恒例のプレスカンファレンスデー
13日は各所でプレスカンファレンスが催された。14日からの展示会を前に、様々な発表が行われる。インターネット上のニュースリリースもこの日を以って解禁、というメーカーも多く、続々と情報が手元に届きはじめた。
SONY Press @Bally’s EventCenter
次世代XDCAM EXカムコーダー「PMW-EX3」を発表も、国内投入時期未定
ソニーは13日、ラスベガス市内のBally’sイベントセンターで記者会見を行い、ExpressCard規格準拠のSxSカードを使用したフラッシュメモリー記録型カムコーダーの新製品として、セミショルダー型のXDCAM EXカムコーダー「PMW-EX3」を発表した。
現行のハンディ型であるPMW-EX1に比べて、全長を長くして後端を上方に持ち上げたような筐体を採用している。
レンズマウント方式を採ったことで、レンズ交換も可能になった。Gen-lockとタイムコード入出力も搭載し、マルチカメラとしての運用も可能にした。気になる日本での正式発表時期は未定。発売時期・価格についても未定とのこと。
CineAltaデジタルシネマカメラ「F35」を今秋から全世界発売
ソニーは13日、ラスベガス市内のBally’sイベントセンターで記者会見を行い、CineAltaデジタルシネマカメラ「F35」を今秋から全世界発売に切り替えると発表した。F35は、Inter BEE 2006(国際放送機器展)で発表し、日本市場に先行投入してきたデジタルシネマカメラ。スーパー35mmフィルム相当の大きさを持つ1920×1080 RGB単板式CCDと、PLレンズマウントを採用することで、映画用35mmフィルムカメラレンズ系との互換性を重視した作りとなっている。その他、HDVレコーダーの新機種「HVR-1500A」「HVR-M25AJ」「HVR-M15AJ」を発表。それぞれ6月以降の発売を表明している。価格はまだ未定のようだ。
Panasonic Press @Planet Hollywood
待望のデジタルシネマトグラフィカメラVaricamの後継機を発表、P2 HD仕様に
Panasonicは13日、ラスベガス市内のPlanet Hollywoodで記者会見を行い、デジタルシネマトグラフィカメラVariCamをP2 HD対応した次世代機P2 HD VariCamシリーズを発表した。
撮像素子に2/3型220万画素3CCDを採用したシネマカメラ型のVariCam 3700「AJ-HPX3700」は、記録コーデックにAVC-Intra 100を使用し、1920×1080解像度で4:2:2 10bitフルラスター、ネイティブ記録を行う。DVCPRO HD、AVC-Intra 50もサポートする。可変速は、1fpsから30fpsまで。
出力端子には4:4:4 RGBデュアルリンクとsimultaneous 4:2:2 HDを搭載する。発売は今秋を予定している。
P2 HD仕様のVaricam「AJ-HPX2700」も発表
撮像素子に2/3型100万画素3CCDを採用したP2HD VariCam 2700「AJ-HPX2700」は、1080または720の解像度でフルラスターの記録が可能だ。記録コーデックは、1080または720解像度の時にAVC-Intra 100での記録が可能で、DVCPRO HDまたはAVC-Intra 50もサポートしている。
いわば、P2 HDカメラの可変速シネマ対応を図ったカメラと言える。可変速は720p解像度で可能、1fpsから60fpsまで。出力端子にHD-SDIを2基搭載する。発売は今秋を予定している。
64GBのP2カードも発表し今秋に出荷する予定
Panasonicは13日、次世代デジタルシネマトグラフィカメラP2 HD VariCam 2機種の発表に合わせて、今秋に64GBのP2カードを投入することも明らかにした。64GBのP2カードを使用した場合、DVCPROで4時間以上、DVCPRO50またはAVC-Intra 50で2時間以上、AVC-Intra 100またはDVCPRO HDで約64分の記録が可能になるという。
Autodesk Press @LVCC
VFX・フィニッシングシステムInferno、Frame、Flintの新バージョンを発表
Autodeskは13日、ラスベガスコンベンションセンターで記者会見を行い、ビジュアルエフェクト・フィニッシングシステムのInferno、Frame、Flintの各システムをバージョンアップし、Inferno 2009、Frame 2009、Flint 2009として発表した。
4月中に出荷する予定。「放送・ポスト」市場に向けシステムを強化し、Panasonic P2 HD(DVCPRO HD)のMXFファイルと、スタンダードなQuickTimeコーデックの読み込みに対応した。
オートデスクのシステムで、映像圧縮コーデックの読み込みに対応したのは今回が初めてとなる。マルチレイヤータイムラインでSmoke SoftFXをサポートするなど、タイムライン機能を強化し、オートデスク編集システムとの連携を改善している。Inferno、Frameには、オートスタビライゼーション機能を搭載したほか、3Dトラッキングツールの強化によりマッチムーブ処理を高速化した。
編集システムの新バージョンSmoke 2009を発表
Autodeskは13日、ラスベガスコンベンションセンターで記者会見を行い、編集システムの新バージョンSmoke 2009を発表した。VFX・フィニッシングシステムと同様に、「放送・ポスト」市場に向けシステムを強化し、Panasonic P2 HD(DVCPRO HD)のMXFファイルと、スタンダードなQuickTimeコーデックの読み込みに対応した。
Smoke 2Kにおいては、新しいツリー構造を持ったコンポジティングワークフローBatchFXを搭載することで、Smokeのエディトリアルタイムラインと3Dコンポジティング環境を連携させ、オートデスクのVFX・フィニッシングシステムとの親和性が向上した。
この日の感想
毎年、エキシビジョン開幕前日となる日曜日は、朝からプレス発表が相次ぐ。日曜日に発表する会社は、ホテルのボールルームやレストランなどで行うことも多く、プレス発表会場から次の会場へ連絡バスの運行もあったりするが、渡り鳥のようにプレスバッジを付けた人が移動していくのが常だ。
そんな日曜日なのだが、今年はちょっと雰囲気が異なった。昨年まで大規模な記者発表会をしていたAppleとAvid Technologyが、出展しなくなったためだ。当然、日曜日の記者発表は行 われない。Autodeskも、現行バージョン投入から半年でメジャーバージョンアップをしたにもかかわらず、ラスベガスコンベンションセンターの記者発表会場で規定時間内のみ。Panasonicはすでに各ホール入口に壁面広告を掲出し、プレス発表前から何が出てくるのかが分かってしまう始末。どうも朝からテンポがつかめない1日ではあった。
やはり、サブプライム問題とガソリン価格の高騰は、ジワジワとボディブローのように効いているのかもしれない。タクシー天井に付けられた広告や、ドアに張られた広告の地味さを見ても、景気後退感が漂っているような……。昨年までフルカンファレンスやプレス関係者向けに配られていたバッグ類は影をひそめ、展示会のマテリアル類も少なめのような気がするが、気の迷いであってほしいと願わずにはいられない。
なにはともあれ、明日からはエキシビジョンが始まる。9.11の翌年のような悲壮感が漂うような状況であっても、何らかの新しいトレンドとなるものが出てくるのがNAB Showの特徴だ。期待したい。
会場周辺の様子
今日はとにかくソニー、パナソニック両陣営より様々な新製品が発売され、明日からの展示会の盛り上がりを予想させるプレスカンファレンスだった。会場がまだまだ閑散としているのも、今日まで。明日からラスベガスコンベンションセンターは熱気と興奮につつまれるはずだ。当然取材の忙しさも過熱するだろう。まだ静かなラスベガスの街を歩き、しばしの休息。