のサポートに感謝し、Lexarの製品が期待を超えることを約束します。

Lexarは「信頼」というキーワードを重視し、カスタマーサービスやユーザーの声を製品に反映させる姿勢を大切にしている。高性能なSSDやメモリーカードを中心に、日本のユーザーに信頼される製品を提供していくLexarから今後も目が離せない。