訊かせてよ。Vol.17

こんにちは。こんばんは。フリーランスの映像ディレクターの山本遊子です。久々の「訊かせてよ。」。連載当初からイラストを描いてくれている蛸山めがね先生にクリスマスバージョンのサムネイルを描いていただきました。いつもありがとう。今回はいつもの対談形式ではなく、今年の自分の仕事をふり返りながら、私から見えた今年の映像業界の姿について書いていこうと思います。

個人的には、今年は本当に色々な種類の映像を作った1年でした。昨年からのコロナ禍もあり、一斉に世の中が「何かアピールしなきゃ」→「映像でもやってみるか」みたいな流れになったのかな、と思います。

2021年前半:MV制作やアートディレクションに励みつつ、YouTUbe番組にも注力

まずは1月は女性ジャズシンガーのミュージックビデオを作り3月に公開しました。

訊かせてよ。Vol.17

また、2月はYouTube番組が始まりました。番組は7月まで続き、計75本作りました。こんな一気にたくさん作ったのは初めてだったかもしれません。この頃、全然別案件で東大のMOOCを作ったりしてました。

※編集部註:大規模公開オンライン講座(MOOC=Massive Open Online Course)。無償オンライン学習サービス

また2月は私がアートディレクションした配信スタジオがオープンしました。これはある意味遊ぶ感覚で好きな人たちと作れて楽しかったです。

2021年後半:配信イベント開催やWEBCMなどクライアントワークに奔走

5月と9月は私がプロデュースした配信イベントを開催しました。これは、本当にやったことなかったものなのでお恥ずかしいのですが、素敵なミュージシャンの方々と現場をご一緒できて光栄でした。

訊かせてよ。Vol.17
訊かせてよ。Vol.17

6月から11月まで某企業のインタビューシリーズを作り、WebCMなんかも作りました。で、現在12月から来年にかけては某施設のYouTubeチャンネルで子供向けオンラインワークショップのコンテンツを作ることになっています。年間通じて、テレビのレギュラーの仕事も続き、このWEB連載「訊かせてよ」は、6本みなさんにお届けできました。

走り抜けた2021年をふりかえってみて

そんなわけで、とにかく今年たくさんの仕事をし過ぎたからか、秋になったらガックリと鬱っぽくなってしまいました!なんと!知り合いの中年女性がのびのびとYouTubeで発信する姿を見てうらやましくなったり(いいなあ)、若いクライアントに「これなら自分たちでも作れる」と言われてしまったり(涙)、何か一緒にやりましょうってお声かけしたまま放置している案件もあります(すみません)。ともかく、映像ディレクターとしての立ち位置がなんというかグラグラ揺れた1年でした。異業種から映像の世界に参入してくる人も増え「動画クリエイターになって高収入!」みたいな広告もよく目にするようになり、んなわけねーだろ、とつっこみいれつつ、映像業界今後どうなっていくのかますますわからなくなってきました。

来年もますます映像は言語の代わりとなり氾濫していくでしょうし、誰でも気軽に「やってる感」をだせるメディアになっていくのではないかな、と思います。それゆえの人員削減、予算削減などもえげつなくなってくるだろうし…。若くて映像作ってる人の見える景色は違うのかもしれないけれど、私のような中年で個人で小規模に映像の仕事をしている人間に優しい世の中になっていく気は1ミリもしない…。なんて年の瀬にネガティブですみません。でもこれが本音です。

それで自分はこれからどうしていくかというと、来年もクライアントの意向を汲んで、納期と予算を守って、細かいところまで丁寧に…。そんな映像仕事をしていくしかないのかな、という結論に至っています。それを日常的にできるのがプロというものだし、どんな映像もひとつの星屑のようなもので。そういう意味ではこれからもたくさん星屑みたいなものを生み出せればいいのかな、とも思ってます。映画や何かしら作品めいたものを作りたい気分もありましたが、今の自分は出がらしのような感じなのでしばらくは無理かな、と思ってます。

というわけで、ざっくり言うと今年は疲れたな、と。許されるならちょっとしばらくほっこりしたいな、と。そんな気分でいます。みなさまも今年1年お疲れ様でした。来年はコロナがもっと収まって、自由でのびのびと普通に暮らせる年になるといいな。ともかくメリークリスマス!そして、よいお年をお迎えください。

WRITER PROFILE

山本遊子

山本遊子

フリーランスの映像ディレクター。1999年からテレビ、WEBなど様々なメディアで映像を作り続けている。うぐいすプロ