動画配信サービスYouTubeは、新型コロナウイルス感染症対策の影響によるネットワークへの負担を軽減するため、標準解像度SDでの視聴をデフォルトにする展開をグローバルで開始した。YouTubeはこれから1か月間、SDで自動的に動画が配信される仕組みに切り替わる。HDでの視聴は引き続き利用できるが、設定でHDを選択しなければならない。
世界中で外出自粛や在宅勤務が要請されていることを受け、ブロードバンドのトラフィックがオーバーロードしている。ビデオテクノロジー企業のWurlは、世界中のTVビデオストリーミング時間を追跡しており、米国では12%、イギリスでは9%、フランスでは23%、イタリアでは15%、ドイツでは13%と、週ごとに増加が記録されているという。市場調査会社ニールセンも同様な分析レポートを出しており、自宅で過ごす時間が増えてきているため、TVでビデオストリーミングを視聴する消費量は、現状から61%以上も増えるとしている。
YouTubeは以前、NetflixやAmazon Prime Videoといったストリーミングビデオプロバイダーと共に、ヨーロッパでのビデオ品質を下げることを公言しており、実際に3月16日の週には欧州連合(EU)、イギリス、スイス地域でSD配信を実施している。そして今回は世界全体に拡張する対応である。
Netflixも同様にSD配信を開始した。同サービスは、3月25日に全米とヨーロッパの一部で1時間ほどNetflixにアクセスできないシステム障害を経験している。AT&Tの発表によると、AT&Tのプラットフォームで20日と21日にNetflixトラフィックが史上最高を記録したという。
NetflixによるSD配信地域は現在、同サービス加入者全体数の31%を占めるヨーロッパだけで、米国やその他の地域では適用されていない。
Netflixによると、同社のサービスでテレビ番組や映画をストリーミングする場合、SDビデオストリームだと1時間あたり約1GBのデータ使用に対し、HDだと1時間あたり最大3GBを使用するという。同社はこのSD配信の実行により、ヨーロッパのネットワーク上のNetflixトラフィックが約25%減少すると予測している。
(ザッカメッカ)