縦動画時代を意識した実践的な操作性

新型GoProを手にしてまず感じたのは、これまでのGoProとは明らかに方向性が変わってきているということだ。単なるアクションカメラの進化ではなく、映像制作の現場で本格的に使われることを意識したカメラへと近づいている。

東京駅でのテスト撮影は、その実力を確認する絶好の機会となった。まずは手持ちでのウォーキング撮影からスタートしたが、本体を縦に構えた瞬間、モニターのUIが自然に縦表示へ切り替わる。この挙動は想像以上に快適であり、縦型動画が主流となった現在のSNS時代において大きなアドバンテージとなる。

セルフポートレートを縦位置で撮影する

収録にはGoPro Logを使用した。発売前の段階ということもあり、専用LUTの整備状況などは今後の課題となるが、日中の映像を見る限り、ログ素材としてのポテンシャルは十分に感じられた。後からLUTを適用してカラーグレーディングを行うことで、高い解像感を持つ映像へと仕上げることができる。

注目すべきは、やはり8K記録への対応だ。これほど小さな筐体で8K収録を実現していること自体が驚異的である。

さらに実際の運用では、8K収録時でも高いレベルの手ブレ補正が維持されている。東京駅周辺を走りながら撮影した際も映像が大きく乱れることはなく、アクションカメラとしての強みはしっかりと継承されていた。

8Kでセルフポートレートを撮影する

レンズモードの使い分けも面白い。超広角のスーパービューから歪みを抑えたモードまで複数の選択肢が用意されており、用途に応じて柔軟に使い分けることができる。高画素化の恩恵もあり、従来モデルより自然な描写を選択しやすくなった印象だ。

実戦投入で確認した信頼性の向上

次に、2026年5月30日(土)に荒川河川敷で行われた「足立の花火(第48回)」の様子を撮影した。

今回の検証では、GoProだけではなく、RED HELIUM、ニコンZR、ソニーFX3、富士フイルムGFX ETERNA 55、Osmo 360、Osmo Action 6、ソニーa1など、総勢8台のカメラを投入した。

正直なところ、ここ数年のGoProはDJIやInsta360に対して後れを取っている印象があった。しかし今回の新型を使ってみた感触では、その差を取り戻しただけでなく、一部の性能では再び先頭集団へ返り咲いた印象を受ける。

特に大きな進化として感じたのが、熱耐性とバッテリー性能である。

これまでのGoProは、高負荷な撮影を続けると発熱停止やバッテリー切れへの不安が常につきまとっていた。しかし今回は、夏日を思わせる気温の中でも長時間の高負荷撮影を安定して継続できた。撮影中に停止する不安が大幅に軽減されたことは、スペック表には表れないが非常に大きな進化である。

映像表現の幅という意味では、4K 200fpsやHD 400fpsといった超高速撮影も見逃せない。

このフレームレートは一般的なミラーレスカメラやシネマカメラと比較しても極めて高い数値であり、編集時のスローモーション表現に大きな武器となる。実際に花火や高速移動する被写体を撮影すると、その威力を強く実感できた。

もちろん物理的な制約もある。フレームレートが上がるほどシャッタースピードを速く設定する必要があり、取り込める光量は減少する。そのため、HD 400fpsのような設定では夜間撮影時のノイズが増えやすくなる。

実際、足立の花火大会での検証では、その課題が明確に見えてきた。

大型モニターでGoProの最新データを確認した際、複雑な心境に陥った。8Kという仕様から期待は高まっていたが、実際にはISO 800付近からノイズが散見される場面もある。極めて高い画質であると断定するには、慎重にならざるを得ない。

新たに搭載された低光量モードも試した。確かに明るさは向上しており、他社のアクションカメラに対しても十分競争力を持つレベルに到達している。しかし、明るくなることと描写が洗練されることは別問題である。

大型モニターで細部まで確認すると、センサーサイズの違いによる限界はどうしても見えてくる。もっとも、今回比較対象となった機材はいずれも強力なシネマ機材であった。

ニコンZRのRAW収録はタイムラプスを含めると1.6TBに達し、GFX ETERNA 55も1時間で約848GBという膨大なデータ量を記録する。こうしたシネマ機材が持つ圧倒的な情報量と比較すれば、GoProが不利になるのは当然だ。

実際にニコンZRの映像を見ると、ノイズを極限まで抑え込んだ緻密な描写に目を奪われる。GFX ETERNA 55のF-Logオープンゲート収録も非常に高い完成度を示していた。RED HELIUMも依然として高い解像感を維持しており、シネマ機材としての底力を見せつける。

ソニーFX3についても興味深い結果となった。扱いやすさは抜群だが、高画素センサーからオーバーサンプリングを行う機材と比較すると、解像感の面で差を感じる場面もある。一方で、データ量は1時間あたり約100GB程度に抑えられており、運用面での優位性は非常に大きい。

画質競争ではなく機動力で勝負するカメラ

画質を追求すればデータ量は増える。このトレードオフは映像制作において避けて通れない問題である。その意味で、GoProはシネマ機材と同じ土俵で戦うカメラではない。

大型センサーが生み出す濃密な描写では、ニコンZRやGFX ETERNA 55に及ばない。しかし、圧倒的な機動力を持ちながら8K記録を実現し、高度な手ブレ補正と高い耐久性を備え、さらに4K 200fpsやHD 400fpsという特殊撮影まで可能にしている。

用途を見極めれば、その価値は非常に大きい。

スマートフォンやSNSでの視聴を前提とするなら、画質面で不満を感じる場面はほとんどない。縦型UIへの対応も含め、現在の映像制作環境に最適化された実践的なツールとして完成度を高めている。

シネマカメラの代替ではない。しかし、シネマカメラでは撮れない映像を撮るための機材としては、非常に魅力的な存在である。

今回の多角的な比較検証を通じて見えてきたのは、GoProが再び独自の立ち位置を確立しつつあるという事実だ。画質だけを基準にすれば限界は存在する。しかし、それ以上に機動力、耐久性、高速撮影性能、そして撮り切るための信頼性という強みがある。

アクションカメラという枠組みを超え、映像制作の現場で確かな役割を担うツールへと進化している。今回の新型は、その可能性を強く感じさせる一台であった。


羽仁正樹(Saha Entertainment)|プロフィール
東京を拠点にグローバルに活躍する映像クリエーター、写真家。自身が撮影し制作を手がけた映像・写真の作品は、TV番組や映画、世界各国で開催される展示会、ディスプレイ、TVCMやポスターなどの広告に多用された実績を持つ。