映像に纏わるものであればすべてに食指が伸びるのが、映像集団ヒマナイヌ。業務用と民生用との役割があいまいになっている昨今この状況はさらに増すのは自明である。今日も西にデジタル一眼が発売されれば、即ゲット&検証!東にテープレスカメラがあれば、仕事の発注が来る前に商品注文して即検証!ひょっとしたらアイデア一つで明日の映像世界に貢献するのではないのか?そんなあまた存在するガジェットを独断と偏見で取り上げて紐解いていきたい。今回は何気に見落としがちな民生ビデオカメラの便利機能を取り上げてみたい。これが意外と使えるのよね。

Find the new in the old things,and the old in the newthings

撮った動画はテープからハードディスクの時代になっても見返す機会はあまりない。実時間で撮影したものは編集しない限り撮った当人以外が見るに堪えないからだ。その昔、8mmフィルムカメラが家庭で映像を撮れる唯一の手段だった頃、カメラはボタンを押している間だけ撮影できた。これは現像も必要な8mmフィルムが1本3分しか撮影できないこと、フィルム代と現像代が必要で高価だったという技術的な制限のためだった。そのため、2泊3日の旅行を1本のフィルムで撮影するなどが普通だった。しかし逆にその制限のおかげで撮影されたフィルムはすでに編集された映像となり、家族集まって映写機を囲んで楽しい上映会を繰り返しできた。

ビデオスナップという発明

ここにヒントがある。撮影時に編集していれば見返すに足る動画ができるというわけだ。キヤノンのiVISシリーズのビデオスナップ機能は、まさにこの8mmフィルム感覚の古くて新しい機能だ。カメラのビデオスナップボタンを押すと4秒のクリップが撮影できるモードになる。液晶画面には青い枠が表示され録画ボタンを押すとそれが1秒ごとにフレームインジゲータで録画が終了したことを教えてくれる。この4秒という時間設定が絶妙だ。3秒では被写体とその状況を説明するには短すぎ、5秒では並べた時に冗長に感じる。4秒は撮影するときの1カットの表現力・情報量とプレイリストにして並べて再生したときのテンポ感のもっともバランスする秒数であるといえる。

ビデオスナップモードにして家族と休日どこかに出かけたりするとビデオカメラをデジカメのように使うことに気がつく。ところどころでちょっと写真を撮るように動画を撮る。手のひらサイズだがハイビジョンなので情報量は十分。しかも4秒という制限の中でも十分にパンやティルトはできる。臨場感あふれるドルビーステレオ音声も同時に収録される。1枚の写真では表現できないその場の臨場感がそこに記録される。

さらに撮るだけではなく、カメラの中での編集も可能だ。その日撮影したビデオスナップだけをプレイリストにし、NGカットを削除していくだけで見るに足るダイジェストムービーが出来上がる。ビデオスナップではないモードで撮影したロングクリップも再生中に1ボタンでビデオスナップに切り出すこともできる。音楽をカメラ内でつけることもでき、プレイリストのままパソコンに転送してネットにアップロードすることもできる。

そう、ヒントはそこにある

編集をどうするのかではなく?全く行わないというのは、灯台下暗しである。4秒という制限を持つビデオスナップというネーミングはまさに言い得て妙である。映像制作ワークフローを考えるときには考えつかない発想だ。映像制作のヒントは様々なところに見え隠れする。視野を広く持ち、業務用、民生用など関係なくアンテナは伸ばしておくべきだ。これからの映像製作者には必要なポイントだと思う。先日納品した映像にビデオスナップを用いたことはここだけの話にしておこう。

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ヒマナイヌ

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頓知を駆使した創造企業