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Blackmagic Designによると、Netflix配信用に制作された「西部戦線異状なし」のオンセットでの作業およびデイリーのカラー作業にDaVinci Resolve Studioが使用されたという。

エーリヒ・マリア・レマルクによる同名小説を基にした同作はドイツで制作され、2022年のトロント国際映画祭で封切られた。この反戦長編作はエドワード・ベルガー(Edward Berger)氏が監督を務め、ダニエル・ブリュール、アルブレヒト・シュッフ、ゼバスティアン・フールク、フェリックス・カマラー、アーロン・ヒルマー、エディン・ハサノヴィッチ、デーヴィト・シュトリーゾフが出演している。

同作は第一次世界大戦末期を舞台としており、仲間たちと共にドイツ軍に志願したパウル・ボイメルが、戦争の凄惨な現実を目の当たりにし、入隊当初の志が打ち砕かれていく様子を描いている。

Netflixでの配信用にAmusement Park Filmが制作を手掛けた同作は、ドイツ語での映画化は今回初めてで、撮影はASC/BSCのジェームズ・フレンド氏が手掛け、ユニバーサル・プロダクション・パートナーズ(UPP)が映像のポストプロダクションを行い、Goldcrest Postのシニアカラリストのアンドリュー・ダニエル氏がそのアシストを行った。

UPPはACESカラーマネージメント・パイプラインを用いて、コンフォーム、グレーディング、フィニッシングがそれぞれ円滑に引き継がれるようにした。

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ダニエル氏はメインの撮影が始まる前に、セットでのデイリーで使用するための変換LUTを複数作成した。ダニエル氏は次のようにコメントしている。

ダニエル氏:文学と映画の両方において、歴史のある作品です。そういったことから、同様の作品とは異なるルックにしたいと考え、彩度とコントラストを上げました。また、全体を通してグレインもわずかに適用しました。

エドワード・ベルガー監督とジェームズとは以前に「Patrick Melrose」で一緒に仕事をしたことがあったので、その際に便利だった手法を再び使用することにすぐに決めました。

フレンド氏によると、作品ごとに毎回何か新しい発見があるという。

フレンド氏:制作開始時点では作品をどのように見せたいかというのは分からない状態で始めます。ラッシュが出来始めると、徐々に物語を反映した方法に撮影を切り替えます。本作では、自然で、ありのままの空気感があり、その当時の環境と歴史に忠実であるようなルックにしたいと考えました。

同氏は、照明のダニエル・カフカ氏と緊密に協力し、自然なルックを追求した。

フレンド氏:自然光が大好きなんですが、質、色、方向が変わるので注意が必要です。そこで、ポリ板と鏡で光をバウンスさせました。アンドリューと、彼の適用してくれたグレーディングには助けられました。継ぎ目を感じさせないルックとなりました。デジタルインターミディエイトなしでは成し遂げれなかったでしょう。

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ダニエルとフレンドの両氏は、グレーディングを通して、シニアVFXスーパーバイザーのフランク・ペツォールト氏と密に進捗状況の連絡を取り合い、協力と話し合いを重ねた。VFXが460ショットにも及んだ同作の作業を行う上で、同氏は駆け込みのVFXショットの多くをDaVinci Resolve Studioで完成させられることにすぐに気づいたという。

ペツォールト氏:固定カメラのミックスでも、分割画面でも、修正でも、同じResolveプロジェクトを使用して、グレーディングの際にアンドリューと共に、編集や合成をすばやくラップトップで試すことができました。

ダニエル氏:こういった柔軟性と、シニアカラリストのデビッド・コウビック氏とUPPのスタッフとフィニッシングを行った際の効率性の高さのおかげで、本当に楽しく仕事ができました。本当の意味で情熱を傾けたプロジェクトでした。難しいテーマを扱い、生々しい作品ですが、戦争の本質と感情を美しく描き出すことができたと思います。

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同作は、2023年のアカデミー賞国際長編映画賞にドイツ代表として出品される。

「西部戦線異状なし」は現在Netflixで配信中。