米Google社は現地時間8月15日に、米Motorola社とMotorola Mobility部門を総額125億ドル(約1兆円)で買収すると発表した。

Motorola Mobilityは、今年はじめ旧モトローラが二分割されて出来たコンシューマ向けの携帯電話端末メーカー部門。買収計画は両社間ですでに合意に達しており、買収額は12日付け終値に63%ものプレミアムを上乗せした1株あたり40ドル。買収手続きは、年末か来年早々に完了予定だという。この買収によってGoogleは自社ブランドでNexusシリーズを展開するだけに留まらずデバイス製造まで保有することになる。

Googleの最高経営責任者ラリー・ページ氏が同日に公式ブログで投稿した説明によると、Motorola MobilityはあくまでAndroid ライセンシーのひとつとして、Googleとは切り離した別組織として運営されるとのこと。

「Androidをオープンプラットフォームとして推進するコミットメントに変化はない」と説明しており、公式プレスリリースにもオープンプラットフォームである立場を強調し、パートナーへの配慮とともに、サムスン、ソニーエリクソン、HTC、LGといったパートナー企業から買収に関する歓迎コメントを掲載している。

買収目的として、ページ氏は「Androidのエコシステム全体を盛り上げるため」を理由の1つとして挙げているが、その他にも特許ポートフォリオの獲得でApple社、マイクロソフト社といったライバル企業に対抗するため、とも想定できる。

発表同日朝に行われた電話会議では、この特許紛争に関する質問がGoogleとMotorola Mobility経営陣に集中したという。Motorolaは80年近く続く無線や通信技術の先駆者であり、現在保有特許が17500件、申請中が2500件以上という膨大な保有資産がある。例えばApple社がヨーロッパとオーストラリア市場からAndroid製品を取り除くために特許訴訟を起こしたように、市場競争を阻止しようとする動きに対抗するためだと予測される。ページ氏もブログに、Google社の特許ポートフォリオを強化することによってAndroidの技術と市場競争を保護したい意向を述べている。

そしてもう1つ、今回の買収でGoogleが得た大資産は、米国におけるハードウェアの市場シェアだ。Google携帯(Nexusシリーズ)はサムスンとHTC製で、市場シェアはほとんどない状態だった。しかし、今回Motorola携帯を合わせることで、トップのHTC(35%) に続き、29%というAndroid携帯メーカーとして2位の座を得る。この数字はモバイルアプリ解析ツールの米Localytics社が同日明らかにした数値である。