カメラライトとしてのLED光源は消費電力が少なく、発熱もほとんどないことから近年各社からさまざまなタイプの製品が発売されている。また、LED単体では光量が不足しがちだったため、それを補うためと照射角を広くとるために多数のLEDを搭載した製品が多かったが、良質なパワーLEDが開発され、色温度も当初開発された白色だけでなく電球色のものも登場している。今回は色温度が3800KのL-5010と6000KのD-L5000を取り上げる。
様々な電源に対応
電源は灯体の背中部分におんぶするような格好で小型ビデオカメラで使われている7.2V系のバッテリーを使用するようになっている。ソニー製のLシリーズ(NP-F970)やパナソニック製のバッテリー(VBD-55など)を使用することができる。ただし、ソニーかパナソニックかは購入時指定となっており、後で変更することはできない。本体正面には外部電源用のコネクターが装備されており、オプションのケーブルにより、パワータップによる電源供給やBPまたはVマウントタイプの12V系バッテリーにも対応可能となっている。
電源は本体の背中に小型カメラ用バッテリーを装着。ソニーとパナソニック用がある |
本体の前面下部にコネクターが装備、オプションで、パワータップやBP、Vマウントタイプのバッテリーを使用できる |
ライト用に専用バッテリーを用意しなくても現在使用しているカメラバッテリーを流用できるのは、非常にありがたい。電源は7~17Vに対応するように設計されており、いずれの電源を選択しても光量に差はないので、内部に電源回路が組み込まれているようである。
また、1~100%までディマー調節ができるようになっており、撮影時の環境光との光量バランスが容易に行える。もちろん、タングステンのような調光による色温度の変化はない。照度は、高輝度のLEDを5つ搭載することで500 lxの照度を実現している。
点灯中のライトの状態 D-L5010 | D-L5000 |
いよいよ試用してみる
カメラへの装着はアクセサリーシューを利用して行うが、今回使用したカメラがソニーのHVR-Z5Jだったため、かなり前方へライトが付く格好となってしまった。ライトの質量は実測でバッテリーを含めると700g以下だが、バランス的にはかなり前側になってしまう。肩乗せ式のENGカメラであれば、カメラ自身の質量もあり、アクセサリーシューの位置もレンズの付け根あたりで、ちょうど良い。
カメラがソニーのHVR-Z5Jだったため、かなり前方へライトが付く格好となってしまった |
HVR-Z5Jの場合アクセサリーシューは、LCD部分にあり、LCDを開閉するときにはライトを外す必要がある |
また、比較的新しいカメラであれば、バッテリー装着部分にパワータップが装備されており、電源もそこから供給することが可能なので、別途ライト用にバッテリーを装着しなくてもよい。ちなみに、バッテリーなしのライト単体の質量は約400gほどである。なお、カメラの機種によっては、録画スタート/ストップに連動してパワータップに接続したライトもON/OFFすることもできる。
このクラスのカメラの中には、アクセサリーシューにネジ穴が装備されているものもあるが、ライトのシュー部分のアタッチメントをはずすことにより、ネジ込み装着が可能になっている。このネジを利用して別売のグリップを装着すると手持ちのライトとしても利用できる。照度は約1mのところで実測したところ、600 lxほどの明るさであった。
小型カメラアクセサリーシューに装着できるほか、ねじ込み式のアクセサリーシューに装着可能。なお、ハンドグリップ使用で、ハンドライトにもなる |
ライト部分は上下に3°ほど角度を調節可能。長時間点灯すると金属でできたライト部分が暖かくなる |
照射角はLEDライトの場合狭いことが多いのだが、L-5010はタングステンタイプのこのクラスの照明器具とほとんど変わりない照射角となっており、照射範囲内の輝度ムラもほとんどなかった。
LEDが組み込まれている灯体部分は金属製でできており、パワーLEDからの放熱器の役割を兼ねているようで、長時間の点灯では熱をもつが、タングステンライトほどではなく、少し暖かくなる程度である。また、この部分は上下にティルトできるようになっているが、その角度はわずかなので、レンズの画角と被写体までの距離を補正する程度と考えてよいだろう。
バーンドアは樹脂製で、たたむとコンパクトになる点は良いのだが、たたむ順序があるので注意したい。なお、L-5010は、バーンドアと拡散フィルターの組み合わせとなっており、色温度が6000KのD-L5000には、アンバー系のフィルターも装備されており、室内などタングステン照明下でも違和感のない補助光源となる。
拡散フィルター(L-5010) |
アンバー系のフィルター(D-L5000) |
白色LEDを採用したライトは、LEDの構造上青と黄色成分に山があり、赤の成分はほとんどないものが多かったが、D-L5000、L-5010ともに演色性の良いLEDが採用されているようで、光スペクトルアナライザーで測った分光特性はかなり優秀なものであった。
L-5010/D-L5000の主な仕様
LEDライトは照射角が狭いものが多いが、このライトはかなり広い範囲をカバーしている(左:D-L5010) |
光量もかなりあり、直視するとまぶしいほどだ(右:D-L5000) |
約1mのところでフィルターなしD-L5010の照度を計測 |
約1mのところでフィルターなしD-L5000の照度を計測 |
分光曲線(色温度3800KのL-5010) |
分光曲線(色温度6000KのD-L5000) |
- 電源:DC7~12V約12W(ソニーLシリーズまたはパナソニックの7.2V系小型ビデオカメラ用バッテリー、オプションによりパワータップ、BP-90タイプ、Vマウントタイプのバッテリーにも対応可能)
- 色温度:3800K(L-5010)、6000K(L-5000)
- 光量:500 lx
- 外形寸法:幅138×高さ108×奥行60㎜
- 質量:約500g(本体のみ、バッテリー含まず)
- 価格(税込):¥52,500-( 専用バッグ付き、バッテリー含まず)、¥6,300-(バーンドア)、¥2,100(手持ちグリップ)、¥7,350(ミニ三脚型グリップ)