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アドビは、Adobe FireflyとGoogleの会話型AIサービスであるGoogle Bardとの連携を発表した。これにより、Adobe Expressで、多くのユーザーがコンテンツ制作をより早く、より効率的にできるようになった。

3月にリリースされたベータ版のAdobe Fireflyは、最初の1か月間で7,000万枚以上の画像が生成され、それらを元にインスピレーションを得たり、クリエイティブプロジェクトを完成させたり、アイデアを探索したり、あるいは、純粋に楽しみながら利用されているという。一方であらゆるスキルレベルのクリエイターがAdobe Expressを活用して作品を作り出している。Adobe Expressは、SNS投稿、動画、画像、PDF、チラシ、ロゴなどを素早く、手軽に、楽しくデザインし共有できるオールインワンのコンテンツ作成アプリだ。

今後数か月以内に、Adobe Fireflyは、Google BardのジェネレーティブAIの筆頭パートナーとして、同サービスの「テキストベースの画像生成(Text to image)」機能の強化を支え、機能向上を図るとしている。これにより、あらゆるスキルレベルのユーザーが、自分の言葉を使用してGoogle Bardに自分のビジョンを伝えるだけで、その場で直接Adobe Fireflyが画像を生成してくれるようになるという。

また、Adobe Fireflyで画像を生成した後、そのままAdobe Expressを使用した編集や修正が可能になる。Adobe Expressが提供する高品質なテンプレート、フォント、ストック画像、アセットからインスピレーションを得ることで、より魅力的なコンテンツを作成することができるとしている。

例えば、ヨガスタジオをオープンする際に、新規顧客向けのSNS広告を作成したい場合、Google Bardに「ヨガのポーズをとるキリン」といった指示を伝えて画像を生成してもらうことで、どのようなコンテンツを作るかのインスピレーションを得ることができる。

生成したメイン画像をもとに、Adobe Expressの使いやすい編集ツールを活用して素早く仕上げることが可能だ。Adobe Expressに含まれるすぐに使えるテンプレートを活用したり、直接作成したコンテンツをSNSに投稿することもできる。

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Google BardでAdobe Fireflyを使用し画像を生成

Adobe Fireflyは、現在利用可能な他のジェネレーティブAIツールとは異なり、パブリックベータ版が終了した後、商業利用にも安心して利用できる画像を生成するよう、人気のアニメキャラクターやブランドコンテンツなどの著作物を含まないように設計されている。

Adobe Fireflyは、Adobe Stockが収蔵する数億枚のプロ仕様のライセンス画像(市場でも最高品質のライセンス済画像コレクションの1つ)でトレーニングされ、これには、オープンライセンスコンテンツや著作権が失効したパブリックドメインコンテンツも含まれる。

また、企業の担当者が、自社の既存のクリエイティブを使用してAdobe Fireflyをトレーニングできるようになり、各社で使用している用語や言い回しでのコンテンツ生成を可能にする予定だという。

Adobe Experience CloudにAdobe Fireflyを統合することで、マーケティング担当者はAdobe Fireflyを使用してコンテンツサプライチェーンの制作を加速させることができるとしている。

アドビは、コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)(英語)のオープンソース技術を利用して、Adobe FireflyとGoogle Bardで作成された画像に透明性を持たせ、デジタルコンテンツの作成者が自分のストーリーを正しく伝えることを可能にすると同時に、コンテンツがどこで、どのように作成または修正されたかを確認する手段をユーザーに提供する。

Google Bardで作成されたものも含め、Adobe Fireflyで作成されたコンテンツには、CAIが提供するコンテンツクレデンシャルが添付される。これは、コンテンツに自動的に添付される、いわばデジタル版の「成分表示ラベル」で、コンテンツの生成にどのAIモデルが使われたかなどの情報が含まれる。これにより、画像が人間によって作成されたのか、AIで生成されたのかが分かるようになっている。

CAIの技術がオープンソースであるということに加え、CAIは幅広いメンバーから支持され、急速なスピードで業界標準へとなりつつある。実際にこの取り組みには、グローバルなテック企業からメディア、カメラメーカー、報道関係者、クリエイター、研究者、NGOまでの多くのメンバーが参加しており、参加メンバー数は1,000以上の企業・団体に拡大したという。アドビは、コンテンツの帰属に関するオープンな業界標準の採用を促進し、クリエイターとコンテンツ消費者を保護することを目的として、2019年にCAIを設立している。

アドビは、Adobe Creative Cloud、Adobe Document Cloud、Adobe Experience Cloud、Adobe Expressの既存のワークフローにおいて、コンテンツが作成または変更されるあらゆる過程に埋め込めるようにAdobe Fireflyを設計している。

Adobe FireflyのアップデートやAdobe Expressに搭載されるその他の機能についても、今後数週間のうちに発表する予定だという。