技術デモとして発表された、コンセントのデザインモックアップ。

ソニー株式会社は、ユーザーや機器ごとに電力を管理、利用できる「認証型コンセント」の技術を2月14日に発表した。

この技術は、電力を利用する際のインターフェイスである「コンセント」に、非接触ICカード技術NFC/FeliCaを応用して電気機器認証を行うというもの。電子機器側のプラグへ非接触ICチップを組み込み、コンセント側に非接触ICカードリーダー/ライターやコントローラー、通信インターフェイスなどを搭載することで、電子機器がコンセントに接続された際に、機器や利用者を判別、認証し、電力との関連付けを持たせることができる。また、電気機器ごとの電力利用管理から、使用する機器を通して利用者の電力利用状況(電力量や利用履歴)も管理することができる制御システムの構築が可能となる。

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「FeliCaタイプ」のデモ機。非接触ICカードを使って、コンセントとの認証が可能。公共のコンセントに充電して利用することができるなど、課金システムとリンクすることもできる。

今回開発された「認証型コンセント」には2種類ある。「FeliCaタイプ」と題されたものには、機器のプラグにアンテナと接続されたICチップを内蔵し、コンセント側にはアンテナと接続されたリーダー/ライターやコントローラーを組み込む事で、無線での認証を可能にする。

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「電力線重畳通信タイプ」のデモ機。どのコンセントが使われているかを管理することができる。

もう一つは、「電力線重畳通信タイプ」。これは、新しく開発された「電力線重畳通信技術」を従来からの非接触ICカード技術と組み合わせたもの。電力線に認証データを載せて、電気機器と電源供給側との相互認証を可能とする。非接触ICカード技術ではICチップとリーダー/ライター間の通信をアンテナを介して無線で行うが、本技術では物理的な電力線を経由して行う。具体的には、コンセントなどの電源供給側に内蔵されたリーダー/ライターの入出力端子が電力線に接続され、読み取り信号が電力線に重畳されるので、ひとつのリーダー/ライターの設置で複数のコンセントから電気機器認証が可能となる。

さらに、リーダー/ライターとICチップの電力線の間に延長コードが挟まれていても認証できる。従来の非接触ICカード技術と同様に、カード側に相当する機器側は電源不要で通信を行えるため、従来の電力線通信:PLC(Power Line Communication)とは異なり、機器側への通電の有無に関わらず、電源プラグをコンセントに挿すだけで、つながれた機器の認証ができる。

今回はこれらの技術開発の発表であったが、これから実用化に向け他企業と協働しながらサーバーの管理システム、課金システムなどをなるべく短いタイムスケールで組んでいきたいという。既存のインフラを大幅に引用し有効に使うことで、実用化への開発スケジュールを大幅に短縮していく見込み。

技術的には、ICチップにコマンドを埋め込むこともできるので、リモートからの制御も可能。通信速度はFeliCaと同様13.56MHzの周波数帯を利用し、200kbps〜500kbpsの速度で行うことができる。電力の大きさは、家庭で使われる低電力からEVなど大きな電力も想定。ICチップからRFMを共有することもでき、市場のニーズに合わせて効率的に電力の供給をすることができる。