株式会社アスクは、同社が日本正規代理店を務めるAJA Video Systems社の最新ポータブルデバイス「ColorBox」を発売した。希望小売価格は税込341,000円。
ColorBoxは、HDR/WCG変換ツールを使用した高度なアルゴリズムでの色変換と、LUT処理機能を備えた高性能なポータブルデバイス。ライブイベントや撮影現場、ポストプロダクションなどの制作現場に、正確かつ詳細な色空間の変換機能を提供する。
ColorBoxは幅広いHDR/SDR規格の変換に対応。DIT(デジタル・イメージング・テクニシャン)がルックの読み込み、調整、保存や、制作関係者とクリエイティブベンダー間で色の正確性を確保するための参考イメージ作成にも簡単に対応できる。より多くのプロダクションで4K/UltraHD HDRの制作が標準化され、ライブ制作または制作予定のコンテンツでルックの作成と実行に対応が求められている。ColorBoxは色とLUTの管理が不可欠な制作現場に最適だとしている。
12G-SDI入力/出力とHDMI 2.0出力を備え、最大4K/UltraHD 60p 10bit YCbCr 4:2:2および30p 12bit RGB 4:4:4信号に対応。ColorBoxには、33ポイント 3D LUTプロセッサーを利用するAJA Color Pipeline(ACP)Modeが搭載されている。
四面体LUT補完、ユーザーが構成可能な4種類の1D LUT、ユーザーが構成可能な2種類の3×3マトリックスが組み込まれている。ColorBoxは組み込みのRGBカラーコレクターとProcAmp、種類豊富なLUT/マトリックス/画像ライブラリ、高性能なキャプチャーおよびリコール(呼び戻し)機能、アンシラリー(ANC)メタデータ管理機能などもユーザーに提供する。これらの機能は、統合されたウェブブラウザベースのインターフェイスで簡単に制御が可能。
ColorBoxには合計5つのモードがあり、常に以下のどれか1つのモードで動作する。
- AJA Color Pipeline(ACP)
- Colorfront
- ORION-CONVERT(オプションライセンス ウォーターマーク入りのプレビュー)
- BBC HLG LUT(オプションライセンス ウォーターマーク入りのプレビュー)
- NBCU LUT
Colorfront社CTO、William Feightner氏は次のようにコメントしている。
Feightner氏:AJAの刺激的な新製品ColorBoxでは、HPA Awardを受賞したColorfront Engineで動作するColorfrontモードが提供され、最先端技術を用いたSDRとHDRコンテンツ間の変換が可能となりました。従来のLUTベースでの処理とは対照的に、Colorfront EngineのHuman Perceptual Model(人間の知覚を元にした)アルゴリズムは、不純物のない完璧な変換を保証します。これにより、確実に創作意図を維持できるのです。
また、Cromorama社の創業者でカラー部門の責任者であるPablo Garcia Soriano氏は次のようにコメントしている。
Soriano氏:ORION-CONVERTは、当社のお客様のためにカスタムメイドのカラーマネージメント変換を作成する必要から開発されました。シンプルで使いやすいユーザーインターフェイスと、前例のないハイライト制御により、最も厳格なライブ放送イベントやエピソードファイルベースのコンテンツ配信に対応できます。AJAの新製品ColorBoxへのORION-CONVERTの実装により、一般的なLUTソリューションよりも高精度な結果が得られるように最適化された浮動小数点演算処理を実現します。
ColorBoxは超低遅延な4K/UltraHD処理能力が高密度に詰め込まれたポータルブルデバイスだ。多くのアプリケーションに対応するSDR/HDR/WCG色変換機能により様々な用途に応用可能。
豊富なフレームキャプチャー機能により、前処理されたイメージのキャプチャーまたは後処理された出力のキャプチャーができる。参照用の静止画に、ビデオペイロードID、パイプライン設定、カスタマイズ可能なユーザーテキストなどのメタデータをオーバーレイ表示できる。フレームキャプチャーはColorBox内に保存され、ウェブブラウザベースのColorBoxユーザーインターフェイスを使用している設定用PCへ書き出せる。
搭載されたUSB OTGポートにサードパーティー製のUSB Wi-Fiアダプターを接続すれば、ColorBoxをワイヤレスで設定できる。12G-SDIおよびHDMI 2.0出力は最大4K/UHDビデオのローカルモニタリングが可能で、追加の12G-SDIループスルー出力は変更前のソースを他デバイスへと繋げるために利用できる。
ColorBoxの主要な機能
(以下、プレスリリースより引用)
- 最大4K/UltraHD 60p 10bit YCbCr 4:2:2および30p 12bit RGB 4:4:4信号に対応
- 12G-SDI入力/出力、ループアウト付き
- HDMI 2.0出力 5つのモードが利用可能:AJA Color Pipeline、Colorfront、NBCU、BBC HLG、ORION-CONVERT
- AJA Color Pipelineを使用した広範なカラー処理:映像操作/補正用の1D LUT、3×3マトリックス、3D LUTノード
- BBC HLG LUT や最適化された浮動小数点処理を備えたORION-CONVERTなど、さまざまな画像処理のニーズに対応するオプションのライセンスで一般的なLUTボックスよりも高い精度を実現
- デスクトップまたは1RUのラックに最大4台のユニットが収まる軽量かつポータブルなフォームファクター
- 直感的で使い勝手の良いウェブブラウザベースのユーザーインターフェイスとビデオプレビューによる信頼性のモニタリングを実現、4K/UltraHD フレームストアーキャプチャーと、16bit .TIFF、.JPEG、または.PNGファイルの呼び出しが可能
- セットアップと信号経路の検証を簡便にする万能なテストパターンジェネレーターを内蔵
- すべてのパラメーターをサードパーティー製品で制御できる広範なAPI/ソフトウェア開発キット(SDK)
- 処理された出力に重要な情報をオーバーレイし、ローカル使用やカスタマイズできるユーザーフィールドでキャプチャー可能
- ライブプロダクションワークフローで使用する際、ダウンストリームスイッチャーのタイミングウィンドウ内にソースが確実に残る超低遅延性能
- 4K/UltraHD HDRに対応したHDMI 2.0出力により、コンシューマー向けのディスプレイでコスト効率の高いモニタリングを実現
- 有線でイーサネットに接続できるだけでなく、USB OTGポートとサードパーティーのWi-Fiアダプターにより、ワイヤレスでウェブUIへアクセスが可能
- フレームストア.tiffファイルにオーバーレイまたは埋め込み可能なユーザー定義フィールドによるANC管理
AJA Video Systems社、社長Nick Rashby氏は以下のようにコメントしている。
Rashby氏:信頼性の高いハイエンドのカラー処理と表示は、視聴者の共感を呼ぶ台本やライブコンテンツを作成するために不可欠になりました。AJAはこの需要に応えてColorBoxを開発しました。HDRと変換技術に関する広範なエンジニアリングの背景と、カラーサイエンスの専門家とのサードパーティーパートナーシップを利用して、比類のない柔軟な画像処理ツールセットをこのデバイスで提供します。
ColorBoxはテレビ番組、シリーズ作品、映画、ライブイベント、コマーシャルの制作現場から、クリエイティブ、編集、フィニッシング用のスタジオまで、さまざまな環境のカラー管理と表示を合理化します。この製品を市場へ送り出せて嬉しく思います。