米YouTubeは昨年、親会社Googleと共に1億ドル(79.4億円)を投資してオリジナルコンテンツ制作計画「オリジナルチャンネルイニシアティブ」に乗り出した。2012年9月には新しく20チャンネル、10月には60チャンネルが放送を開始している。
そして親会社Googleは、その計画の第二フェーズとして、最初の投資額の30%、およそ3000万ドル(23億円)を、最初に契約したコンテンツ制作パートナーの4割へ提供する準備を進めているという。 この告知はこの数週間以内に正式にパートナーへ行われる予定である。
Googleの計画目的は、才能ある番組クリエーター達を取り込み、広告事業者とビジネス関係を深め、視聴率をあげるといった、オンラインビデオのエコシステムを確立させることである。
YouTubeは計画実行当初、世界規模でコンテンツ企画を募集し、100件の提案に対して投資を行った。オリジナルコンテンツやプレミアムコンテンツの存在はHuluやNetflix、Yahoo、iTunes、MSNであり、YouTubeでの展開は制作会社側には認知されていなかった。
新しい番組を通しての効果測定では、ユーモア、音楽、車やスポーツ関連の番組が特に若い年齢層に人気があることが分かった。 新チャンネルのトップ25では、毎週100万以上のビューワ数を得ているという。 トップ33に関しても10万以上のリピーター数がある。
また新規投資額については最初と同じ程度になると予測されており、各パートナーはYouTubeが年間どれだけ独占的に販売できるかに依って100万ドルから500万ドルの資金を受けることになる。 先月(10月)には新規で60チャンネルが資金を受け取ったという。
資金を受け取る条件として、コンテンツ制作側は自身で広告を販売する前にYouTubeの投資額を返済する必要があるという。この条件を受けられる制作者は多くない。というのも、100万ドル投資額を返済するには、20ドルのCPM(掲載1000回あたりの広告料金)あたり50万ビューワを獲得しなければならない計算となるからだ。第二フェーズの投資を得られないパートナー達は、引き続き投資額返済を試みるか、そのまま立ち去るかの選択を余儀なくされる。
このようなYouTubeの活動の背景には、コンテンツクリエイターと広告主の間の認識を変化させたいという意図もあるという。ユニリーバ、トヨタ、Dodge、P&Gなど大手企業はYouTubeのチャンネルへ広告展開を行っており、利益も上々であるというが正式的な収入は公表されていない。
YouTubeがテレビ広告と対抗するには、つまりスポンサー側のテレビ広告バジェットをYouTubeへ廻すためにも、ビューワがいかに長く視聴してくれるかが最大の挑戦となる。米市場調査会社ニールセンによると、2012年9月時点でのYouTubeの視聴者たちの平均視聴時間は昨年同時期に比べて60%ほど延長した4時間となっている。月の平均時間は合計で40億時間だ。対してテレビでビデオを視聴する人たちの月当り平均視聴時間は4時間38分となっている。スマートTVの保有者数も急増している中、テレビスクリーンおよびマルチスクリーンにてYouTubeチャンネルを視聴できる環境を伸ばしていくことも今後の同社の戦略に加担していくことになる。
(山下香欧)