染瀬さんトップイメージ

Insta360が満を持して投入した「Insta360 Luna Ultra」は、単なるVlog用デバイスの枠を超え、本格的な映像制作の基準を塗り替えるポテンシャルを秘めている。

Leicaの光学技術を融合させたデュアルレンズと1インチイメージセンサー、圧倒的なディテールを刻む8K収録、そして最大12倍(ロスレス6倍)のズーム性能をポケットサイズに凝縮。

さらに、業界初となる「着脱式OLEDタッチスクリーン」は、本体から分離してのリモート操作を可能にし、ワンオペ撮影のワークフローを劇的に進化させる。

本記事では、正式発表に先駆けて本機を試用した筆者が、クリエイターの視点からその画質と機動力、そして独自機能の真価を検証する。

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概要

「Insta360 Luna Ultra」(以後:Luna Ultra)は、NAB 2026(米・ラスベガス)に参考出展されて話題になったInsta360とLeicaの共同開発による注目のポケットジンバルカメラである。

ポケットジンバルカメラとは、超小型カメラとブレを低減するためのジンバルが一体となった撮影デバイスで、主に日常や旅行、街歩きなどの動画をYouTubeやSNSにアップしているVloggerたちが愛用している機材だ。

そんなポケットジンバルカメラの世界において、このジャンルを開拓し続けてきたDJI Osmo Pocketシリーズの強力な対抗馬と目されているのが、この「Luna Ultra」である。

Insta360では、これまでスマートフォン用ジンバルのFlow 2 Proなどを開発、発売してきたが、ポケットジンバルカメラ市場へは初参入となる。

NABの会場では、「Insta360 Luna Pro」も同時に展示されていたが、今回の正式発表では、デュアルレンズを実装し、より高機能・高性能な機種と思われる「Luna Ultra」が先行してローンチされた格好となった。

正式発表に先掛けて、5月から中国、ドイツで予約が開始されていたが、6月10日に米国や日本で正式発表、6月13日より渋谷で体験会と予約販売が始まった。

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主な特徴とスペック

特徴

  • Leica Summicronレンズ+1インチ8Kイメージセンサー搭載
  • 8K Dolby Visionおよび4K120fpsスローモーションに対応
  • 5つの主要焦点距離を網羅し、最大12倍ズーム、6倍ロスレスズームに対応する望遠性能
  • トリプルAIチップ搭載、最大4K60fpsのPureVideo撮影に対応
  • 3軸機械式手ブレ補正+電子式手ブレ補正を実装
  • 肌トーンに最適化した調整可能な美顔モード。自然な背景ぼかし効果などポートレート表現が充実
  • 4K動画&4Kライブフレーム写真に対応
  • LEICAカラープロファイルに加え、6種類のシネマティックプロファイルを内蔵
  • ACE(Academy Color Encoding System:映画芸術科学アカデミー策定のカラーマネジメント規格)対応。柔軟なカラーグレーディングを可能にする10bit I-Log
  • 最大37MPのUltraPhoto
  • 最大200MPのパノラマ写真
  • 業界初の着脱式OLEDタッチスクリーンは、リモート操作に対応
  • グループトラッキングに対応
  • 最大4時間駆動のバッテリー
  • 内蔵ストレージに加え、外部メディアをサポート
  • POVヘッドトラッカーにより、新しいアングルを実現
  • 効率的なAI編集と豊富なテンプレートを用意

仕様

メインレンズ 1インチ(1型) 8Kセンサー搭載 Leica Summicron レンズ、F1.8絞り、14ストップのダイナミックレンジ
望遠レンズ プロ仕様望遠レンズ、F2.0絞り
ズームレンジ 1~12倍ズーム、最大6倍ロスレスズーム対応
チップ トリプルAIチップ:フラッグシップ4nmチップ+デュアルイメージングチップ
タッチスクリーン 着脱式2インチ(約5.1cm) OLED タッチスクリーン
最大動画解像度 8K30fps Dolby Vision、4K/60fps PureVideo
最大写真解像度 200MPパノラマ写真、37MP UltraPhoto
Logモード 10-bit I-Log ACES対応
バッテリー容量 1550mAh
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外観・デザインについて

Luna Ultraの重量は232g。ボディカラーは、黒と白の2色展開だ。

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まずLeicaのロゴと共に目を引くのがデュアルレンズの光学系であろう。向かって左側がメインレンズ、右側が望遠レンズの構成である。
メインレンズは、Leica Summicronレンズ、1インチ 8Kイメージセンサーを搭載。焦点距離は、20mm相当、絞りはF1.8、14ストップのダイナミックレンジを有している。

望遠レンズもLeica Summicron レンズで、1/1.3インチイメージセンサー、絞りはF2.0。ズームのレンジは1~12倍で、最大6倍のロスレスズームとなっている。

別途、アタッチメント式の広角レンズを装着した場合は、108°の広視野角を得る。

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光学系をLEICAと共同開発
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広角レンズのアタッチメント
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広角レンズを装着した状態

カメラを起動する際は、DJI Osmo Pocket 3や4と同じ要領で、タッチスクリーンを時計方向に90°回転させる。この2インチのOLEDタッチスクリーンでは、プレビューやタッチ操作による撮影設定が行え、シンプルなアイコン表示とわかりやすいビジュアルガイドから、直感的な操作が可能になっている。

タッチスクリーン画面の直下に配置されている2つのカスタムボタンは、デフォルトでは左ボタンにジンバルの向きの変更と360°パノラマ撮影が。そして、右ボタンには、フィルターの選択と指定が割り当てられており、任意にカスタマイズできる。

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タッチスクリーンの下方には、ジンバルコントロールとトラッキングのためのジョイスティック(左上)、シャッターボタン(左下)、インジケーターランプ(右上)、ズームボタン(右下)が配置されている。

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タッチスクリーン&ボタン操作部は本体から分離可能な独自仕様になっており、スマホアプリに接続せずとも、最大20mの遠隔からリモコン操作による撮影を実行できる。

このリモコンパーツには、ワイヤレスマイクも備わっているので、カメラから離れてワンオペで実況する場合なども、スムーズに撮影が行える。

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着脱式OLEDタッチスクリーン(リモコン)には、ワイヤレスマイクを配備

一方、スマートフォンを本体のNFCエリアにかざすと、速やかにInsta360アプリが起動され、アプリからのコントロールやファイル転送が可能になる。

カメラ本体の内蔵バッテリーの容量は1550mAh。分離リモコンパーツの内部にも210mAhのバッテリーが内蔵されている。

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本体のマイクには、物理的に風切り音を低減するためのウィンドガードが標準装備されている。

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本体マイクには、プレインストールされたウィンドガード

本体内部には47GBの容量のストレージが内蔵されている。本体右下には、マイクロSDカード用のスロットがある。

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本体正面の最下部にはスピーカーがあり、充電は底面のUSB-Cポートより行う。

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底面には、各種アクセサリーに対応可能な1/4インチねじハンドルやポータブル充電ができるバッテリーハンドルが装着可能で、これらは簡易三脚として機能する。

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1/4インチねじハンドル
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1/4インチねじハンドルを本体に装着
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バッテリーハンドル
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バッテリーハンドルを本体に装着

カメラは付属の保護カバーに収納できて、その保護カバー内部には広角レンズやブラックミストフィルター等を収納するスロットが用意されている。保護カバーの上部には、別売りの外部マイクのMic Proも設置できる仕様になっている。カバーに収納した状態でも充電が可能だ。

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保護カバー内に広角レンズを格納した状態

付属のケースには、本体他、主なアクセサリー一式がコンパクトに収納できる。

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3軸機械式×電子式補正で実現する映像安定化

「Luna Ultra」は、3軸機械式手ブレ補正+電子式手ブレ補正のコンビネーションにより、移動撮影やアクションシーンにおいて手ブレを抑制し、映像を安定化する。

ジンバルモードは、フレームを水平に保持する「ロールロック」、フレームを水平に保持してティルトを固定する「ロール&ティルトロック」、全方向においてハンドルの動きに追従する「FPV」、全方向においてジンバルがハンドルの動きに追従し、センタリング時にカメラがハンドルに対して垂直の状態を維持する「FPV-V」の4種から選択できる。

因みに、Luna Ultraを逆さに保持して撮影した場合も、Insta360 Studioによる「回転」の設定で正位置に復帰させることが可能だ。

以下の作例では、ジンバルモードをVlog撮影などに適した「ロールロック」に指定した場合の手ブレ補正効果が確認できる。

移動撮影 ジンバルモード:ロールロック 4K30fps

8K 1インチセンサーとトリプルAIチップで実現するプロ仕様の動画表現

「Luna Ultra」のメインレンズは、絞りF1.8、8K 1インチイメージセンサーによる14ストップのダイナミックレンジを有している。動画撮影の推奨設定は4K30fpsとされているが、日中の明るい環境であれば、8K30fpsの設定でも十分高画質が得られる。

標準動画 4K30fps

標準動画 8K30fps

また、「Luna Ultra」は、最大8K30fpsのDolby Vision撮影に対応している。Dolby Visionとは、実物に近い色再現性と幅広いダイナミックレンジを保有し、極めて高画質な映像を記録・再生するためのシネマティックなHDR映像技術だ。

一律に画像処理する静的HDRとは異なり、動的メタデータによりシーンやフレームごとに最適化処理がなされるため、夜景でも、白日の場面でも、白飛びや黒つぶれを抑えた自然で高精細な映像表現を可能にする。再生環境も、HDR対応テレビやスマートフォンまで広く普及している。カラーグレーディングなしの作例動画からも、リアルな空気感や奥行きが感じられると思う。

Dolby Visionを設定する場合は、撮影プレビュー画面において、右にスワイプ→ パラメータ設定→ プロフェッショナル→ カラーモード→ Dolby Visionへと設定する。

「Luna Ultra」は、強力なSnapdragonのフラッグシップチップを搭載し、高い処理性能と長時間のバッテリー駆動を実現しているが、8K30fpsは処理系統に負荷が掛かるため、本体が発熱する可能性がある。一般的なVlog撮影などでは、4K程度の解像度で十分と考えられるから、通常は4K30fpsを選択し、8Kはこれはという場面に決め打ちで使用することをお勧めする。

Dolby Vision 4K 30fps

Dolby Vision 8K30fps

Insta360シリーズに実装されているPureVideoモードは、高性能な映像処理チップとイメージセンサーにより、明るさとディテールを向上させて、暗所でもノイズを抑えた映像を実現する低照度撮影モードとして認知されている。

「Luna Ultra」に搭載されている独自技術のトリプルAIチップ(フラッグシップ4nmチップとデュアルイメージングチップの合計3チップ)は、AIノイズ低減による低照度画質を実現し、PureVideoモードで最大4K60fpsに対応する。

PureVideoは、1~12倍(20mm~240mm)の全ズームレンジをサポートしており、競合機の低照度撮影モードに対して優位性がある。

但し、安定して高画質な映像を得たい場合には、PureVideo設定時も4K30fpsを選択することを推奨する。極端に暗いシーンではフィルライトと併用するのがベターだ。

PureVideo 4K30fps

PureVideo 4K60fps

日中、手持ちの移動撮影や早い動きのある場面では、4K60fpを勧める。4K120fpsや1080p240fpsのハイフレームレートは、スローモーション撮影に利用できる。

晴天時のスポーツ撮影やペットが走りまわるシーンなど、移動する被写体に対してトラッキングモードを使用すると、ダイナミックな動きの瞬間をスローモーションとして捉えるのに効果的である。

スローモーション 4K120fps

「Luna Ultra」は、映像クリエイター向けに10-bit I-Logに対応、14ストップのダイナミックレンジを保持しているので、ポストプロ編集において、優れたカラーグレーディング耐性が期待できる。ハイライトやシャドウの復元を重視する場合、利用したい。

I-Logモード使用時は4K30fpsの設定で、3xまでの焦点距離の利用が賢明だ。晴天の輝度やコントラストが高い環境下の撮影が適している。ACESワークフローに対応しており、DaVinci Resolveと連携する。内蔵タイムコードは、複数カメラを使用する際、効率的な連携が実現でき、Final Cut ProおよびAdobe Premiere Proに対応している。

I-LogにLutを適用

最大37MPのUltraPhotoモードと200MPの高解像度パノラマ写真

次に写真モードを見てみよう。

UltraPhotoモードでは、アスペクト比が4:3の場合、最大解像度は37MP。16:9の場合は、最大33MPの静止画撮影が可能だ。

晴天や明るい撮影環境では、Ultra Photoを。次々に連続して撮影したい場合や、暗所や低照度環境では、標準モード(8MP)を推奨する。(Ultra Photoは、撮影後の保存処理に、多少時間を要する)アプリによって、静止画にはLeicaのウォーターマークを付与した演出を施すこともできる。

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アスペクト比4:3 解像度 37MP
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マクロ望遠の背景ボケ効果を演出した写真にLeicaのウォーターマークを付与してみた

パノラマモードに設定すると、全方位を19回分割撮影して、それらをステッチ・合成することで、アスペクト比2:1の200MPの360°パノラマ写真を生成することができる。

自然の風景や都市の景観を高解像度のパノラマとして記録したい場合に相応しい機能だ。生成したパノラマ写真は、Insta360アプリ内のギャラリーを始め、対応するプラットフォームやプレイヤーによって、VRパノラマとしてインタラクティブに再生することができる。ただし、人物を被写体としたり、手持ち撮影することには不向きなので、ハンドル三脚や一脚等を使用して据え置き撮影をすることになる。また、暗所や縦縞のあるシーンは、ステッチ処理の観点から苦手なため、避けるべきである。

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2:1の200MPの360°パノラマ写真
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写真モード内には、「ライブ写真」機能が用意されており、3秒間の4Kライブ映像と音声が保存される。シャッターを切った瞬間のみならず、その場の空気感や音までまるごと残せるのが特徴だ。アプリから編集したり、写真として切り出すことができる。

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ライブ写真のファイルをアプリで開いた編集画面のスクリーンショット
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調整可能な美顔モード

「Luna Ultra」の美顔モードは、顔を自動的に認識して、カメラ内処理により肌を明るく、ナチュラルな質感に補正する機能である。美肌レベル(色白〜小麦色)や滑らかさのトーンを任意に調整することが可能になっており、Vlogなどの自撮り撮影において重宝する機能だ。

対応モードは、標準動画は、最大4K30fps。PureVideoモードでは、最大4K60fps。加えて、標準写真(Ultra Photoは非対応)となっている。 また、独自機能として、カメラ内で直接色補正を行う内蔵色温度センサーが搭載されており、色かぶりを抑えることで、最適な肌色の再現に貢献している。アンチフリッカーセンサーは、人工光が原因のフリッカーを効果的に低減することに寄与する。

Leicaカラープロファイルやその他のシグネチャールックを内蔵

「Luna Ultra」のプロモードのレシピから、Leicaカラープロファイルを適用することで、Leica由来の上品な色表現を手軽に映像に適用することができる。その他、ポジフィルムやCCなどのシグネチャープロファイルも用意されており、様々な場面において、好みのフィルター効果をコンテンツに付与できる。

    テキスト
デフォルト:中彩度。日常的なシーン向き
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Leicaナチュラル:低彩度かつ高コントラスト
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Leica ビビッド:高彩度かつ高輝度
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Leica クローム:クリアで明るいトーン。自然な肌色の再現
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ポジフィルム:暖かみのある色調+高コントラスト
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ネガフィルム:柔らかなトーン
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CCフィルム:クリアで鮮やかな色表現
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NCフィルム:深みのある色彩+高コントラスト
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フレッシュ:低彩度でナチュラルな発色
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シネマティック:ヴィンテージフィルム風
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デュアルレンズによるズーム性能

「Luna Ultra」はLeica Sumicronのメインレンズと望遠レンズにより、5つの主要な焦点距離を網羅しており、6倍(120mm)のロスレスズーム、最大12倍(240mm)ズームを実現し、望遠域において、自然なボケ感が得られることが特徴だ。

ズーム操作は、独自設計のジョイスティックを利用した直感的な操作の他、タッチスクリーンの画面タップによる焦点距離の切り替え(1倍/2倍/3倍/6倍)、及び、長押しでの連続ズームに対応している。

デュアルレンズは、3倍(60mm)の段階で望遠側に切り替わるが、筆者の検証によると、連続ズームを実行した場合、環境によって、切り替え時点で僅かながらガタつきや色ズレが見られた。従って、編集によるカット割を利用することが無難だと思われる。また、オートであれば露出やWBが変化するから、スムーズなズーム効果を期待している場合は注意が必要だ。

因みに、低照度環境では最大3倍ズームまでの使用が推奨されており、明るい環境なら6倍以上のズームの使用もOKだ。

    テキスト
広角レンズを装着
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1倍(20mm)
Vlog、自撮り、建築、風景撮影などに適している
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2倍(40mm)
見た目に近い自然な画角が得られる
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3倍(60mm)
中距離のポートレート、静物、マクロ撮影などに適している
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6倍(120mm)
ポートレートなど背景を自然にぼかしたい場合など
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12倍(240mm)
コンサートや旅行などで、遠くの被写体を捉える撮影など
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印象的なボケ効果が得られる望遠マクロ撮影

望遠マクロの最短撮影距離は15cmである。およそ50cmまでの距離感の中、草花や昆虫などを、7倍前後の焦点距離で、被写体になるべく接近して撮影すると効果的だ。

3軸ジンバル手ブレ補正と電子式手ブレ補正により、手持ちの望遠撮影でも安定した構図を維持することができるため、動画のマクロ撮影においても、高精細なディテール描写が手軽に楽しめる。

移動する被写体を捕捉するスマートトラッキングの選択肢

Luna Ultraのスマートトラッキングには、Deep Track 5.0として、シングル人物&ペットトラッキングやマルチ人物トラッキングなどがあり、場面や状況に応じて使い分けできる選択肢が用意されている。

シングル人物&ペットトラッキングは、単体の人物の顔や上半身、全身などの複数部位のトラッキングやペットのトラッキングにも対応するものだ。

独自機能のマルチ人物トラッキングは、グループによるダンスの撮影、友人たちとの旅行、複数人が登場するVlogなどにおいて、撮影中、グループが常に中央に配置されるように維持される。

スマートトラッキングは、トラッキング中も自由にズーム操作が可能なアクティブズームトラッキング仕様になっている。望遠焦点距離においてもトラッキングが維持されるから、スポーツや子ども、ペットが走り回るシーンなどでも安心である。

3倍の望遠で被写体(シーバス)をトラッキングして撮影

構図にこだわりたい時に、3×3の黄金比の中で、選択した位置に被写体を配置できるのが、スマートフレーミングだ。撮影画面左側のTrackアイコンをタップして、位置ガイドに沿って被写体と背景をフレーミング、次に左側のGridアイコンをタップして構図を決めると、被写体がその位置に固定されたままで撮影できる。

スマートフレーミング。被写体を向かって左側に固定した構図で移動撮影

着脱式OLEDタッチスクリーン(リモコン)を試す

「Luna Ultra」の着脱式OLEDタッチスクリーンは、業界初の試みであり、競合機との大きな差別化ポイントとなっている。最大20mのHD映像伝送技術により、遠隔のモニタリングとカメラ操作が可能になり、ワイヤレスマイクを内蔵したことで、より撮影の自由度が高まった。

想定されるユースケースも、ワンオペによる実況、インタビュー撮影、動物撮影など多岐に渡る。

筆者の試用時、分離中の接続安定性は保たれており、最大通信距離とされる20m程度離れた状態でも、映像伝送や操作レスポンスの遅延は、ほぼ感じられなかった。

着脱式OLEDタッチスクリーン(リモコン)

選択肢が豊富な音声収録機能

「Luna Ultra」には、前述の通り、本体のウインドガード側のマイクの他、分離型リモコン内にもワイヤレスマイクが装備されており、それぞれ風切り音を低減したクリアで自然な音声が収録できる。

また、別売りのコンパクトなワイヤレスマイクInsta360 Mic Airや5月に発売されたばかりのフラッグシップワイヤレスマイクのInsta360 Mic Proとも、Bluetooth接続によりシームレスな接続が可能だ。

「Luna Ultra」はデュアル送信に対応しているから、2名が登場するVlog撮影等にも活用できる。

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Insta360のフラッグシップワイヤレスマイクのMic Pro

バッテリー性能や発熱について

「Luna Ultra」は、本体に容量1550mAhの内蔵バッテリーを搭載している。バッテリー駆動時間は、使用環境によって異なるが、公式の資料によれば、試験条件が25℃の環境において、耐久モード/1080p24fps/アクティブHDRをオフに設定した場合、最大4時間の使用が可能とされている。PD急速充電にも対応し、23分で80%までの充電が可能になっている。

生憎、筆者が検証した段階で、実機には耐久モードが対応しておらず、同様の条件で試すことはできなかったが、8K30pの場合、実動時間が37~49分。筐体の最も高温になった箇所の表面温度が49~53°Cになった時点でサーマルシャットダウンした。その際の室温は23.3°Cであった。

まとめ

試用を通じて明らかになったInsta360 Luna Ultraの優位性としては、Leicaの光学設計と1インチ8Kイメージセンサーによる描写力。 14ストップのダイナミックレンジと8K Dolby Visionに対応することで、ポケット機とは思えないシネマティックな映像を提供できる点にあると感じる。じっくりカラーグレーディングができる場合は、I-Logを。後処理に余裕がない場合は、Dolby Visionを利用するのも良い。

一般的なVloggerにとっては、8Kはオーバースペックとも考えられるが、光学2眼システムによる望遠性能、120mm相当までのロスレスズームは、Vlogにも豊かなボケ味やマクロ撮影のバリエーションをもたらす強力な武器となるだろう。

革新的な着脱式リモコンによる遠隔からのモニタリングと操作は、三脚据え置きや自撮りシーンでの自由度や撮影効率を劇的に向上させる。

留意すべき点としては、3倍付近のレンズ切り替え時の挙動として、画質に僅かな変動が見られる場合があるため、スムーズなズーム効果を期待するシーンでは、編集を前提としたカット割りの工夫が必要だろう。また、8K30fpsでの連続撮影では、40〜50分程度でサーマルシャットダウンが発生する可能性がある。高負荷撮影時の熱管理を念頭に置き、実運用では、通常撮影の4K30fpsと、勝負どころの8Kを使い分ける判断が求められる。

既存のジンバルカメラのズーム性能や暗所の画質に限界を感じていたVlogger、あるいは、機動力と高画質を高次元で両立させたいビデオグラファーやプロカメラマンにとって、Insta360 Luna Ultraは、有力な選択肢となるだろう。プロの現場においては、メイン機やサブ機として通用する可能性を感じる。

昨今、Insta360とDJIは、360°カメラや360°ドローンの製品で、激しく競合している。DJIは今年5月に フランス・カンヌにて新型のデュアルレンズの ジンバルカメラ 「Osmo Pocket 4P」のプレミアイベントを開催しており、近々、正式に発表される見込みである。今回のInsta360のポケットジンバルカメラ市場への参入により、両社の開発競争は一層熾烈なものになっていきそうだ。今後の両社の動向から、ますます目が離せなくなってきた。

WRITER PROFILE

染瀬直人

染瀬直人

映像作家、写真家、VRコンテンツ・クリエイター、YouTube Space Tokyo 360ビデオインストラクター。GoogleのプロジェクトVR Creator Labメンター。VRの勉強会「VR未来塾」主宰。