リコーイメージングは、巻き上げレバーによる手動巻き上げやゾーンフォーカスによるピントの設定など、フィルムならではの写りに加えて、カメラ操作自体も楽しめる単焦点フィルムコンパクトカメラ「PENTAX 17」を2024年7月12日に発売する。希望小売価格は税込117,700円。
本製品は、2022年12月に告知したPENTAXブランドでフィルムカメラの開発検討をおこなう「フィルムカメラプロジェクト」としてスタートした企画から誕生。近年、初めてフィルムカメラに触れ、デジタルとは異なる独特の風合いを楽しむ若年層を中心にフィルムカメラの人気が高まっている。
一方、デジタルカメラが主流となった現在では、過去にフィルムカメラの開発に携わってきたベテランの技術者から若い世代の技術者へと技術を継承できる機会が年々少なくなってきているのが実情だという。
「PENTAX 17」は、リコーイメージング/PENTAXがこれまでのフィルムカメラ開発のノウハウを生かし、ベテランの技術者と若い世代の技術者が一丸となって技術を承継しながら、あえて全自動ではなく、人が操作する余地を残すことで、撮影者の個性や創造性が発揮できるモデルとして開発。
昔からフィルムを楽しんできた全世界のフィルムカメラファン、これからフィルムを始めてみたいという若い世代の方々に、写真の原点とも言えるフィルムカメラでの撮影を存分に楽しめるモデルに仕上げているという。
新製品PENTAX 17の主な特長
ハーフサイズフォーマットを採用
35ミリ判フィルム(36x24mm)1コマの約半分(17x24mm)を使用するハーフサイズフォーマットを採用。「PENTAX 17」ではフィルムを横方向に送る仕組み上、そのまま構えると縦位置の撮影となり、現在では多くのユーザーが日常的に使用されているスマートフォンと同じ感覚で撮影することが可能。
フィルムカメラならではの所作が楽しめる操作系
フィルムを1コマずつ巻き上げてシャッターを切るという、フィルムカメラならではの操作が楽しめるよう、手動の巻き上げレバーを備えている。PENTAXのフィルム一眼レフの巻き上げ機構を継承した設計で、巻き上げ時の滑らかな感触や巻き上げ音を楽しめる。
また、フィルムの装填はイージーローディング方式を採用し、初めてフィルムカメラを使用される方でも安心してフィルムをセットすることができる仕様としている。さらに、クランクによるフィルム巻き戻しや、ダイヤル操作による露出補正、ISO感度設定など、各所にフィルムカメラを使う楽しさが得られる機構を採用している。
定評あるレンズ光学系と最新のコーティング技術を融合した新開発レンズ
新たに開発した焦点距離25mm(35ミリ判換算で約37mm相当)の単焦点レンズを搭載。当社の単焦点コンパクトカメラで描写性能に定評のあった「PENTAX エスピオ ミニ」(1994年発売)のレンズ光学系をもとに、ハーフサイズフォーマット用に新規設計するとともに、高性能マルチコーティング”HDコーティング”を採用。クリアでシャープな描写を実現している。
また、画角は、ハーフサイズフォーマットカメラのベストセラー機「RICOH オートハーフ」(1962年発売)で採用していたレンズを参考にした、日常を気軽に撮影できる焦点距離としている。
アイコンを選ぶだけのゾーンフォーカスを採用
ピント合わせには、手動選択のゾーンフォーカス式を採用。近距離から遠距離までの6つのゾーンがゾーンフォーカスリングにアイコンで表示されており、撮影したい被写体に応じたアイコンを自身で選択するという操作を楽しみながら撮影をおこなる。マクロ撮影選択時は約0.25mの接写撮影が可能で、同梱のストラップを使用することにより、正確に撮影距離を測ることができる。
被写体をリアルタイムで確認できる光学ファインダー
光学ファインダーにはアルバダ式ブライトフレームファインダーを採用。通常の撮影視野枠に加えて近距離視野補正枠も備えており、選択しているゾーンフォーカスアイコンもファインダー内で確認することが可能としている。
7種類の撮影モード
搭載している測光センサーにより、自動で露出制御をおこなう。カメラまかせで撮影できる「AUTO」をはじめ、夕暮れ時などの撮影に適した「低速シャッター」や、夜景や花火などの撮影に適した「バルブ」モードなど、7つの多彩な撮影モードを備えている。また、独立した露出補正ダイヤルを備えており、被写体や撮影意図に応じて素早く露出補正をすることができる。
細部までこだわった高品質ボディ
フィルムカメラらしいクラシカルな本体デザインで、上下カバーには軽量かつ堅牢なマグネシウム合金を採用して剛性を高めている。また、レンズ前面にはフィルター径40.5mmの各種市販フィルターの装着が可能で、細部にまでこだわった、所有する喜びも感じられるデザインに仕上げている。
その他
(1)細かなフィルムISO感度(50、100、125、160、200、400、800、1600、3200)設定に対応
(2)背面に切り取ったフィルムのパッケージを入れておけるメモホルダーを装備
(3)ストラップ取り付け部を3か所に設け、撮影スタイルに合わせて横吊りや縦吊りが可能
(4)長時間露光(バルブ撮影)時に便利な「ケーブルスイッチCS-205(別売)」が利用可能