Blackmagic Design製品事例:中国の安徽テレビの場合

Blackmagic Designの発表によると、中国の安徽テレビが、Blackmagic Design製品を中心とする初の4K中継車を構築したことを発表した。製品には、URSA Broadcastカメラ、ATEM 4 M/E Broadcast Studio 4K、ATEM Television Studio Pro 4K、Smart Videohub 12G 40×40、HyperDeck Studio 12G、各種コンバーターおよびモニタリング製品が含まれるという。

中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ)および広東テレビは、中国初の4Kチャンネルを開局。これに伴い、中国の放送業界は、様々なメディアに対応できる統合型メディアインフラの構築に力を注いでいる。将来の4Kおよび統合型メディア・ライブプロダクションに向けて準備を整えるために、安徽テレビは衛星波やケーブル、地上波、デジタル無線など、新しいメディアテクノロジーおよび従来の放送手法に対応する同局初の4K対応統合型メディア中継車の構築に着手した。

この中継車には、4台のURSA Broadcastカメラが搭載されている。オーディオ、タリー、トークバック信号がエンベッドされた各カメラのSDIビデオ出力は、カメラ背面に装着されたCameraFiber Converterで光ファイバー信号に変換される。それらの信号は1本のSMPTEファイバーケーブルで中継車のStudio Fiber Converterに送信され、2つのSDIフィードに変換される。1つはメインのATEM 4 M/E Broadcast Studio 4K用、もう1つはTeranex Mini Distribution用だ。

Teranex Mini Distributionは受信した信号を5つのSDI入力に分け、それぞれがATEM Television Studio Pro 4K、Smart Videohub 12G 40×40、SmartScopes 4K、接続パネルへと送信される。

番組のフォーマットと異なる入力フィード用には6台のTeranex AVスタンダードコンバーターがインストールされており、それらのフィードをローターに送信する前に変換する。さらに他にもTeranex AVが使用されており、スイッチャーからのプログラムフィードは必要に応じてトランスミッターがサポートしているフォーマットに変換される。

他にも中継車には、ビデオモニタリング用にBlackmagic Multiview 4、Multiview 16、SmartScopes 4K、SmartView 4Kも統合されている。プログラムはHyperDeck Studio 12Gレコーダーに収録され、オーディオモニタリングにはBlackmagic Audio Monitor 12Gが使用される。また、簡易的なポストプロダクション用にDaVinci Resolveシステムも待機している。

今回の中継車の設計を担当した安徽テレビのマスターコントロールで伝送部のチーフ代理を務める、ルオ・シャオビン(Luo Xiaobin)氏は次のようにコメントしている。

この中継車は、主にニュース速報の生放送用に使用する予定です。つまり、信頼性と効率性が高くなければなりません。

中継車にBlackmagic Designの12G-SDIワークフローを選択した理由を、ルオ氏が説明する。

SDIのワークフローは、放送業界が何年にもわたって慣れ親しんできたものです。12G-SDI 4KのBlackmagic Design製品では、これまでHDを扱ってきたのと同じ方法で撮影や伝送を行えるので、最適な選択肢であると考えています。Blackmagicのワークフローは、慌ただしい生放送において極めて重要な “効率性” をもたらしてくれると思います。新製品を素早く理解し、撮影に向けてシステムを迅速に準備し、問題があればスピーディに解決できると考えています。

Blackmagic Designは、世界で初めて12G-SDI製品を開発した企業のひとつです。2016年、私たちはBIRTV(北京国際放送機器展)のBlackmagic Designブースで展示された中継車を目にしました。彼らの12G-SDIワークフローを紹介するものでした。競合他社の製品と比べ、圧倒的に低価格だったことが印象的でした。

ルオ氏率いるチームが過去にBlackmagic製品を使用した経験も、彼らの確信につながったと言う。

2017年、衛星データ送信車両の制作機能を向上させる目的でATEM Television Studio HDを導入しました。それから2年間、ATEMは非常に安定しています。また、地方の放送局でlackmagic製品が使用されているのも見ました。例えば、重慶テレビのマスターコントロールで、あらゆるビデオルーティングや配信を担っているのはBlackmagic DesignのUniversal Videohubです。

ルオ氏は、大規模な放送システムの信頼性という観点では、最も高価なデバイスも含めて100%の信頼性を保証する製品は存在しないため、バックアップ用の機器を導入して冗長性を確保する必要があると説明する。

Blackmagic製品は他社製品より大幅に低価格なので、私たちは限られた予算内でバックアップ用の機器をシステムに追加できます。したがって、仮にメインの機器に問題が生じても生放送には差し支えありません。例えば、メインのスイッチャーはATEM 4M/E Broadcast Studio 4Kですが、ATEM Television Studio Pro 4Kもバックアップスイッチャーとして用意してあります。

仮に2台のスイッチャー両方に問題が生じても、SmartVideohub 12G 40×40があるので放送は続行できます。これら3台の機器は互いをバックアップする関係性にあり、より高い信頼性が得られています。

Blackmagic製品の多様性は、中継車のシステムを設計する上で大きな助けとなったとルオ氏は言う。

ほぼ全てのBlackmagic製品が、オールインワン製品に近い存在です。ATEMスイッチャーを例に挙げると、各入力にフレーム同期機能が搭載されており、スイッチャー自体もオーディオのエンベッドおよびデエンベッドに対応しています。さらに、スイッチャーにはオーディオミキサーも搭載されています。これにより、私たちはシステムを簡素化し、問題が起きる可能性のある箇所を減らすことができるので、システムの信頼性はさらに高まります。

ルオ氏は、従来の放送用機器と比べ、Blackmagic製品がはるかにシンプルで、より実践的で直感的に操作できると実感していると言う

私たちの主な仕事はニュース速報です。使用する機器がシンプルなほど、スタッフの作業効率が上がり、誤操作の可能性も低くなります。

Blackmagic Designの12G-SDIワークフローを中心とする4K中継車を構築し、新しいテクノロジーの探求を続けることで、安徽テレビは統合型メディア制作基盤の新しい構築方法を見いだしたと言う。最後に、ルオ氏は次のようにコメントをして結んだ。

放送業界を前進させる上で、最も大切な要素は人間です。私たちが新しいものを試すのは、私たち自身が新しい製品やテクノロジーに興味を持地、それらを欲した時のみです。中継車の構築を通して、Blackmagic製品はより深く調べる価値があると感じました。より深く知り、よりクリエイティブになることで、より多くのインスピレーションを受け、よりシンプルな方法で設計のゴールに辿り着けます