ヒビノは、同社が提供する次世代のLEDディスプレイ・システム「Immersive LED System」が、ソニー・ミュージックエンタテインメントに所属する音楽ユニットYOASOBI のコンサートツアーZEPP TOUR 2024 “POP OUT”に採用されたことを発表した。
本ツアーは2024年3月9日に幕を下ろした。全国Zepp 6会場、全12公演にてのべ2万5千人の来場客に、楽曲の世界観とリンクした3Dコンテンツに入り込むかのような、新しい没入体験を提供できたという。
Immersive LED Systemを使ったコンサートは、アジア初の試みとしている。
同社ヒビノビジュアル Div.は、コンサート・イベントにLEDディスプレイ・システムを始めとする大型映像システムのレンタル・設置・オペレーションを提供する大型映像サービスを行っている。コロナ禍以降には、取締役常務執行役員 芋川淳一氏の指揮のもとバーチャルプロダクションやXR技術を活用したオンラインならではのステージ演出など、現実と仮想をシームレスに融合させる映像サービスの提供を開始。この「Mixed Reality(現実世界と仮想世界の融合)」と、それによってつくり出される「没入感のある空間」が、これからの大型映像サービスの要になるとの考えから、2023年11月に没入感をテーマにしたエンターテインメント体験を追求する研究開発拠点「Hibino Immersive Entertainment Lab」を開設。今春より運用開始予定の新機材Immersive LED Systemと他のテクノロジーを組み合わせたMixed Realityの創出に取り組んでいる。
今回のYOASOBIのツアーコンセプトは、「飛び出す」を意味する「POP OUT」。インターネットの世界に楽曲を投稿するところから始まったYOASOBIが、そこから飛び出し、リアルな体験を近距離で感じられるZeppを会場とするなど、あらゆる要素に「色々な枠組みから飛び出していきたい」という思いが表現されている。このライブハウスならではの距離感をさらに近づけ、YOASOBIを至近に感じられる瞬間をつくり出すため、先端技術で没入体験を追求する「Hibino Immersive Entertainment Lab」を視察し、画期的な3D空間表現を可能とするImmersive LED Systemの先行導入が決定。日本初の演出が飛び出す新しい没入型エンターテインメント体験が実現した。
ステージの間口いっぱいに幅14.4m、高さ4.8m(W3,840ピクセル×H1,280ピクセル)の3.75mmピッチImmersive LED Systemを観客エリアの視野に合わせて緩やかなラウンド形状にて設置。3Dメガネは、大人用(通常タイプ)、子ども用、常用メガネに装着可能なクリップ式の3種類を提供した。
3D演出は、コンサート中盤の5 曲に採用され、同社はコンテンツ制作にも参加。中でも3D演出の導入となる「Biri-Biri」と続く「怪物」の2曲は、限られた制作期間の中でImmersive LED Systemの3D効果を最大限に発揮させた驚きの没入体験に仕上げるため、取締役常務執行役員 芋川淳一氏の主導によりLiminal Space社と同社にて制作を共同し、Hibino Immersive Entertainment Labで3D効果の検証や調整を行ったという。
ステージ空間に浮かび上がる巨大な一冊の本。「POP OUT」と書かれた表紙が開くと、小説をもとにした楽曲制作を行うYOASOBIの世界が3D空間となって一気に飛び出し、観客はアーティストと共にPOPOUTの世界に入り込む。「Biri-Biri」では、ファンタジーな世界観とゲームサウンドを思わせるような軽快なエレクトロポップにインスピレーションを受け、ボクセルアートの世界に出現したバーチャルステージでのライブを具現化。
「怪物」では、牙をむいて見せる怪物のイメージと抽象的なオブジェクトをリズムに合わせて効果的に変化させ、疾走感とダークさをまとった世界観を表現。3D空間の深い奥行きをフォグエフェクトで強調したという。
SNS上では3D演出について「あんなに立体になるとは」、「ほんとに飛び出す絵本でした」、「3Dの演出がほんとに凄かった!実際のオブジェがあるのかって思うくらい」、「迫力がすごかった」、「演者との相性もよかった」、「未来のライブハウスだった」などの反響があったという。
これまでイベントで3Dが使用される機会は限られていたが、従来の立体映像技術の問題点であった視野範囲の狭さを克服したImmersive LED Systemでは、今回のように2,000名以上の観客が体験を共有し一体感を味わうことが可能となったとしている。
4月1日より本格提供を開始。短期から長期までのレンタルに対応
今回の先行導入の成功を受け、同社は4月1日よりImmersive LED Systemの本格運用を開始。コンサート、企業イベント、スポーツイベントなどへの短期レンタルから、テーマパークのアトラクションなどへの長期レンタルにも対応可能。システムの設計からコンテンツ制作まで一貫したサービスを提供できるとしている。なお、Immersive LED Systemについて、レンタル対応のストックを保有するのは世界で同社グループのみとだという。