キヤノンR7&R10レポートメイン写真

一眼レフからの切り替えを感じた2機種紹介

キヤノンR7&R10レポートメイン写真

EOS R3(以下、R3)の発売から半年、2022年5月24日にキヤノンから発表された「EOS R7(以下、R7)」と「EOS R10(以下、R10)」、そしてレンズ2本は筆者にもう一眼レフに拘らなくても良いと思わせたミラーレスカメラであった。発表と同時にR7とR10の資料に軽く目を通したが、そこで目にした内容に気持ちが浮つくのを感じた。

確かに、機能的にはR3には到底及ばないわけだが、ミドル機としての価格と、それを確実に凌駕している豊富な機能がR7とR10に組み込まれていた。R3は素晴らしいミラーレスだと思うが、価格に心が追い付かず、R5やR6もすぐに手を出せる価格ではない。筆者はEOS 5D Mark IIIユーザーであり、マウントが変わるためにRFレンズへの切り替えも必要になる。しかし、R7とR10はRFレンズを新規で何本か購入しても納得できる価格と性能を保持しているのではないかと期待した。そして実機を触ると、期待は確信へと変わった…。

などと、大げさな書き出しにしてしまったが、ここまで書いてもこの書き方とR7とR10には遜色がないカメラだと言える。筆者に一眼レフのついたカメラに拘らなくても良いと思わせた要素を、駆け足で簡単に説明して行こう。

■キヤノン公式オンラインショップのEOS Rシリーズ(ボディのみ)価格

  • EOS R3:税込748,000円
  • EOS R5:税込506,000円
  • EOS R6:税込335,500円
  • EOS R7:税込197,780円
  • EOS R10:税込128,480円

その小ささと軽量さ

キヤノンR7&R10レポートメイン写真

カメラを使って写真を撮る時に重要なのが、右手のグリップだと思っている。筆者はご多分に漏れず手が少し大きいもので、安定して握り支えられるグリップということになると、必然的にレフが付いている大きいカメラとなる。ミラーレスの特徴はレフがないぶん「小型化できる」ということが利点になる。

ハイエンドの機能を盛り込んでも、カメラ内部で動作するレフがない分小型化が可能だ。そうなるとグリップも痩せて握りにくくなり、小指が遊んでしまい居心地の悪い「小型化」の影響が現れるのがこれまでの常、という先入観が筆者にはあった。

だが、R7とR10をそれぞれ手に取り、グリップを握り、構えてみると、普段使用している5D Mark IIIと違和感がない。第一関節がしっかり引っかかってくれる。小指は余るものの、この居心地が悪くない。カメラ底面を支えるのにちょうどよい感覚で、このしっくりくる握り心地に思わず笑顔になってしまっていた。

キヤノンR7&R10レポートメイン写真

そして軽量さにも満足した。何分今まで重いものが正義と思っていた筆者だか、寄る年波には勝てず、長時間カメラを構えることにここ最近難儀を覚えていたのだが、それをだましだまし5D Mark IIIに縦グリップをつけて使用していた。当然握った感覚が重要だったわけだが、軽量で握り心地の良いカメラがあれば、当然それに勝るものはないのだ。

■EOS Rシリーズ重量(バッテリー、カードを含む)比較

  • EOS R3:約1015g
  • EOS R5:約738g
  • EOS R6:約680g
  • EOS R7:約612g
  • EOS R10:約429g

シャッターとAF

元来、APS-CのAFが優秀だと当然知っていたが、ただ、ミラーレスの場合「シャッターラグ」が大きいものだという先入観が消えていなかった。しかし、その先入観をR7とR10は消し去ってくれた。細かく検証が出来ているわけではないので、多くを筆者の言葉で語ることは避けるが、パッと触った感じではAFの早さも掴みの良さも上々だった。

キヤノンR7&R10レポートメイン写真

それも当然で、被写体検出機能はEOSミラーレスの最上位機種であるR3から継承されてもので、人物、動物優先、乗り物優先等が備わっており、サーボAF時には被写体を検出したのと同時に追尾が始まるようになっている。そしてデュアルピクセルCMOS AF Ⅱで対応したレンズを使用していれば、被写体検出時にCMOS全域でトラッキングが行える。

シャッターにおいても、メカシャッターの電子先幕で、最高15コマ、電子シャッターに至ってはR7で30コマ、R10で23コマの高速連写が可能。そしてシャッタースピードもメカシャッターと電子先幕の組み合わせで1/8000秒、電子シャッターでは1/16000秒とこれもレフ機よりも優位に立っている。ただしR10のメカシャッターと電子先幕の組み合わせでは1/4000秒、電子シャッターはR7と同じく1/16000秒となっている。

手振れ補正の協調制御に自動水平補正

先ほども寄る年波にはと述べたが、やはり手振れは避けられないものになってきているのだが、これに関してもR7はレフ機に負けるところはなかった。写真撮影時、対応レンズとの組み合わせた協調制御で8.0段分の手振れ補正効果を実現している。

また、水平を検知しCMOSが傾き、自動的に補正を行ってくれる。 R7はカメラマンをかなりの部分でサポートしてくれる存在と言える。

キヤノンR7&R10レポートメイン写真
R7にはCMOSセンサーが回転して画像の傾きを補正してくれる「自動水平補正」搭載

コンパクトさ故に発展した操作性

小さくなるということは、一概に良いことばかりではない。それは操作性に現れることが多いのだが、R7はそれを逆手に取り、サブダイヤルとマルチコントローラーをまとめて、ファインダーを覗いたままでも迅速に操作できるように設計されている。

キヤノンR7&R10レポートメイン写真
R7のサブ電子ダイヤル。ファインダーを覗いたまま、設定から撮影までを完了できる

サブダイヤルとマルチコントローラーが離れていた時には、双方を動かくために大きく親指を移動させる必要があったわけだが、まとめたことにより連携した動作も行えるようになっている。またマルチコントローラーを押し込むことで追従の開始や、再生時に押し込むと拡大表示される。

キヤノンR7&R10レポートメイン写真
R10はマルチコントローラーを搭載

また「シーンの先頭画像」というジャンプ表示機能が追加され、連続撮影時の最初の画像をインデックスとジャンプ表示させることができるようになっている。 撮影時のチェックも速やかに行えるようになっている。

長時間録画に対応したうれしい動画の機能

当然R7とR10共に4K動画を撮影することはできるが、それぞれファイル形式や上限等は違っている。R7では高画質の4K UHD Fine(7Kオーバーサンプリング)は30P収録、4K UHDでは60P収録、4K UHDクロップでも60P収録が可能。そのうえCanon Log 3に対応し、カラーグレーディングを前提にした動画撮影も行えるうえ、一回の撮影の上限が6時間と、ビデオカメラなのではと思えるほどだ。当然手振れ補正も協調補正が対応、強力なスタビライジングを実現、デュアルピクセルCMOS AFⅡにより被写体検出とトラッキングの性能を大幅に向上している。

R10はR7に劣るものの、4K UHD(6Kオーバーサンプリング)では30P収録、4K UHDクロップではR7と同じ60P収録が行える。Canon Log3には未対応ながら、一回の撮影上限が2時間となっている。

キヤノンR7&R10レポートメイン写真
HDMI出力端子はタイプD(マイクロ)搭載

フルサイズとAPS-Cの垣根をなくした新しい発想のレンズ

さて、R7とR10、ミラーレスカメラの本体のみが今回発表されたわけではなく、新開発のRF-Sレンズの18-45mmと18-150mmの2本のレンズも発表された。もちろんR7と共に開発されたレンズなので、協調補正にも対応している。

キヤノンR7&R10レポートメイン写真
「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」(左)と「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」(右)

また、このレンズの一番おもしろい点は、35mmフルサイズとAPS-Cの垣根を取り払ってしまったことだろう。そもそも一眼カメラでは撮影したい写真によってレンズを交換できることが最大のメリットなわけだが、その分レンズの数が増えれば増えるほどコストや保管スペース等でデメリットの要素が増えてしまう。

ましてや35mmフルサイズとAPS-Cの双方でレンズをそろえるとなると、負担が約倍になりかねない。そこをキヤノンが考慮してなのかは定かではないが、RF-SレンズはフルサイズとAPS-Cの双方で使用できるように互換性を持たせている。もしRF-Sレンズの中にお気に入りのレンズを見つけたとすると、そのレンズをフルサイズ機でもAPS-C機でも相互に使用できるのであれば、ユーザーの負担は格段に減るのは間違いない。

キヤノンR7&R10レポートメイン写真
交換レンズの新製品、RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM
キヤノンR7&R10レポートメイン写真
こちらも交換レンズの新製品、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM

R7とR10。どちらもほしい筐体だ…

細かい機能などは割愛して、筆者の感想を中心に記してきたが、ミラーレスに懐疑的だった筆者がこの2機種に触れてミラーレス肯定派に、どのように心が動いたのか理解して頂けたかと思う。

最後にもう1点、APS-C故に感じた利点を記しておく。筆者は趣味で野鳥を撮影するのだが、5D Mark IIIの限界というか自分自身の限界を今更ながらに感じており、そろそろ乗り換えなければならないのかと思っていたところで、今回のR7とR10の試用の機会を頂いた。まさに天啓と言うわけでもないだろうが、R7とRF800mmの組み合わせで触ることが出来た。つまりキヤノンのAPS-C換算1.6倍の1280mmで試すことが出来たのだ。

キヤノンR7&R10レポートメイン写真
R7とRF800mm F11 IS STMの組み合わせ

会場に野鳥はいなかったものの、その倍率には驚愕するばかりだった。これだけ近くに感じられればあの時の野鳥がもっと鮮明に撮れたのにと心の中で歯噛みした。そしてR7には流し撮りモードがあり、飛んでる野鳥も簡単にとらえることができるかもしれないと想像してしまった。

RF800mmはF11であるものの、R7とR10の常用ISO感度の上限が32,000と高感度で撮影、F11であっても十分使用に耐える品質で撮影が行える。そのうえRF800mmとR7またはR10の組み合わせでも2kgを優に割り込む重量がとても魅力的に思えて仕方がない。

また、価格的にもR3等の上位機種よりもかなり割安な価格設定がされており、キヤノンオンラインショップでの予定価格は、R7のボディーが税込197,780円、R10のボディーは税込128,480円と椀飯振舞感が半端なくキヤノンとしての本気度がありありと見えている。これは野鳥のみならず鉄分の多いカメラマンにも最適の一台となりうる筐体が登場したと、声を大にして伝えたい筆者であった。

小山田有作|プロフィール
you-artsの屋号で映像の仕事を始めて20年。企業PVやセミナービデオなどを中心に、ディレクションから撮影、編集に2DCGの作成などを行っている。スチルの撮影もこなし、現在はYouTubeの番組制作も携わっている。