CEATEC2014のコニカミノルタのブースでは、独自開発した反射型ホログラム光学素子(HOE)を搭載したメガネ型ウェアラブルデバイスの試作機を一般初公開した。
本デバイスは「ウェアラブルコミュニケーター(WCc)」と呼ばれ、HOE/ディスプレイを装着した眼鏡デバイスに、バッテリーやWi-Fi、Bluetoothを搭載したコントローラーを備える。視界をふさぐことなく単眼ディスプレイに視覚情報が投影される上、外界からは投影内容が見えない特徴を持つ。
同社は2003年に反射型ホログラムのカラー化に成功。そしてRGBの波長帯域のみ反射させるHOEの回折効率とカラーバランスの解析手法を駆使し、従来にない可視光域80%の透過性と明るさを実現させた。25度の広画角な視野に屋内外問わず非常に見やすいシャープな映像表示ができ、さらに全面そして画面の周りと、自由に情報を投影できる。
レンズ上のボックスから映像を投射。約25mm(W)×20mm(H)×5mm(D)のレンズに組み込まれたHOEに映像が反射して瞳に届く仕組み
ブースでは、目の前の実像に追加情報を投影する「シースルー映像」と、WCcを着けているユーザーと遠隔者の情報を共有する「リアルタイム映像コミュニケーション」が体験できるデモが行われていた。前者のデモでは、車の模型にプロジェクションマッピングを行ったり、実像を背景に浮かび上がる視覚情報を周辺表示。内蔵カメラを使ったリアルタイム映像コミュニケーションでは、遠隔にいる相手による書き込みがWCc上に表示される。マイクやヘッドフォンを利用して通信も行える。
「シースルー映像」デモ画像提供:コニカミノルタ株式会社
「リアルタイム映像コミュニケーション」デモ
コンテンツ開発者は、コニカミノルタによるプラットフォーム技術「Quinque UX」のもと、RESTベースのSDKに、HTML5やJavaScript、CSSといったオープン規格を利用して開発できるようになっている。またリアルタイムコミュニケーション用APIであるWebRTCにも対応。これによりビデオチャットやファイル共有まで実行できる。
コニカミノルタでは、このようなHOEを応用したウェアラブルデバイスの利用を、製造やメディカル現場に想定しており、BtoBから展開していきたいとしている。
HOE/ディスプレイを搭載したさまざまなデザインの試作機を展示(左から、ネックバンドタイプ、クリップオンタイプ、ゴーグルタイプ)
眼鏡タイプは50gグラム程度(ケーブル除く)と軽量で、普通の眼鏡をかけているのと同じ装着感。違和感のない視界の上に非常に鮮明な映像や視覚情報が投影される。
(山下香欧)