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Blackmagic Designによると、日本最大級のクラブで世界的にもトップにランクインしている渋谷WOMBが株式会社YELLOWと技術協業し、Blackmagic Designのデジタルフィルムカメラやプロダクションスイッチャーなどと連動したライブパフォーマンスシステムおよびイベントの同時ライブ配信システムを導入したという。この新しい配信ワークフローには、5台のBlackmagic Studio Camera 4K ProおよびATEM Television Studio Pro 4Kを含む、多数のBlackmagic Design製品が導入されている。

WOMBは最先端のエレクトロミュージックを届けるクラブで、国内のアーティストが世界的な名声を得られる登竜門にもなっている。最高級のサウンドシステムやライティングシステムを完備した同クラブは、世界的ダンスミュージックメディアであるイギリスのDJ Magの世界クラブランキング「Top 100 Club」に毎年ランクインしている。

WOMBでのイベントは人気も高く、国内のみならず海外からも多くの人々が訪れていた。しかし、2020年に始まった新型コロナウイルスの影響でライブイベントに規制がかかり通常営業が困難になった。そこでWOMBでは、コロナ禍以前から少しずつ始めていたライブ配信に注力し、3つのステージそれぞれからATEM Miniを使ってライブ配信を行い、その利用を拡大し続けてきた。

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2021年9月頃から、ようやくクラブでのライブパフォーマンスも始まり、それに伴い本格的な配信機材の導入が決まった。そこで導入されたのが、5台のBlackmagic Studio Camera 4K Pro、ATEM Television Studio 4K、Blackmagic Web Presenter 4K、Blackmagic Video Assist 12G HDRだ。

WOMBのデジタルマーケティングやオンライン配信業務などを担当し、自身でもYELLOCK名義で音楽活動をしている株式会社YELLOWの代表取締役 永松学氏は次のようにコメントしている

永松氏:コロナ禍に入り、多くのアーティストが音楽活動をする場所を失ったことにより、表現活動をする場所をオンラインに移行せざるを得なくなりました。ちょうどその頃に、Blackmagic DesignのATEM Miniを知り、弊社で制作を担当する多くのアーティストに個別での導入を強く勧め、配信のサポートを多数行いました。

ATEM Miniでの配信支援を行い、今回アップグレードした配信システムを導入してライブイベントを再開した。

永松氏:オーディエンスを会場に入れつつ、クラブイベントを配信することで、現地に足を運べない人でもイベントに参加ができ、配信での収益も得られるということが、1つ1つのクラブや1人1人のアーティスト単位で実現できるようになったことは画期的だと思います。Blackmagic Designの機材で、表現の幅が広がりました。

クラブなので基本的な環境光がかなり暗い上に、ライティングやLEDのスクリーンの照度が高いのでダイナミックレンジが広いカメラが必要でした。会場が広いのでケーブルも長距離延ばせることも必須でした。

また、遠隔でカメラコントロールができるものがいい、ということでBlackmagic Studio Camera 4K Proを導入しました。放送業界のように必ずしも毎回カメラマンがついて撮影するわけではないので、ATEM Television Studio 4K Proからカメラをコントロールできる点はかなり便利ですね。

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WOMBで絶大な人気を誇るアジア最大のドラムンベースパーティー「06S」のレジデントDJとして20年に渡って活動するDJ AKi氏は次のようにコメントしている。

DJ AKi氏:クラブが営業できなくなって、DJとして活動できなくなった時に、YELLOCK(永松氏)や周りの友人から自宅の押し入れからでもDJ配信を続けるように言われてATEM Miniを使い始めました。それから2年間、毎週欠かさず配信を続けています。

クロマキー合成やカメラなどは全てDIYで設置し、配線や技術も何もわからないところからやっていきました。今は、カメラ4台のスイッチング、MC、VJ、DJをすべてひとりでやっています。ATEM Miniは、配信をしているDJにとっては一家に一台という感じです。

機材導入の実験検証段階で、WOMBでのDJ AKi氏がレジデントを務める「06S」にて、Twitchでの同時イベントの配信が行われた。Blackmagic Studio Camera 4K Proで撮影した映像をATEM Television Studio Pro 4Kでスイッチングし、Web Presenter 4Kを使って配信した。同イベントでは、視聴者が投げ銭すると画面上にスタンプを表示させることができ、現場の空間演出にインタラクティブに参加が可能だったという。

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今後、ますます増えることが予想されるリアルイベントの配信。しかし、永松氏たちは単純にクラブイベントをそのまま配信することにはあまり興味がないという。

永松氏:もちろん今の状態でも、プロクオリティの配信はできます。ただ、それだとただの「中継」なので面白くない。オンラインとオフラインを融合した、WOMBならでは音楽体験を届けたいですね。Blackmagic Designの機材はSDKが公開されているので、オンラインユーザーのコメントや投げ銭で演出が変化したり、DJが鳴らすビートに合わせてカメラワークやスイッチングを連動させていくような音楽配信体験をWOMBから世界へ発信していきたいです。

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