Blackmagic Designの発表によると、世界各国のアーティストや博物館、劇場などにオーディオビジュアル・サービスを提供しているArtAVが、HyperDeck Studio ProおよびHyperDeck Studio Mini放送用デッキを、同社のSynchronizer製品ラインの一環として使用しているという。

ArtAVは初期構想からデザイン、視覚化、プランの起草、ソーシング、製造、検査、納品、取り付け、試運転、ショーのサポート、リグの解体までのあらゆるオーディオビジュアル・サービスを提供している。これらのサービスの一環として、様々なビデオおよびオーディオの作品を複数の会場やセットアップで同期させて欲しいという依頼を受けることがあるという。これらの依頼には、多くの出力系統を同時に扱うマルチスクリーンの美術展示が含まれる。

ArtAVが特注で作成したSynchronizerは、ラックベースのマルチチャンネル同期システム。HyperDeck Studioシリーズを採用することで、高品質の非圧縮、圧縮ProResおよびDNxHDビデオフォーマットのノンストップ収録/再生を実現している。同システムでは、最大40系統の4Kビデオチャンネルと160系統のオーディオチャンネルが同期可能。ArtAVのディレクターであるニック・ジョイス氏は次のようにコメントしている。

ジョイス氏:私たちはディテールに注意を払い、常に素晴らしい結果を出すことに務めるという極めてシンプルな事実を誇りにしています。HyperDeckは、私たちの目標実現のために不可欠な製品です。ArtAVは、ハードウェア同期のHyperDeckシステムを提供している、世界でも数少ない企業の1つです。このシステムは4K、HD非圧縮、ProRes、DNxHDビデオと、膨大な数のオーディオチャンネルの同期を可能にします。

ArtAVのSynchronizerは、9ピンのSonyプロトコルとHyperDeckのイーサネット・プロトコルを両方使用して、HyperDeckをダイナミックにコントロール、ループ、同期させます。これらの操作はすべてカスタムメイドのシングルボード・コンピューターから行い、フレーム精度の同期を実現します。

HyperDeck Studio Miniは、デュアルSDカードレコーダーに2160p30までのSD/HD/Ultra HDフォーマットのノンストップ収録が可能な小型放送用デッキ。コンパクトなため、マルチカメラ/マルチスクリーン再生が必要なイベントでの使用に適している。リファレンス接続およびシンクジェネレーターを内蔵しており、ArtAVのようなユーザーは複数のHyperDeck Studio Miniをロックし、同期を行い、再生が可能。HyperDeckのイーサネットコントロール・プロトコルを使用したリモートコントロールも行えるほか、新しいコンテンツをFTP経由でアップロードも可能。

イギリス・ロンドンのショーディッチ・ギャラリーにて開催された、国際的なアーティスト、ケリー・リチャードソン氏による「Love Nature」プロジェクトにおいて、SynchronizerとHyperDeck Studio Miniのコンビが最初に使用されることになり、ArtAVは、10面のスクリーンを使用する展示用に同期再生システムを提供した。

ジョイス氏:ケリー・リチャードソン氏のLove Natureプロジェクトでは、10系統の4K信号を最新式の4Kスクリーンに再生可能なシステムを設計することになりました。スクリーンは、床と天井をつなぐ細いポールに取り付けて、可能な限り「軽さ」を演出しています。会場のスペースに限りがあったので、機材ラックを設置する場所はありませんでした。

ソリューションとして、10台のHyperDeck Studio MiniとArtAVがカスタマイズしたSynchronizerを使用しました。これにより、スクリーンにローカル接続した再生デッキから配信することが可能となりました。つまり、再生機器を山ほど設置したラックを隠す必要がなくなったのです。カスタムメイドのポールマウント・プレートを使用して、HyperDeck Studio Miniを各スクリーンの上部に取り付け、HDMIで信号を送信しました。HyperDeck Studio Miniは素晴らしい活躍をしてくれました。