©NT Live

英国のライブ劇場と世界の映画館をつなげるデジタルシネマプロジェクト“ナショナルシアターライブ”のもと、2月27日に「戦火の馬」の4Kデジタルライブが英国で上映された。所謂、映画館で映画以外の様々なコンテンツを上映するODSだ。今回はマルチ4Kカメラで収録し、衛星回線を使って伝送、4Kデジタルシネマ上映するという、英国でも初の試みとなった。NexTV-FとスカパーJSATが昨年、アリスのコンサートを衛星伝送で4Kライブビューイングを開催したが、今回のように一般公開されたものは前例がない。

140228_war_horse_01.jpg

©NT Live

ニュー・ロンドン・シアターでの「戦火の馬」は、チェルシーにあるカーゾン・シネマにて中継上映された。シアターではソニーF55 CineAltaカメラ(フジノンCabrioレンズ装着)6台を用いてパフォーマンスを撮影(4K/50p)。光伝送でソースを劇場側に配置されたNEP Vision提供の中継車に送り、ライブプロダクションを施してからエンコードし、ソースを束ねて衛星にアップリンクした。またソニーのSRMASTER(SR-R1000)で記録しながら4K DCPマスターを生成。今後のデジタルシネマ配給に利用するという。NEP Vision側では同時にライブHDソースを1000か所以上の映画館へ配信、上映した。

衛星は、SES Astra「Astra 3B」衛星のKaバンド、36MHz幅を使用。送信アンテナは1.5m、シネマに仮設した受信アンテナは1.8m。シアター施設内では4台のAdtec RD70デコーダーで復号化し4Kプロジェクター「SRX-R320」から上映した。

「戦場の馬」は2007年に国立劇場で公開され、その後、オーストラリアや米国・ブロードウェイ、ドイツ・ベルリンでも公開されて国際的なヒット作となっている。

(山下香欧)