ステディカムワークショップ

日本と外国のワークショップ、どう違う?第2回目のゲストは鈴木鉄男氏。

鈴木氏は、放送・VPなどの撮影を行う傍ら、大学講師としても活躍、現在「Steadicam Operator’s Handbook 日本語版」の年内出版に向けて翻訳に取り組んでいる。SOA Fall Philadelphia Workshop 2018に参加し、奥様も同行された(※同コラムでは奥様の感想も一部盛り込んでいる)。

ステディカムを手にしたきっかけ

元々、ENG(電子式ニュース取材)でディレクター兼カメラマンをやっていました。その中で、スポーツシーンで選手の並走などがあり、その時にステディカムがあればもっときれいに撮れるのでは、と思ったのがきっかけです。動くカメラのショットが多く、映画「シャイニング」などで使用されていたことで、ステディカムの存在は知っていました。

カメラマンとしてのキャリアは20代後半からです。今から15~6年前、放送会館で機材見本市というのがあり、ステディカムを展示していました。そこでトライしてみたのですが、当時は担げなかったので諦めていました。

何年後化にInterBEEの銀一ブースでもうトライして担げたので、もう1度トライしました。その時に正しい着方、使い方を学ぶ必要があると思いました。2013年からステディカムオペレーターとしてキャリアをスタートしました。

関わった中で印象的だった作品

ステディカムができることで、映画やPV、J1のサッカーなど、今まで関わることのなかった仕事ができるようになりました。もしステディカムに出会っていなかったら、他業界に転向していたかもしれません。それぐらい素晴らしい機器です。

ワークショップ参加の動機、苦労話

ステディカムワークショップ

やはり「正しく学びたい」というのがワークショップ参加のきっかけです。正しい使い方を教えてもらう必要があると思いました。

日本でブロンズワークショップ、シルバーワークショップを受講しましたが、私のクライアントは海外の人が多く、海外で学んでみたいと思いました。例えばフレーミングとか、コンポジションなど、海外では用語が少し異なることもありますので、そういうところを学べるといいなと。ステディカムを学んで、ステディカムでご飯を食べていけたら…と思っていました。

ステディカムワークショップ

海外のワークショップに参加した感想

渡航するまでに大変だったことは、現地情報が非常に少ない、ということでした。例えば交通手段、どうやって会場まで行けばいいのか?それさえもわかりませんでした。

リムジンを使えばいいと案内されましたが高額でした。レンタカーを借りていけば簡単なのですが、公共交通機関で行ってみようと思いました。途中まで電車で行くと、タクシーもなにもない駅で…。結局Uberを使いましたが(笑)。

前日に嵐が起こっていたので、道中は倒木があり、電車が止まってしまうなど…アクシデントもありました。宿泊先と会場が隣接しておらず、毎日乗り合いで移動しましたが、事前にそういう情報も入手できていませんでした。

現地で大変だったことは、食事が3食出ますが、お菓子類や飲み物などを買う場所がなく、Uberを使ってスーパーまで行きました。

それから気候についてもです。事前に話を聞き、ある程度の服装を用意していましたが、それにしても寒かったです。雨も降り、他の参加者も震えるくらいでした。天気予報だけ見てもイメージがわかないところがありますね。

現地でのアメリカンな食事
ステディカムワークショップ

奥様:食事がおいしかったですね。3食全ておいしかった。今までのアメリカ訪問で一番美味しかったかも。ただ、それなりに高かったです…(笑)。英語ができないのはやはり辛かったです。参加しているところを横で見られるだけでも大変勉強になったのは間違いないです。

かかった費用

ふたりで70万円程度でしょうか。内訳は、参加費45万円、宿泊費、航空料金が足されて60万円くらい。奥さんの航空券と食費で10万。今回は運良く見つけた航空券で行けたので、2人で10万円ちょっとで往復できました。

ワークショップ参加で得たものとは

ステディカムワークショップ

映画の画作りのことをすごく意識して構成されたワークショップでした。動き方、フォームはもちろんですが、最初から画作りをすごく意識させられました。ショットの作り方がアメリカベースで、場面から場面の転換、間のとり方など、日本ならカットで割りがちなところもステディカムで撮る。

インストラクター同士が話し合いながらその場で画作りしていくのも印象的でした。決まりきっていないというか、より良いものを常に目指していました。また、日替わりでオペレーターがインストラクターとして参加してくれたので、色々な立場や考え方を学ぶことができました。

ステディカムワークショップ

当初の目的であった外国クルーとのコミュニケーションや、ショットのイメージがやりやすくなったのは、非常に収穫でした。それから妻を連れて行ったことで、ギャレットから奥さんであるエレンさんの話を聞けました。

ギャレットは「妻は僕にとってプロデューサーなんだよ、だから君も旦那さんのプロデューサーになれば良いよ」と私の妻に声をかけてくれました。またワークショップの会場にはエレンさんも来ていて、ギャレットが日本のゴールドワークショップをとても良かったと話していたことも教えてくれました。

僕も日本のゴールドワークショップは見学に行きましたが、すごくよかったですね。

WRITER PROFILE

柏原一仁

柏原一仁

リリーヒルワークス代表。銀一株式会社にて映像機器・写真用品のセールス・マーケティングを経て独立。好きな食べ物はからあげ。