3年前のVol.42のコラムでも書いたが、最近さらにNDフィルターの重要性が増してきたと感じるので、関係してくるレンズフードのことも一緒に書いてみようと思う。
NDフィルターの重要性が増してきた理由
季節的に日差しが強くなりNDフィルターが必須になってくる時期ではあるが、重要性が増してきていると感じる主な理由はカメラ側にある。RAWやLogでの動画撮影が多くなってきた現在、そのベースISOもしくはネイティブISOとも呼ぶが、その感度が高くなってきているのだ。
理由は暗い所から明るい所まで階調が美しくなるようダイナミックレンジを稼ぐ意味もあるだろうが、例えば最近発売され評判がすこぶる良いパナソニックGH6は、その特徴を活かすダイナミックレンジブーストを最大限に活用するとなると、ネイティブISOは2000となる。さすがにここまで感度が高くなると外での撮影はもちろん、室内でもNDフィルターを使うのは必須になるのではないだろうか。
静止画の撮影であればシャッター速度を1/4000、1/8000と速くすることで対応可能な場面も多いだろうが、筆者が撮影することの多い俳優が出演する動画となると、照明はたいているうえフレームレートは24Pか30Pとなり、静止画でいうと1/48から1/60秒のシャッタースピードとなり、どうしても光を多く取り込んでしまう。その多い光をカットするのがNDフィルターの役割なので、どうしても使う場面が増えてきてしまう。
NDのあとにくる数字の種類
最近では様々なメーカーがNDフィルターを販売しており、馴染みのメーカーとの販売合戦が激しい。筆者はND8を一番よく使っているように思うが、ND4とND16は常にフィルターケースの中に入っている。NDのあとにくるこの数字の種類がいくつかあってわかりづらいので書いておく。
現在の、光量から一絞りF値を開けたい(数字の小さいF値、背景をボケさせたいなどの理由)、つまり光量を半分にしたい時に使うのはフィルターファクターと呼ばれる書き方のものであればND2、光学濃度(オプティカルデンシィティ)表示であればND0.3となり、これらは同じ量の光量を減らしてくれ、ビデオカメラに使われている1/2表示とも同じだ。
同様にND4はND0.6とND8はND0.9と同じということになる。細かいことをいうとメーカーによって若干の光量の減り方に違いがあったり、色の変化が見られたりと、これらが価格の差だったりするのだが、自分の懐具合で決めてよいと思う。ネットなどで検索すれば有名メーカー製でも安価に購入できる製品があるからだ。
NDフィルターに限らず、フィルターはレンズのフィルター径に合わせて購入するので、フィルター径の違うレンズを複数持っていると、そのそれぞれにフィルターが必要になる。それを避けるために、持っているレンズのフィルター径で一番大きなものに合わせて購入し、ステップダウンリングというアダプターをかませて小さなレンズ径に対応するというやり方があり、多くの方がそのような使い方をしている。
レンズフードの役割
ただし、問題もある。それはアダプターによってフィルター径よりも大きなフィルターがレンズに付くことによって規定のレンズフードが付かなくなるということだ。また最近多くなった可変(バリアブル)NDフィルターも装着するとフィルター径が大きくなったり、濃度調整レバーによってフードが付かないこともあるので注意が必要だ。
レンズフードを取り付ける理由は、強い光を受けたときにフレアやゴーストを防ぐ役割が主であるが、レンズプロテクトフィルターを付けたくない筆者にとってはレンズフードがプロテクターでもあり、雨や埃からレンズを守ってくれる役割も担っているので重要だ。
また、レンズフードを使用することで、カメラ周りが大きく重くなってしまうマットボックスの代わりになり、撮影機材を小さくすることに貢献してくれる。最近は新しいレンズを購入しても付属してこない場合もあるが、その場合は是非、レンズと一緒に購入して欲しいと思う。