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Blackmagic Designの発表によると、ポストプロダクションスタジオCHEATが、DaVinci Resolve Studioワークフローを拡張し、HDR対応の新しいグレーディングスイート、そして研究開発ラボを増設したという。
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CHEATの既存の3つのグレーディングスイートには、Intel Xeon E5-2600 v4デュアルプロセッサーを搭載し、4つのNvidia GTX 1080Ti GPUによりサポートされたLinuxコンピューター、そしてDaVinci Resolve Advanced Panelが装備されていたが、これがパワーアップした形だ。
新しいワークフローで最初に作成されたのが、「このサイテーな世界の終わり」シーズン2である。同作のシーズン1はBAFTA(英国アカデミー賞)およびプライムタイムエミー賞を受賞。これに続くシーズン2は、CHEATのオーナーであり、カラリストであるトビー・トムキンス氏がグレーディングを担当した。
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トムキンス氏:シーズン2では、監督、撮影監督、美術監督が変わったんです。これは私にとってチャレンジでしたね。さらに、スタジオとしては初めてのDolby Visionのグレーディングでした。シーズン1の評判が良かったので、それと同等のハイレベルな作品にしなければならないというプレッシャーがありました。
プリプロダクションの段階でCHEATは研究開発ラボを立ち上げ、シリーズ1で使用されたすべてのフィルムエミュレーションLUTを、シーズン2のHDRで使用できるよう改良。その結果、すべてのショットにシネマライクな基本のルックを提供する、18のコンポーネントから成るコアノード・ツリーが構築された。トムキンス氏はまず4.5Kのラッシュをグレーディングし、その後、基本のルックを調整してニュートラルなパレットと、シーズン1に忠実なアナログフィルムの雰囲気を作成した。
DaVinci ResolveのソフトウェアCMU(Content Mapping Unit)では、2つの出力を同時にモニタリングできるので非常に便利ですね。1つのスクリーンでHDR、別のスクリーンでSDRといった具合です。これに追加費用はかかりません。
ルックに納得いかなければ、すぐにResolveのトリムコントロールを調整できるので、SDRのグレーディングに妥協しなくてすみます。以前はハードウェアCMUを使用しなければならなかったので、コストがかかる上、使用も困難でした。
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トムキンス氏はまた、DaVinci Resolveを使用して、プロジェクトのカメラソースからCHEATのシーン基準への独自のレンダー変換をマニュアルで作成した。これにより、制作チームは最終的なルックをより詳細にコントロールできるようになったという。
この変換は非常にフレキシブルで、あらゆる照明条件に対応します。必要な場合に使用できるよう、HDRレンジ内に幅広いラティチュードがありますが、SDRレンジも同じ幅広いラティチュードに対応しています。
今後、HDRの柔軟性と可能性を合わせ持つフィルムルックを希望されるクライアントの方々に対し、それぞれのニーズに合った独特のルックを作成できると思います。Dolby Visionでの納品の要望は増加の一途を辿っているので、これは非常に重要ですね。
「このサイテーな世界の終わり」シーズン2は、11月よりチャンネル 4(イギリス)で放送予定。
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