朋栄のメディアマネジメント・ソリューションであるMediaConciergeは、複数のシステムとソフトウェアを組み合わせた、自由度の高い構成となっている。そのため、メディアマネジメントという全体像はつかめても、ワークフローへの活用はケースバイケースで異なってくる。今回は、次世代のワークフローの課題部分であるリニア/ノンリニア編集との連携部分と、メタ情報管理、アーカイブについて、朋栄 営業本部企画室の福島 実 室長に聞いた。
──各社のノンリニア製品がファイルベースワークフローに対応してきていますが、各社のカメラMXFコーデックをノンリニア製品を使わずにダイレクトにインジェストすることは可能なのですか?
福島 実 氏(以下、福島)「はい、現状ではソニーのXDCAMと、パナソニックのP2フォーマットのダイレクトインジェストが可能です。それぞれのドライブやリーダーをUSB接続することで直接インジェストできますし、ネットワーク経由でのインジェストにも対応しています。今後も対応フォーマットを随時追加していく予定です」
──各社のノンリニア製品のメタ情報の取り扱いについてはさまざま。そうした各社の編集ワークフローにおけるメタ情報を利用しながら、さらに効率的に活用するためのメタ情報コンバータを開発するような取り組みはしているのですか? 各社のメタ情報が取り出せるように働きかけを行わなくてはならないかもしれませんが。
福島「メタデータは、運用用途によってさまざまな組み合わせが必要になるものと想定しており、一度、独自のデータベースに取り込んだうえでコンバートする仕組みを考えております。主要ノンリニアメーカーとの協力は不可欠ですが、対応していかなければならない課題だと考えています」
──ファイルベースワークフローでは、増え続ける素材管理にアーカイブについても不可欠になります。現在、MediaConciergeはBlu-rayアーカイブに対応しているようですが、Blu-rayドライブを使用してアーカイブした素材からリストアするための検索機能はどうなっていますか?
福島「我々はアーカイブ素材から必要な素材を取り出すことをリトリーブと呼び、データを復旧することをリストアと呼んでいます。Blu-rayドライブ/ディスクは、このリトリーブ用途に適していると考えております。検索、プロキシ閲覧の際に保管場所などを含むディスクの情報を表示し、バーコード(ディスクへの印刷)及び独自の認識コードにてディスクを特定、必要な素材をリトリーブするといった仕様です。Blu-rayディスクによるバックアップ、リストアや自動化については、アサカ製TeraCartを用いてディスクの自動交換を実現します」
──放送局やプロダクションでもアーカイブの方向性は、DATとBlu-rayのほか、HDD単体保存なども含めて意見が分かれているように見えます。朋栄としては、アーカイブについてはIT系機器へという方針のようですが、今後はサーバ系バックアップで主流のDAT(磁気テープカートリッジ)にも対応していくということですか?
福島「リトリーブにはBlu-ray、フルバックアップにはテープメディアが適していると考えています。テープメディアとしては、DATよりも大容量化の進歩が著しいLTO(Linear Tape-Open)に注目しています。リトリーブ用途ではランダムアクセスが必要とされるため、Blu-rayのメリットが活かせます。反面、記憶容量とメディア容積、コストを考慮すると、現状ではLTOに勝るメディアはないと考えており、メディアの特長を活かしながら用途に合わせて最適と考える提案を行って参ります」
──既存のリニア環境も含めてファイルベース化できるMediaConciergeは、ファイルベースワークフロー移行期の現在、重要な位置づけになると捉えています。ベースバンド信号をMXFファイルへと変換する場合に、必要なメタ情報を追加するのは、変換する段階でできるのですか、それとも変換後に改めて追加しなければならないのですか?
福島「基本的にはビデオ、オーディオのエッセンスデータに直接関わる変換は変換中に追加します。メタデータの入力はインジェスト時に入力することも可能ですが、インジェスト後の追加、編集も可能なため、運用に沿った入力環境を構築することができます」
──最後に検討している人に向けて一言。
福島「朋栄ではMediaConciergeをキーワードとして、中核となる管理ソフトウェア、ファイル変換ツール、送出ツール、アーカイブツールなど、テープレス時代に最適な各種ソリューションを提供していきます。来るべきテープレス時代のコンテンンツ管理は既存のワークフローによってもさまざまな方法があります。方向性を見出す専属のコンシェルジュが必要なときは、ぜひご相談ください」
(インタビュー:秋山謙一)