Harris Corporation(ハリス)は2月4日(米国時間)、同社の放送通信部門(BCD)の売却が完了したことを発表した。同社は昨年にBCDを、米国ロスアンジェルスに拠点を置く米非公開投資会社のGores Group(ゴアズ・グループ)に売却することを明らかにしていた。
50年以上も放送技術に携わっていたハリスは、これで完全に放送市場から撤退する。売却金額は、2億2500万ドル(185.6億円)。現金で1.6億ドル、手形で1.5億ドル、加えて将来の業績に基づいて5億ドルまでアーンアウトの価格調整金が成立している。
米証券取引委員会向け報告資料によると、アーンアウトは2013年から4年間、BCDの利益目標達成率20%分を現金で受け取ることになっている。売却金額はハリスの幹部達が予測した額に満たされていない事実、結果として同社はBCD売却に関する非現金減損費として、前期報告でも9800万ドルを計上している。
昨年末、BCDの売却先としてゴアズの名前が発表された際、BCDのハリス・モリス社長は、ハリスより今後3年間は、ハリスブランド名を使用できる承認を得ていると語っている。その後は、オートメーション、ビデオサーバ、トランスミッションなど、BCDの主力製品群を意識し、ハリス・ブロードキャストやモリスメディアといった、新しいブランド名に変更する。今までのBCDは、同社が提唱するWIN(ワークフロー、インフラストラクチャ、ネットワーキング)を中心に成長してきたが、ゴアズ・グループ傘下となった”リボーン”ハリスは今後、プロダクション(ニュース、モバイルビデオ、ライブプロダクション)からマルチチャンネル配信まで、放送バリューチェーンを通して業界のニーズを追って変化していくという。
オートメーション製品のライバル会社であるミランダもBCD同様、昨年初夏にベルデンに買収されている。双方とも新しい親会社の下、最初のデビューとなるNAB2013までのアクションは非常に興味深いものだろう。
(山下香欧)