米CATV最大手のコムキャスト社は、クラウドベースのデジタルTVサービス「X1」を年内に本格的に開始する予定だという。これは2月15日(現地時間)の朝に開催された同社の収支報告カンファレンスコールによるもの。
この新サービスはプロジェクト「Xcalibur」として、昨年からジョージア州でPace社のセットトップボックス(STB)を採用して試験的にサービスを始めていたもの。今後サービス可能地域を広げ、2012年内には全加入者数の10%にあたる十数万人の加入者がサービスを受けられるようになるという。昨年6月に開催されたNCTAカンファレンスでは、1Gbpsスピードに対応させたDVRでXcaliburビデオプラットフォームを初公開した。
X1はXcaliburプラットフォームを拡張させ、改名したサービスとなる。今までのように番組データをSTBにダウンロードするのではなく、クラウド上で使用する形式となる。ユーザーインターフェースにはFacebook、Pandoraインターネットラジオ、ニュースや天気予報にアクセスできるソーシャルTV要素も実装されている。また、ユーザーの好みに合わせておすすめ番組を知らせるといった「マイTV」のような、パーソナライズも番組ガイドに組み込まれるという。
「この新サービスは加入者のエクスペリエンスを向上させるものである。そしてもっと重要なのは、このクラウド環境を構築することで将来の技術革命のメカニズムを生み出せるということだ」と、コムキャストの最高管理責任者のブライアン・ロバーツ氏はカンファレンスコールの質疑応答の中で伝えている。クラウドベースのアーキテクチャであれば、アップグレードに関しても技術者がオンサイトで対応する必要もなくなるという。加えて、同氏は「我々が浸透させる”クラウド・オーバー・ケーブルボックス” は、時間をかけて奥深い意味を持つことになるだろう」ともコメントしている。
(山下香欧)