Biel Glasses社とパナソニックは、2021年から共同で開発を進めてきた視覚障がい者をサポートするスマートグラスのプロトタイプを初めて公開する。2023年1月5~8日に米・国ネバダ州ラスベガスで開催される「CES 2023」の両社のブースで参考展示される。
Biel Glasses社は、2017年に設立されたバルセロナを拠点とするスタートアップ企業だ。視覚障がい者の移動を支援することで、自律性の向上を図るスマートグラスを開発している。同社は、弱視で生まれた息子Bielのために解決策を求めていた医師と技術者である両親によって設立された。Biel Glassesの技術は、AIとロボティクス技術で現実世界を理解し、複合現実(Extended Reality)技術で患者の残りの視力に適応させることが特長だとしている。
今回展示する共同開発製品は、パナソニックの小型・軽量、5.2K HDR 対応のVRゴーグルと、Biel Glasses社の弱視者支援技術とを統合したスマートグラスのプロトタイプ。周辺視野の喪失(一般にトンネルビジョンとして知られ、緑内障や網膜色素変性症などの病気の影響)がある場合に、使用者が障害物やその他の危険を認識できるよう映像処理等を行うことで、自律的な移動をサポートするという。
主な特長
自律移動を支援
AIとロボティクス技術により、カメラとセンサーで捉えたシーンを分析し、障害物、段差、穴などの移動の際の危険を検出し、MR(Mixed Reality)技術により、使用者の残りの視力に合わせた映像表示を行う。
視覚特性に合わせた視覚情報サポート
検眼士が、視覚障害の状況や必要性に応じてスマートグラスの機能を調整する。最適な映像処理(ズーム、照明への適応、コントラスト強調など)で、視力を支援する。
装着負担の軽減
スマートグラスの映像表示にμOLEDディスプレーとパンケーキレンズを採用することで、小型・軽量、低消費電力を実現。これにより動きやすく、装着の負担を軽減する。
Biel Glasses社とパナソニックは、弱視支援サービスの事業化に向けて、今後も必要な技術開発と臨床検証を進めていくとしている。