© 2015 Fox Studios

今年のFIFA女子ワールドカップは今までにも増して最新の技術を駆使して放送されている。男子リーグと同じく英国ベースのBroadcast Services(HBS)が世界放送配給をまとめており、NHKと提携して10試合を8K収録している。各試合が行われるスタジアムに設置しているカメラ台数も2011年のFIFA女子ワールドカップ時に設置された16台から、欧州トップクラスのスポーツ放送と同等レベルの20台に増設。更に開幕戦、準決勝、決勝戦に関してはヘリカメラ、ケーブルカメラを含む22台に増やすという。開幕戦では事前にドローンを飛ばして空撮したシーンも利用した。

NHKではBS放送のほか、8Kスーパーハイビジョンによるパブリックビューイングを横浜市と川口市の2会場で行っており、時間帯によってはライブ上映を実施。そして今回は北米での放送権を持つFoxと提携して、招待者のみの限定で米国でも8Kスーパーハイビジョンのライブ上映を行った。米国内では初めての試みで実施日は12日(現地時間)の日本対カメルーン戦と16日(現地時間)のナイジェリア対アメリカ戦。Foxスタジオ内のスクリーンシアターの1つ、476席があるDarryl F. ZanuckシアターにJVCの8Kシネマプロジェクターおよび22.2chのサラウンドシステムを構築し、日本で行っている仕組みと同様にIP伝送を使って行われた。8Kカメラは池上通信機と一緒に開発したカメラ。米報道The Hollywood Reporterによると、HEVC方式で変換したストリーム(280Mbps)で伝送を行っている。昨年のFIFAワールドカップブラジル大会時に日本国内で初めてライブ上映を行った際は、NTTの回線に国際標準のメディア伝送規格MMTとNTTが開発した誤り訂正技術を採用した。

NHKは今後もNFLスーパーボウル、2016年の夏季オリンピック、そして2018年のFIFAワールドカップ大会を8Kカメラで撮影していくことを明らかにしており、国際スポーツ大会を利用して8K放送技術のノウハウを積み重ねていく。

(山下香欧)