NAB2008 Exhibition 本日よりスタート!!
エキシビジョン初日。今日からが本番ともいえるNAB。先週末からのアメリカン航空MD型機体再点検による大量欠航で、運行キャンセル、地方線経由の振り替え、オーバーブッキングなど、ラスベガスに入るだけでも混乱が生じ、参加者の入りはどうなるのかと心配してもいた。しかし始まってしまえば、ダラス経由など時差を越えての移動や、レンタカー移動などで、欠航を感じさせない参加者の入りとなった。
Avid TechnologyとAppleのいないサウスホールは、入ってすぐの位置にトムソンが陣取った。Avidの紫から、THOMSONの赤に!それだけでも雰囲気は変わる。その先には、囲いやカーテンのないオープンなブースに変更したAutodeskが、ブロードキャスト&ポストプロ市場への開放をアピールするようなブースを構えた。開放的なブースになったものの、相変わらずユーザーコンテンツの入った構図の写真撮影は不可なので、絵にならずに困ってしまう。
制作ソリューション関連としては、今年は、遠距離マルチポイントの制作とコンバータ関連に焦点が当たっている。相変わらず、処理の重いAVCHDコーデックの軽快な編集については不透明感が漂い、マシンスペック次第の先送り状態であるのは残念なところだ。
RED DEGITAL CINEMA – ブースの中も外も大混雑
デジタルシネマではもうその名を知らない人はいないといっても過言ではないRED DEGITAL CINEMA社。そんなRED社のブースは入場制限が引かれ、ブースの外は大混雑、ブースの前にも裏側にも行列ができる盛況ぶりだった。
RED社によれば、2009年目途に現在の4KカメラRED ONEに加え、5KカメラRED EPIC、3KカメラRED SCARLETの発売を計画しているからだ。それら新製品への期待と、現行RED ONEをまだ試してみたいユーザーでごった返していた。
SONY – XDCAMを前面に押し出したブース展開 PMW-EX3に注目が集まる
SONYブースでは、機能の記者会見で発表したばかりのPMW-EX3を初め、新製品ラッシュとなった。 PMW-EX3の詳細が多少なりとも見えてきたのでお伝えしよう。
カメラ部・記録部ともにPMW-EX1からの変更はない。つまりカメラ性能は同じということだ。また、交換式になったレンズマウントだが、EXマウントという独自形状のため、通常のENG用のレンズを使用するには、付属するマウントアダプターを取り付ける必要がある。さらにビューファーと液晶が兼用型(液晶にアイカップをかぶせる構造)になっている。
NABではHDVよりもXDCAMを前面に押し出したブース展開がなされており、XDCAMカムコーダー単品ではなく、システムとしてのソリューションを前面に打ち出していた。
ちなみにガラスケース内のR&D SAMPLEは、バッテリーとカメラの間にマウントするSxSメモリーカードレコーダーとのこと。発売時期など未定とのことだ。
そのほかにも、液晶マスターモニターTRIMASTERの42インチモデルBVM-L420やデジタルワイヤレスマイクロホンなどが展示。
Avid – FireWireからPCI Expressへと変更した入出力デバイス2種類を発表
Avid Technologyは13日、14日の両日、ハードロックホテルでクローズド・ユーザーイベントを行い、ノンリニアアクセラレーターAvid DNA入出力デバイスの新バージョン、Avid Mojo DXとAvid Nitris DXを発表した。
PCI Expressバスを使用することにより高速化を図り、HDV、XDCAM HD、AVC-Intra、Avid DNxHDといったHDコーデックをリアルタイムで扱えるように最適化した。大きさは、Avid Nitris DXが2.5Uのラックマウント筐体で、Avid Mojo DXはA4ワイドラップトップサイズ(1Uラックマウントも可能)だ。Avid Mojo DXとAvid Nitris DXの発表により、ノンリニア編集システムの構成も変更。
Avid Media ComposerとAvid Symphonyで、Avid Mojo DXとAvid Nitris DXを組み合わせたモデルを6月に投入し、SONY XDCAM EX、Panasonic AVC-Intra 50/100にも対応する。新デバイスは、HPやソニー、松下の各ブースに出展している。
FOCUS
弊社でも販売の多い数ポータブルハードディスクレコーダーのメーカーFocus社からは、FS-4よりもスリム化したFS-5が登場。
幅 約7cm、長さ 約13.7cm、厚さ 3.1cmのスリムサイズに1.8インチの100GBハードディスクドライブを搭載。10秒のキャッシュを有しているので、衝撃にも安全な設計がなされている。
FS-4Pro同様にQuickTime HDVをサポートしているため、FinalcutProでのHDV編集にもファイル変換を必要としない点は従来同様に使い勝手がよいだろう。
またFS-5 オプションのIEEE802.11ドングル(無線LAN)を接続することで、映像の記録中にPCのブラウザを通してFS-5にアクセスして、メタデータを書き込むことが可能。
この作業で、ファイル転送後にシーンを探したりせずともメタデータの内容を参照することで作業効率を上げることができる。
Blackmagic Design – エンコーダーやコンバーターの新製品を発表
BlackMagicDesign社のブースにはショーケースに新製品が数多く展示されていた。
まずは、USB接続のH.264ハードウェアエンコーダー Blackmagic Video Recorder。アナログコンポーネント・コンポジット・S Videoのいずれかから映像を入力させ、専用アプリケーションから対象となるモバイルプレーヤーや動画アップロードサイトを選ぶだけで、最適なサイズに圧縮してキャプチャしてくれるというもの。
昨今のモバイルプレーヤーの普及により、動画ファイルを持ち出すユーザーや、Youtubeなどへ動画をアップロードするユーザーが増えたことによる背景があるという。 SDI入力(9pin VTRコントロールもできる)モデルも上位機種として発表されたが、モバイルプレーヤーや動画配信サイトへSDI入力する必要があるのかには疑問が残るところだ。
続いて、3Gb/s SDI、HDMI、3DLUTに対応したDeckLink HD Extermeを発表。
Blackmagic Designは、HDMIキャプチャ/再生と3Gb/s SDIに対応し、3D LUT(ルックアップテーブル)機能を加えたDeckLink HD Extermeを995ドルで発売した。DeckLink HD Extermeのボードに加え、3Gb/s SDI入出力とブレークアウトケーブルでの対応となっている。2系統のHDMIは、DeckLink HD Extermeのボートとは別のスロットのフタを交換して装着でできる。
その他にもミニコンバータが登場。SDI to Analog、Analog to SDI、SDI to HDMI、HDMI to SDI、Mini Converter Sync Generatorなど用途に応じた使い分けが可能だ。
Convergent Design – HD-SDIをMPEG-2に変換してCFカードに記録するFlash XDRを発表
Convergent Designは、HD-SDI映像信号の入力をMPEG-2に変換してコンパクトフラッシュに記録するフラッシュメモリレコーダーFlash XDRを発表した。
HD-SDI信号を変換して、4スロットあるコンパクトフラッシュに順次記録していく。コンパクトフラッシュ4枚といっても、ストライピングしているのではなく、各メディアごとに記録していくという。ソニーのエンコードチップを採用することで、コンパクトフラッシュに記録する映像フォーマットはMFX形式を採用した。
ノンリニア編集ソフトウェアが、ソニーのXDCAMなどで採用されている4:2:2フルラスターのMXF形式MPEG-2(160Mbpsまで)に対応していれば、トランスコードすることなく映像を扱うことができるという。5月から4995ドルで発売する。8/10bit 4:2:2非圧縮をサポートするバージョンは今秋投入する予定。価格は未定。
Roland – 映像制作向けポータブルHDDレコーダー
Roland社のブースには新製品のビデオフィールドレコーダー F-1が登場。 HDV・DV入力に対応したポータブルハードディスクレコーダーだ。
特筆すべき性能として、この種のハードディスクレコーダーにありがちな4GBによるファイル分割が起きないという点、さらにアナログ音声入力を2ch有しており、録画の際にHDV・DVのファイルとシンクロしたbwfファイルが記録できるという点だ。
ライブなどでは音圧でハードディスクが誤作動するケースもあることから、音圧対策を施し、大音響のライブハウスなどでの運用も可能にした。ライブ収録などマイクロホンの集音と会場ラインを別々に入力したい場合などに威力を発揮するのではないだろうか。内部のハードディスク容量は120GBで、ホットスワップが可能なリムーバブルドライブ方式を採用。オプションのRemovable HDDを購入すれば、交換して使うことも可能だ。
電源周りもキャノン4pinによる12V駆動、乾電池8本による電池駆動、ACアダプタ(オプション)での使用が可能。オプションにはVマウントキットあるため、カムコーダーの背面に装着することもできる。
さらに、本体にVGAアウトを有しているので、ファイル管理などをGUIベースで行うことが可能だ。 映像の録画から音声の収録まで1台で兼ね備えたオールマイティに使える製品といえるだろう。
TASCAM – ポータブルステレオレコーダーDR-1/HD-P2を出展
TASCAMは、メモリーカード記録型のポータブルステレオレコーダーDR-1/HD-P2を出展した。
DR-1は、SDHCカードに記録する手のひらサイズのポータブルステレオレコーダー。44.1kHzまたは48kHzで24bitレコーディングが可能。記録フォーマットはWAVまたはMP3。HD-P2はコンパクトフラッシュを採用した小型のポータブルステレオレコーダー。ファントム電源供給が可能なXLRマイク入力を装備し、192kHz・24bit・WAVでのレコーディングに対応する。SMPTEタイムコードの記録にも対応している。IDX – ワイヤレスビデオ音声伝送システムにHDモデル
IDXはワイヤレスビデオ音声伝送システムにHDモデルが登場。現行のCW-5の上位モデルとしてCW-5HDを出品した。
現行のモデル同様にIEEE802.11aの5GHz帯を使用。そのため国内販売時は屋内での使用が限定されそうだ。さらにHDの高解像度を伝送するためMIMOの技術を採用したとのこと。トランスミッター側の入力はHD/SD SDI。音声は2chのembeddedが可能だ。
ブライダル市場や会館ホール設備としての需要が見込まれる。発売は7月ごろを予定しているとのこと。
もうひとつ出品されていたのが、X3-Liteの上位モデルとなるX5-Lite。現行のX3-Liteでは、12V 35W相当の明るさだったものが、12V 50W相当の明るさになった。その分消費電力は現行11Wから13Wへと若干増えている。
sachtler
三脚メーカーsachtlerからは、HIPOD三脚 Soomが展示。最長2.5m近くまで伸ばすことができ、俯瞰撮影などに威力を発揮するだろう。
また、同社のビデオライトReporterシリーズにLEDを採用したReporter8 LEDが登場。消費電力は8W、入力は6V?24Vに対応。
zylight
マサチューセッツ州に本社を置くzylight社では、一風変わったライトを展示。
一見普通のLEDライトに見えるが、色温度の調節が可能なライトだそうだ。カメラに色温度を調節する機能は、最近のカメラでは当たり前になりつつあるが、ライトであわせるとなると、これまではフィルターが必須だった。
手元側のコントロールパネルのダイヤルを操作することで色温度が変化する。 2,500K?9,000Kの間で調整ができ、設定値をメモリーすることも可能だ。
本体とアクセサリシューアダプタがセットされたENGキットで$1,050。 LEDライトとしては高価な部類だが、都度アンバーのフィルターやBフィルターを用意していたユーザーには便利なグッズといえるだろう。
MOVCAM
中国は広東省深セン(センは土偏に川)からやってきたMOVCAM。カメラスタビライザーを取り扱うメーカーだ。
よく見るアームベスト型のスタビライザーだが面白い特徴があるのでピックアップしてみた。
ベストとアームの結合部、通常アームロッドを装着すると取り外しは面倒だ。
しかし、MOVCAMは違う。アームロッド横のリリースピンをプッシュして抜けば、アームをはずすことができる。
無論、ベスト側にはアームロッドが刺さったままになっているので、そこにアームを戻しピンを埋めれば即撮影に入ることができる。
またスレッド本体のカメラ取り付け部は一般的なビデオ雲台同様、スライドプレート方式を採用。
微妙なバランス位置を探る際に操作しやすいだろう。
本体の主軸も長さの調節が可能。またカメラ取り付け部から下部液晶モニタまでの映像伝送ケーブルはSDI信号にも対応している。
開催初日の様子
展示会がスタートしたこともあり、昨日までの静けさとはうってかわって、どこにいっても大勢の来場者でにぎわっていた。