映像に纏わるものであれば、すべてに食指が伸びるのが、映像集団ヒマナイヌ。業務用と民生用との役割があいまいになっている昨今この状況はさらに増すのは自明である。今日も西にデジタル一眼が発売されれば、即ゲット&検証!東にテープレスカメラがあれば、仕事の発注が来る前に商品注文して即検証!ひょっとしたらアイデア一つで明日の映像世界に貢献するのではないのか?そんなあまた存在するガジェットを独断と偏見で取り上げて紐解いていきたい。
twitterとの連携で俄然面白くなるのが、生中継メディアUstream
ついにiPhoneアプリとしてもUstreamが登場!これで国民総ブロードキャスター |
今回は俄然熱い動画サービスについての話だ。動画サイトと言えば日本ではYouTubeとニコニコ動画が独壇場だろう。前者は世界中の映像コンテンツがいつでも視聴でき、後者はパラレルにアクセスした人々のコメントを同時レイヤー表示することで、時空を超えた一体感を味わうことができる。そんな中で最近よく耳にするのが「Ustream」というメディアだ。2006年にスタートしたこの動画生中継サービスだが、その高度な機能の割に注目されていなかったのは、「今、生中継している」状況をアナウンスする術がなかったからといえる。最近twitterというタイムラインメディアの浸透によって、Ustreamは多くの認知を得ることになった。イベントや講演をUstreamで中継していることをリアルタイムにクチコミで広げることができるようになり状況は変わった。さらにiPhoneから動画生中継できるアプリの登場が、その波及の後押しをした。
マッシュアップで大きな効果
ニコニコ生中継に似た特性を持つUstreamだが、一番の特徴はtwitterとの連携にある。例えば2時間のある講演会の動画中継を行う。イベント告知が行われていないために、当然生中継開始後は、ビュアーはゼロである。中継の主催者はまず自分のtwitterのタイムラインに中継がはじまった旨をアナウンスすることによって、ビュアーが増え始める。中継動画を見ながらソーシャルストリームのチャット画面に「この人の言っていることもっともだな」などとコメントするとそのコメントのあとにUstreamの中継URLが自動で付加されてタイムラインに流れる。このような流れを反復するうちに中継を見る人が雪だるま式に増えていくのである。
中継担当者のネットワーク規模がどのくらいかにもよるが2時間の中継なら300人から500人くらいまで増やすのはそう難しいことではない。さらにUstreamは動画中継したものをアーカイブとして録画できる。そのファイルの長さは事実上無制限であり1時間でも2時間でも可能。録画ファイルの持ち主ならその長いファイルからハイライトのA点B点を指定してブログにエンベッドすることも可能である。さらに自動でYouTubeにそのアーカイブもアップロードしてくれるというサービスぶり。
目の前で起こるその現実の拡張レベル
ヒマナイヌがデジタルハリウッド大学院で行ったtwitterに関する講演は会場に150人、2時間の中継で500人、1週間以内にアーカイブで2000人が視聴した。つまり会場に150人、Ustream経由で2500人が見たことになる。今、話題のARによる拡張現実という言葉を借りれば、現実拡張ということになる。現場で起こっていることをリアルタイム中継が、アーカイブ化され、瞬時に共有されていく。
また基本機能でもユニークな機能もたくさんある。タイトルのインポーズやYouTube動画の画面インポーズ送出などもできる。これはちょうどニュース番組内でのVTR映像のように「それでは、この参考映像を御覧下さい」行うことができる。さらに3台までの映像を配置することでもできるのでメインをwebカムの映像に、あとの2台を会場にいるiPhoneユーザーの視点にすることもできる。講演会からストリートミュージシャンのライブ中継までいろいろな応用が可能だ。
原点回帰。ライブの偉大さに飲み込まれるとき
PRONEWSでも2009年のInterBEEで「PRONEWS.tv Live」をUstream経由で配信したことは記憶に新しいはずだ。あらかじめ用意された機材をセッテイングして放送していた時代から、気が向いたときに、自分のiPhoneやネットブックから気軽に生中継をはじめられる時代に。メディアが多様化すればするほどライブに関心が向くことを感じる21世紀、現場にいる普通の人たちからの生中継は世界をどう変えていくだろう?メディアの革命ははじまったばかりである。twitterを筆頭としたWeb上のリアルタイム革命の潮流の最先端に「Ustream」というサービスは属する。映像が情報量の多い配信チャンネルと考えたときに、これからの映像クリエーターはUstreamの有効活用も考えていく必要があるだろう。ある意味かつてのTV放送が生放送だったように、そのダイナミックさは潔く且つ力強く生々しさが伝わる。ライブでその状況をどう編集するか?考えることが次世代メディアのキモなのかもしれない。