異常気象と赤い風が吹き荒れる!RED 実機登場
今年の注目された出展物といえば、やはりRED と言うほかないだろう。満を持してRED Digital Cinema社は、安価で4Kが実現できるデジタルシネマカメラRED ONEを送り出した。連日2時間以上並びブースの周りを人が取り囲んだ注目度は驚きだ。これまで人気を呼ぶREDとは一体どんなカメラなのだろう?
昨年REDがNABに登場した時は、まだ実物はなくビジネスモデルとアルミ削りだしのモック展示のみに終った。その評価は、賛否両論で今年の動向が注目されていた。
何よりもブースの大きさが昨年の倍になり、Appleとアライアンスを組んだことは、関係者や参加者を驚かせた。さらに実際に稼動するRED で作品が制作された事も大きいだろう。「ロードオブザリング」や「キングコング」を制作したPeterJackson監督が約10分のフッテージを撮り下ろしている。カメラを貸し出し2日間で撮影されたそうだ。その結果が連日2時間以上並ばなければ、実機を見ることが出来ない人気となったのだろう。しかしながらそのポテンシャルは未だ不明であるともいえる。4Kと言う高解像度を収録し、編集するまでのワークフローなど不明な点が多い。カメラでRAWファイル撮影(RED RAW)を行いPCにREDCINE(専用ソフト)でダウンロードし、汎用のビデオフォーマットに変換する。中でもPro Resファイルに変換し、Final Cut Studioで編集するステップを推奨している。実際にAppleブースでもREDで撮影されたファイルでデモを行っていたが、非圧縮のファイルを間違って扱うなどのミスもみられた(筆者、こっそりファイルを触り修正)。
カメラ本体はRED ONE CAMERA($17,500-)とネーミングされ、必要に応じてパーツを組むのが基本。レンズはオリジナルで3本用意されているが、マウントを使うことでCanon、Nikonなど汎用のレンズが使用可能だと言う。 SonyやPanasonicが毎年熾烈な争いをする中で突如現れ、果敢に大手に挑むREDに多くのカメラファンは、賛辞を送る。日本で言えば、トヨタ、日産などの大手メーカーに対抗する光岡自動車のような存在に他ならない。さらにこのまま蜜月ぶりがうかがえるAppleがREDを買収し、iCinemaなるカメラを出してもらいたいと言うのが個人的な意見だ。あくまでも独断と偏見ではあるが。