デジタル技術が映画制作に与えるインパクトとは?

↑RED CINEMA社 テッド シュロビッツ氏インタビューテロップ入り動画はこちら

IMC TOKYO 2008で、以前の映画テレビ技術・プロダクション展を感じさせるコーナーが、社団法人日本映画テレビ技術協会、協同組合日本映画撮影監督協会のブースが設けられた「デジタル4シネマプロ」コーナーだ。

ただ、初心者向けの撮影技法の紹介や映画セットの出展、中古機材販売コーナーといったものがなくなってしまったこと残念だ。以前のように、初心者が映画撮影現場の雰囲気を味わえることはなくなり、単なる展示会になってしまった。

 

まだまだフィルム撮影をすることが多いとは言え、映画撮影においても、デジタル化の波は押し寄せている。昨年までは、ソニーや松下電器産業、池上通信機のHDカメラや、カメラ関連機材に関する出展もあったが、今年の出展はなし。デジタル放送サービスコーナーで放送局の出展はあるものの、イベント全体の傾向がインターネット系専門イベントであることが影響している。

そんな「デジタル4シネマプロ」コーナーではあったが、収録機材面で着実に定着し始めたのがRED Digital Cinemaの4KデジタルシネマカメラRED ONEだ。今年のNAB Showでは あちこちのブースで展示されたRED ONEだが、日本でも認知は進んできているようだ。

2日目夕方に、「デジタル4シネマプロ」コーナーの特別講演として、国際会議場2階コンベンションホールで、RED Digital Cinemaのテッド・シュロビッツ代表が、NAB Showのブースで公開したRED ONEを使用した最新映像を上映すると共に、同社の取り組みを話した。聴講予約だけでコンベンションホールが満席になるほど参加者がつめかけ、RED Digital Cinemaの取り組みに対する注目度を表していた。

日本でも4Kデジタルシネマ撮影の扉は確実に開かれた。映画撮影においても、これまでのフィルムカメラ撮影からテレシネへというワークフローが、デジタル収録からストレージへとデータ移行するワークフローへと変化していくことになる。カメラ内である程度の画像処理を行ってから出力しているこれまでのHDカメラとは違い、収録イメージをそのまま記録するRAWファイルを扱うRED ONEのワークフロー は、デジタル化されたフィルムを扱うのに等しい。

スチルデジタルカメラのRAWファイル現像処理と同様に、カラーグレーディングなどの現像処理が必要だ。そのワークフローは、まだまだ改善、効率化する部分も多いだろうが、映画だけでなくCMなどの分野においても、いよいよHD化への動きが加速していきそうだ。

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