Apple、Avidのブースがない2008 NAB Showが開幕
大規模化する編集システムと処理の重いコーデックへの対応はいかに? 今年もまた、2008 NAB Show(全米放送機器展、主催・全米放送事業者協会)が、米ラスベガスで11日(現地時間)から始まった。
今年からカンファレンスデーの開催を1日早めて7日間とし(エキシビジョンは従来通り月曜からの4日間)、名称もNAB Showに変更(統一)された。
←動画は、12日夜にPalms-Moon Clubにて開催されたOmneonパーティ。夜にパーティーが多数催されることが、日本のInterBEEとの最大の違いといえる。
14日から始まるエキシビジョンは、会場内の雰囲気が大きく変わっているはずだ。20年前にノンリニア編集を実現し、ノンリニア編集の時代を牽引してきたAvid Technologyのブースも、10年前に低価格なノンリニア編集システムを投入し、制作現場のワークフローに合わせて進化させてきたAppleのブースも、今年はもう見られない。AvidとAppleが使用していたスペースは、ThomsonとQuantelが使用する。
制作ソリューションの老舗が陣取るフルデジタル制作のワークフローにおいては、もはやノンリニア編集システム単体では成立しえない。カメラ、編集、アセット管理、送出まで、一貫したワークフローの構築が必要であり、大音量のブースの展示会場ブースでソリューションの一部始終を紹介し切れなくなっていることも事実だろう。
さて、昨年はフラッシュメモリ記録カメラの発表が相次ぎ、今年はいよいよ実戦投入され始めた。民生機で花盛りなAVCHDコーデックを使用したプロ機材も出始める。H.264系のAVC-intra、AVCHDについては、どうしても処理が重たくなってしまうことは否めない。
マシン搭載CPUのマルチコア化、クロック速度での改善はもちろんだが、編集作業に使用できるハードウェア エンコード/デコードボードなどは 出てくるのだろうか。
今年に入って、次世代ハイビジョン再生環境はBlu-ray Discに軍配が上がった。これまではHD DVDとのシェア争いばかりがクロースアップし、オーサリング環境面は表立ったものは少なかった。決着がついたことで、今後はBlu-ray Disc制作環境も大きく進化していきそうだ。
ノンリニア編集30年に向けて、新たな10年の始まりの年にあたる2008 NAB Show。制作環境もまた大きく変わっていくに違いない。14日からの展示が見逃せなくなってきた。
本日開催されたプレスカンファレンスは多くはないが、その中でも2つを紹介しよう。
[Thomson]新型のデジタルメディアカムコーダーInfinity DMC 1000/20を発表
Thomsonは、12日にラスベガス市内のWynn Las Vegasで記者会見を行い、デジタルメディアカムコーダーの新バージョンであるInfinity DMC 1000/20を発表した。リムーバブルハードディスクREV PROの新バージョンREV PRO XPとREV PRO ERに対応した、リムーバブルメディア採用のカムコーダーであることが特徴。REV PRO XPはDV25転送の10倍にあたる約250Mbpsでのリアルタイム入出力に対応し、REV PRO ERは75MbpsのHD収録を90分以上可能な容量を実現している。
[Omneon Video Networks]WANを使用し、高速なファイル転送を実現するProCast CDNを発表
Omneon Video Networksは、12日にラスベガス市内のPalms Casino Resortで記者会見を行い、WAN回線を使用して高速なファイル転送を実現するProCast CDNを発表した。ProCast CDNを使用することにより、1時間分のDV25素材11GBを45Mbpsで接続して転送するのに、ロサンゼルス?ロンドン間で単純なFTP転送をした場合で69時間かかっていたものがProCast CDNでは33分に短縮し、450Mbpsで接続していれば3分になると報告。北京五輪では、米放送局のNBCがメディアサーバMediaDeck、アクティブストレージMediaGridとともに使用して効率化を図ることも明らかにした。Omneonは、その後ラスベガスの中でも高級ホテルであるPALMSに関係者を招き盛大なパーティーを開いた。40階にもかかわらず天井が開く仕組みのクラブラウンジBlueMoonで開催され、プレス発表会以上にソンリューションや製品の理解をするのに役立つところとなった。