スマートフォンで自分を撮影する一脚ツール「自撮り棒(セルフィースティック、セルカ棒)」の使用規制が各国の美術館や博物館で広がっていると、欧米の報道網が伝えている。

米国TIME誌が「2014年最高の発明品」と称えた製品ではあるが、公共の場所で使用する場合、潜在的に危険を及ぼすものとみなされつつある。

英国のロンドンにある美術館ナショナル・ギャラリー、フランス・パリ郊外のベルサイユ宮殿、そして米国では博物館群・教育研究機関複合体のスミソニアン博物館やニューヨーク近代美術館(MoMA)が、美術保護および公共の場の安全のために自撮り棒の持ち込みおよび使用を禁止した。ディズニーランドでは従来から三脚といったカメラ補佐機器の持ち込みを禁止しているため、自撮り棒も規制に入る。サッカー会場でも熱狂的になるサポーターを見越して、イングランドプレミアリーグらが自撮り棒の持ち込みを禁止している。

海外ではフラッシュをたかなければカメラ撮影を認めている施設が多い。今回の規制でも、たとえばスミソニアン博物館の声明文では、スミソニアンでの体験を仲間と共有できる自撮り自体は奨励するとしている。ただ、1日に何万人も訪れる施設内で自撮り棒を1メートルも伸ばして振り回されては、周囲の人は勿論、美術品を傷つける恐れがある。

韓国では昨年末から自撮り棒の販売でも取り締まりが始まっており、政府が認定していない製品に対して、罰金または最長3年の禁錮刑が科される。対象製品は主に、Bluetooth通信機能でカメラのリモート制御が行えるもので、電磁波の検査で認定を受けなければ販売が許されないとしている。

(山下香欧)