カラーを別のクリップに適用させる6つの方法
ご存知の通り、ドラマだけでなく映像コンテンツのシーンは、ロングからアップまでさまざまなカットで構成されている。そしてシーンのカット割りに色調やコントラストなどカラーの違和感を感じないよう統一感をもって、カラーグレーディングされている。
ひとつのクリップに思い通りのグレーディングができた時に、同様のカラーを別のクリップにも適用させたい。そんな場合、皆さんはどんな手法を用いているだろうか?筆者がザッと揚げただけでも以下の6つの方法がある。
(その1)メインメニュー→「編集」メニュー→「コピー」と「ペースト」
ひとつのノードだけだが、いわゆるテキストの「コピー&ペースト」と同じ操作でノードのグレーディングを「コピー&ペースト」できる(図01-01)。
図01-01※画像をクリックすると拡大します
(その2)「1つ前のクリップのグレードを適用」「2つ前のクリップのグレードを適用」
最初に画面中央を左から右に並ぶクリップから、グレーディングを適用したい目的のクリップを選択する。次にメインメニュー→「カラー」メニューにある「1つ前のクリップのグレードを適用」または「2つ前のクリップのグレードを適用」によってノードグラフ(すべてのノード構成)とグレーディングのすべてを適用できる。(図01-02)。
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(その3)「選択したクリップにこのグレードをコピー」
同じく画面中央のクリップ上なのだが、今度はコンテキストメニューから操作する。最初にグレーディングしたいクリップ(複数のクリップでも可)を選択し、次に目標(見本や手本、ひな型と言った方が分かりやすいだろうか?)とするクリップ上で右クリックしてコンテキストメニューを開く。
「選択したクリップにこのグレードをコピー」を選び、ノードグラフとグレーディングを全適用する。3ボタン式マウスを愛用している場合は、中ボタンを使って同様の操作が可能だ(図01-03)。
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(その4)ショットマッチ
「選択したクリップにこのグレードをコピー」とよく似た操作であり結果も似ているのだが、決定的に異なることはノードグラフは引き継がれず、グレーディングの結果だけが適用されること。
最初にクリップ上でグレーディングしたいひとつ、または複数クリップを選択し、目標とする見本クリップ上で右クリックしてコンテキストメニューを開く。そして「このクリップにショットマッチ」する(図01-04)。
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(その5)メモリーに保存、メモリーをロード
まず目標とする見本クリップを選択し、メインメニュー→「カラー」メニュー→「メモリー」→「メモリーAに保存」(A~Hは任意)することでノードグラフとグレーディングのすべてがメモリーAに保存される。
次にグレーディングを適用したいクリップ(複数のクリップでも可)を選択し、メインメニュー→「カラー」メニュー→「メモリー」→「メモリーAをロード」(A~Hは任意)をクリックして適用する。※便宜上、メモリーとロードを同時に図表化している(図01-05)。
図01-05※画像をクリックすると拡大します
なお、このメモリーのグレーディング情報はDaVinci Resolveを終了してもリセットされないので、同じプロジェクト内ならば次回起動時にもメモリーのロードが有効だ。
(その6)ギャラリーのスチル
画面左上のギャラリーパネルに登録される「スチル」は、動作的にはこれまでの「コピー&ペースト」と大差ないのだが、機能の考え方がユニークだ。
ギャラリーへの登録方法はいたって簡単。
グレーディング済みのクリップを選択してビューアに表示し、そのビューア上でコンテキストメニューを開き、「スチルに保存」をクリックするだけ。今後のためにも、登録した「スチル」のコンテキストメニュー→「ラベルを変更」からスチル名を付けておくと良いだろう。(今回は「夕景」とした」)(図01-06)。
図01-06※画像をクリックすると拡大します
スチルには、ノードグラフとグレーディング情報がすべて保存され、コンテキストメニューからいつでも他のクリップに適用できる。ただし、グレーディングの適用には、「置き換え」と「追加」という2種類があるので注意が必要だ。
グレーディングを適用したいクリップを先に選択し、スチル上からコンテキストメニューの「グレードを適用」する。しかし、すでにグレーディングが進んでいるクリップでは、現在のノードがすべてリセットされ、スチルのノードグラフに置き換わってしまうのだ(図01-07)。
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現在のノードを生かしたまま、スチルのノードグラフを追加したい場合は、コンテキストメニューから「ノードグラフを末尾に追加」を選ぶこと(図01-08)。
図01-08※画像をクリックすると拡大します
さらにギャラリーの特徴として、現在のタイムラインだけではなく、他のプロジェクトのクリップにも適用可能な「PowerGrade」という機能がある。
この機能を有効にするには、ギャラリーのサイドウィンドウを開き、「PowerGrade」に、他のプロジェクトでも流用したいスチルをドラッグ&ドロップして移動する(PowerGradeだけでなくスチルパネルにも残したければ、Command+option(WindowsはCtrl+Alt)しながらドラッグ&ドロップすればコピーとなる)(図01-09)。
図01-09※画像をクリックすると拡大します
これでプロジェクトを横断して自由にスチルの適用が可能になる。
ギャラリービュー
最後に、別ウィンドウとして開く「ギャラリービュー」というスチルの管理画面ツールを紹介しよう。ギャラリービューはギャラリーパネル右上のアイコンから開く(図02-01)。
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ギャラリービューの上半分には「DaVinci Resolveルック」とそのサムネールが並び、下半分には「プロジェクトメモリー」と「プロジェクトスチル」のサムネールが並ぶ(図02-02)。
図02-02※画像をクリックすると拡大します
「DaVinci Resolveルック」には、ブリーチバイパスやムーンライト、マジックアワーといった演出されたカラーのひな形(ルック)が収められていて、LUTやエフェクトとは一味違ったカラー効果が期待できる。
これらルックは通常のスチルと同様に、右クリックのコンテキストメニュー/「グレードを適用」からクリップに適用できる。
気に入ったDaVinci Resolveルックをもっと気軽に使うには、ギャラリービュー下半分のプロジェクトスチルにドラッグ&ドロップして登録することでギャラリーパネルに表示されアクセスが楽になる(図02-03)。
図02-03※画像をクリックすると拡大します
また、ギャラリービュー左下には先の「メモリーに保存」されたサムネールが一覧表示されているので、プロジェクト内で登録したスチルやPowerGradeも含めて、視覚的にスチルとメモリーの整理整頓に役立つだろう。
別のクリップにグレーディングを適用する方法をいろいろと紹介した。皆さんの作業効率が少しでも上がればと思う。