Blackmagic Designによると、卓上RPGゲームをテーマにしたドラマシリーズ「The Game」では、撮影にBlackmagic Designのカメラを、編集およびカラーグレーディングにDaVinci Resolve Studioを使用しているという。
同作は、15歳の時から卓上RPGゲームの熱狂的ファンであるゲーマーのブランドンの姿を描いている。彼女が自分の兄弟と浮気しているのを知ったブランドンは、心を閉ざしてしまい、寂しさを紛らわすためにクレイグスリストにRPGゲーム仲間を探す広告を載せる。その結果として集まったのは、5人の変わり者ばかりだった。マット・カーティン氏とローレン・ヘニング氏により企画され、アマンダ・ソネンシャイン氏がディレクターを務めた同作は、実世界とゲーム内のファンタジーの世界が入り混じって展開する。
The Game | Official Trailer(2022)
プリプロダクションの初期段階で、ソネンシャイン氏は撮影監督のマーリン・ショーウォルター氏に連絡し、シリーズの視覚面での話し合いを始めた。
ソネンシャイン氏:本作は、カメラ一台を使ったコメディーとファンタジー物語を組み合わせた独自のスタイルであるため、それぞれに独特の視覚的スタイルを適用することが非常に重要だと考えました。
2つの世界を区別するために、ファンタジーのシーンはアナモルフィックレンズと2.35:1のアスペクトレシオを使用し、実世界では球面レンズを使い、単一のカメラによるコメディー番組のように撮影しました。
ショーウォルター氏は、球面レンズからアナモルフィックレンズにすばやく転換できるカメラが必要だった。
ショーウォルター氏:Blackmagic URSA Mini Pro 4.6K G2での撮影を決めた理由は、その汎用性と画質の高さです。
多くの場合と同様に、一つのセットアップから別のセットアップに変更する際のスピードは、カメラスタッフにとっても重要です。URSA Mini Pro 4.6K G2ではレンズとマウントを付け替えられるので、短時間でレンズの交換をできました。また、ユーザーインターフェースも直感的なので、臨機応変に調整を適用することができました。
ソネンシャイン氏は、Blackmagic URSA Mini Pro 4.6K G2デジタルフィルムカメラが物語を伝える上で役に立ったと語る。
ソネンシャイン氏:パイロット版のオープニングの場面では、登場人物たちがゲームテーブル上でつかみ合いの喧嘩をしている姿をスローモーションで見せたいと考えました。
ゲームマスターであるブランドンのギョッとした顔つきからズームが引かれると、プレーヤーの一人がボード上のサイコロすべてを床に落とします。URSA Mini Pro 4.6K G2の解像度とフレームレートにより96fpsで撮影できたため、このシーンに大袈裟で喜劇的な効果を与えることができました。このスローモーションは、今のところこのプロジェクトで最も気に入っているショットの一つです!
ショーウォルター氏にとって、カメラオリジナルのフッテージのストレージが重要だったため、Blackmagic RAWを撮影に使用した。
ショーウォルター氏:データ管理とポストプロダクションを考慮しつつ、最大限の画質を求めていました。
固定クオリティから固定ビットレートに切り替えられるので、ロケ地でカードを変えることが難しい場合でも問題なく撮影をこなす手助けとなり、VFXショット用などで、カメラの最大限の能力を引き出す必要がある場合も、簡単に切り替えられる柔軟性があることには助けられました。
また、Blackmagic RAWで撮影することで、カラーグレーディングで最も高い柔軟性が得られ、DaVinci Resolveの能力を最大限に活かすことができました。
パイロット版の編集で、DaVinci Resolve Studioの編集機能を初めて使用したソネンシャイン氏は、他のソフトウェアからの移行が簡単であることもDaVinci Resolveの利点であると語る。
ソネンシャイン氏:Resolveで編集するのは今回が初めてだったのですが、移行はとても簡単でした。
編集用のインターフェースは非常に分かりやすいですね。『The Game』はコメディーなので、カットのタイミングにおいて秒単位以下の精度が求められます。そういったミリ秒でのカットがResolveでは辛い作業となることなく、心地よく作業することができました。Resolveにすんなり移行できたことで、面白いテイクをより強調でき、実世界の出来事がファンタジーの世界と同時に起きていることをはっきりと分かるように編集できました。
カラリストのトッド・レイキャンプ氏は、同作に参加できることが嬉しかったという。ソネンシャイン氏は、ショーウォルター氏と共にプリプロダクションの初期段階で作成したスタイルガイドをレイキャンプ氏に送り、レイキャンプ氏がそれに基づき、DaVinci Resolve Studioでパイロット版のグレーディングを行った。
レイキャンプ氏:異なる世界を区別できつつ、互いを補い合うルックを作成するのは本当に楽しかったです。
グレーディングでは、実世界とゲームの世界を識別できるように彩度を変え、またスローモーションで撮影したショットなど、特定のシーンの明るさを調整した。
ソネンシャイン氏:トッド(レイキャンプ氏)は、こういったハイスピードショットの明るさを上げ、バーの他のショットとマッチさせました。これにより、高速フレームレートと通常のフレームレートでの撮影を頻繁に使用できるようになりました。
レイキャンプ氏:バーのシーンのルックは、登場人物がテーブルの上を動き回り、さまざまな角度で映っているので、セカンダリーウィンドウを多く使用して、スキントーンと輝度に一貫性を持たせる作業を行いました。また、照明を直に受けており、俳優の演技の邪魔になっていたので、テーブルの表面を可能な限りトラッキングしました。
バーのシーンは、夜であることを示すために暗くしたかったので背景を薄暗くし、窓や外からの明かりではなく、頭上からの光源であることを表現することに集中して作業しました。
ファンタジーのシーケンス、効果やVFXは、レイキャンプ氏に多くのチャレンジをもたらしたという。
レイキャンプ氏:違いがはっきり分かるルックを使用したのですが、バーと同じノード構造を維持することで、全てがマッチしつつ、壮大な感覚が得られるようにしました。
ファンタジー・シーケンスのVFXショットでは、Power Windowを多数使用してイメージを分離し、お城とドラゴンに視聴者の目を集中させるようにしました。これにより、VFXショットとファンタジーの世界の実写を上手くマッチさせることができました。
ショーウォルター氏は、カメラを複雑に動かしたシーンが最も気に入っているという。
ショーウォルター氏:楽しいはずのゲームが混沌とした状況に陥っていく中、ブランドンがショックを受けているショットが気に入っています。
ドリーを後ろに引くと同時に、ズームアウトするようにカメラをセットアップし、ブランドンの顔からフレームが広がっていくようにしました。これにより、他の登場人物たちが大騒ぎを繰り広げている様子が徐々に視界に入ってくるショットを撮影できました。
アマンダと私は、カラヴァッジオの古い絵画にヒントを得て、URSA Mini Pro G2で高フレームレートでシーンを撮影し、様式化された大袈裟な雰囲気を生み出すようにしました。何度かテイクを取り直し、リハーサルも繰り返しましたが、最終的に思い通りのショットを得られました。このシーケンスを見るたびに、満足して笑顔になります。
パイロット版は、現在YouTubeの@thegameseriesで視聴可能。「The Game」の最新情報は、TikTok、Instagram、Twitterでは@thegame_series、TikTokでは@thegameseriesで配信中。