txt:林和哉 構成:編集部

全部入りGH5の機能を試す

随分久しぶりの更新になってしまった。今回デジタルシネマの歩き方としては、いかにもなテーマ「Panasonic GH5の速報」という形で進行したいと思う。筆者的には、プロダクトの面白いものは即座に買ってしまうクセがあり、年末にはα6500を買い「S-Log2、S-Log3と選べるのは良し」と、それはもう猿のようにアレコレ撮影した。アレコレが基本公表出来ないものばかりで心苦しい。今回は時期的にプライベート撮影も沢山出来そうなので、作例付レポートも随時やっていきたいと思っている。

動画と静止画の両方について混在した特長だが、筆者として響いた、面白そうな機能をざっと上げてみると、

  • 動画撮影のスペックが内部記録で4K/60p(4:2:0)30p(4:2:2)
  • 有効画素数20.3Mを実現した、新開発のLive MOSセンサー
  • ローパスフィルターレス設計により獲得した、高解像性能によるリアルな描写力
  • ローリングシャッター現象の歪みを抑える、高速の処理性能
  • 高画質6K PHOTO、秒間60コマ高速連写4K PHOTO
  • フォーカスセレクト
  • フォーカス合成
  • UHS-II(U3)SDカード対応
  • メディアダブルスロット(SDカード)リレー、同時記録、振り分け記録の3モード
  • ボディ内手ブレ補正(B.I.S.)搭載
  • 225点マルチAF
  • 4:2:2 10bit出力対応HDMIモニタリングスルー
  • VFR(バリアブルフレームレート)
  • 動画記録中の撮影設定変更が可能
  • フォーカストランジション
  • 雑音参照マイク内蔵
  • 動画フォトスタイル&シネライクガンマ設定

といった具合。GH5、特製ラーメン全部入り、といった様相を呈している。今回は動画部の方たちが気になるであろう部分をいくつか検証したので、その辺りを報告する。

発熱問題

まったく問題なし。連続記録もカードが切れるまで不安なく動いていた。動画記録中もそうでないときも、静かな所で注意深く聞くとちょっとだけファンの音がする。音量は、負荷の掛かったときもそんなに変わらず。この熱対策はネジ1本に至るまでを放熱の道具とし、放熱を緻密に積み上げていった結果だという。執念の集大成なのだと思う。

サイズ

試しに初代と並べてみる。横綱級に大きく育っている。さらに筆者はバッテリーグリップを付けるのが好きなので付けてみた。

これはもう、マッチョ。これくらい大きい方が一瞬を狩り撮る気合いが入ろうというもの。例えるならCanonの60Dくらいのサイズ感。ふと、GH5はある意味、全部入りでなんでも挑戦できる位置を良い意味で抑えているな、と思った。

試しにα6500と比べてみよう。αシリーズが小型でフルサイズ、というコンセプトをキープしてハイエンドフルサイズ&APS-C一眼市場を切り開いていく、という狙いだとすると、放熱問題では筐体を小さく維持している分、随分とハンディのある勝負をしているαシリーズと捉えられなくもない。こうしてみると、結構な勝負をしているな、と思うこの頃。

縦グリップ優先

今回もUSBポートからの充電はできないようだ。なので、バッテリー運用の場合はバッテリーグリップがあると良い。カメラのバッテリー優先順位をバッテリーグリップ優先(デフォルト)にしておくと、下記のようになる。

バッテリーが赤(縦グリップ内のバッテリーが赤)

なくなる

本体バッテリーに切り替わる

縦グリップバッテリーを交換する

自動的に縦グリップのバッテリーに切り替わる

その間RECは止まらない。なんて便利な!ただし重大な注意事項がある。バッテリーグリップ優先でバッテリーグリップから本体バッテリーに切り替わらないうちにバッテリーグリップからバッテリーを抜くと、電源が落ちる。くれぐれもご注意を!

電子接点付EFマウント

METABONES Speed Booster XL0.64は現段階でNG。ファームウェアアップ待ち。KIPON EF-MFT AF(Ver.2.6)が使えた。

Canonの大三元レンズのEF16-35mm F2.8L II USM(フルサイズ換算。×2で32-70mm)、EF24-70mm F2.8L II USM(フルサイズ換算。×2で48-140mm)、EF70-200mm F2.8L IS II USM(フルサイズ換算。×2で140-400mm)はバッチリ駆動。ISも効いた。24-70mmは本体の手ぶれ補正機能により、相当手ぶれに強くなっている。特にスチルでは良い。望遠系の明るいズームレンズが欲しければ、これは使える。

フォーカルレデューサーがないので、動画でワイドが足りないが、それはEFレンズ以外を使えば良いわけで、16-5mmの換算32mm~は切れ味はさておき、動画撮影時から使える。筆者は常用遣いにOlympusのM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROを選んだ。

切れ味、コントラスト、色のり、どれを取っても秀逸。撮った絵は無条件に心を動かす、かなりの名玉。F4通しなのでそれをカバーする明るいレンズとしてこのKIPONを使い、24-70mmで換算50mmスタートとして使用していこうと思っている。まだ試せていないがフォーカルレデューサー付も期待がもてる。切れ味重視ではフォーカルレデューサーなし。動画において明るさと簡便さを求めたらフォーカルレデューサーありを使う。棲み分けていくと良いだろう。2種類買ってもメタボより安い……。

KIPON BAVEYES EF-MFT AF 0.7x。こちらも大三元レンズ、正しく稼働している。ただ、IS無しのレンズは、本体内の手ぶれ機能も動かない……

EF70-200mm IS USM IIのテレ端200mm(換算340mm)開放f2.0相当。周辺光量落ちがあるがなかなか楽しい。撮って出しで何もしていない

手ぶれ補正

これが良好。テスト撮影では遠景の岩に打ち付ける波を撮る、という方法でテスト。GH5のキットレンズの、LUMIX G VARIO 12-60mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S.の望遠端である60mmを目安に、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO 60mm、EF70-200mm F2.8L IS II USM 70mmとしてみた。果たして。

■M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

揺り戻しのセンシティブさがないので、安定した撮影が可能。びっくりするくらいの安定度。三脚に立てたのか、と思うくらい。手ぶれ補正を切ってみると、まぁまぁ良く揺れている。安定して撮りやすい重さ。しっくりくる。

■EF70-200mm F2.8L IS II USM

手ぶれ補正は、レンズ側も含めて効いている様子。重いからかM.ZUIKOよりは揺れてしまう。試しに200mmまで寄ってみると、しっかり抑えないとダメ。望遠端は動画として考えると、止めようと思っても三脚上の手ぶれ補正状態で、揺れ戻しのセンシティビティが強く勝手に動いている、良くある状態。手ぶれ補正を切ってみるとめちゃくちゃ揺れている。

ちなみに、レンズ側のISスイッチを切っても即座に変更されない。電源のオン・オフで切り替わる。レンズ側のAF・MFスイッチを切ってもうまく反映されない。また、この操作をすると撮影中に絞りが勝手に開放値に開いて戻る、という挙動が!本番で起こさないよう気をつけよう。

■LUMIX G VARIO 12-60mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S.

EF70-200mm F2.8L IS II USMと同じくらいの挙動。思ったよりも手ぶれ補正が効きすぎて、揺れ戻しが強い。動画撮影時は注意が必要。しかし、あまりの軽さに正直びっくりする。レングスもスナップ撮影には持って来いで、これ一本ポケットに入れておいて損はなし!

この中ではM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROが、使えるレングス、切れ味、F4という動画部には程よい絞りの通しレンズということで現状最強か。

6K PHOTOという名の6K MOVIE

これは面白い。H.265圧縮で、最高5184×3888ピクセルの6Kサイズで、30コマの静止画撮影が出来るという機能だが、実際にSDカードに記録されるのはMP4。重たいので中間コーデックに変換してあげるべきだが、動画です。これはさまざまなことに使えそうな機能だ。まずはざっと気になるところを試してみたい。またしばらく、台風の目になりそうだ。

WRITER PROFILE

林和哉

林和哉

最新技術が好物でリアルタイムエンジンにゾッコン。Unity Technologies Japanの中の人。セミナー講師経験豊富。