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米ラスベガスで今週開催されているCES2013でのCEA(Consumer Electronics Association:全米家電協会)のギャリー・シャーピオCEOによる基調講演にて、ハリウッド業界のメジャーなスタジオが揃ってウルトラバイオレットを支援していくことが発表された。

ウルトラバイオレットはもともとソニー・ピクチャーズが開発、提唱しているクラウドベースの暗号ロッカー。2011年10月より正式にサービスが開始された。デジタル著作権の認証となり、ウルトラバイオレットフォーマットの作品であれば、作品購入者はそれら作品コンテンツをダウンロードしてマルチデバイスで視聴できる上、メディアにコピーも許される。また1つの登録アカウントを6名まで共有できるとしている。

基調講演では、ワーナーブラザース、ソニー・ピクチャーズ、ユニバーサル、20thセンチュリーFOXとライオンスゲートから代表者がステージに上がり、シャーピオCEOと共に宣言した。シャーピオ氏とワーナーブラザース代表のロンサンダース氏からは、現在米国におけるウルトラバイオレットの登録者数が900万件を超えていることが語られた。昨年だけで800万件と急増している。スタジオと提携しているメーカーはソニー、サムスン、LG、パナソニック、フィリップス、東芝とVizio。スマートTVやブルーレイプレイヤーの大手メーカーが揃う。

同時にデジタルエンターテイメントグループ(DEG)では、スマートTVを購入すると6社(以上のスタジオ5社とパラマウント)のメジャースタジオ配給の10作の映画が無償で視聴でき、またブルーレイプレイヤーを購入すると5作品が無償で視聴できるプロモーションを実施することを発表した。無償配布される作品はウルトラバイオレット仕様で、例えばスマートTVであれば、CinemaNow、Flixster、NookやVUDUから作品にアクセスできるようになる。実際にプロモーションが開始されるのは今年後半としている。

DEGではまた、2012年における米国のホームエンターテイメントの売上は7年連続の減少を阻止でき、180億ドルだったと報告した。DVDやブルーレイといったディスクでのコンテンツ購入は年々下降しており、昨年度ではブルーレイディスクの売り上げは若干上がっているものの、全般では5.5%下落の85億ドルとなっている。反面、オンデマンドのビデオレンタルは11%上昇の20億ドル、ダウンロード購入は35%上昇の8億1100万ドルと、今回の売上結果に大きく貢献したと言える。

ウルトラバイオレット仕様の作品は、BBC、ドリームワークス、Fox、ライオンスゲート、パラマウント、ソニー・ピクチャーズ、Starz Anchor Bay、ユニバーサルとワーナーブラザースより、2月までにリリースされる分を含めて8500タイトル以上が揃う。年内には、米国・カナダ、英国以外にもオーストラリア、フランス、ドイツ、アイルランドとニュージーランドにも拡大していく予定。

(山下香欧)