カメラに装着して使用する小型ライトは、タングステンランプを使用したものからLEDを使用したものへほとんどが移行している。LEDの低消費電力と発熱しないといった利便性のほか、色温度がタングステンタイプのものも製品化されたのも大きな理由であろう。 現在では、パネル型のものから従来型のものなど様々な形態のものが商品化され、選択に悩むほどである。

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一回り大きさが異なる以外は一見した外観はほとんど同じデザインだ


今回最後に取り上げるLitepanels MicroとLitepanels Micro Proは、LEDライトが業務用として使われだした初期からLED照明を開発していたLitepanels社の製品で小型カメラ用に設計されたもので、完全な業務用として作られたMiniPlusというモデルをより一般的にしたものがLitepanels MicroとLitepanels Micro Proというモデルといえるだろう。

Litepanels Micro/Proの特長・機能

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Litepanels Micro は、48個(8×6)の白色LED

Litepanels Microの電源は単三電池4本。5~12Vの外部電源に対応

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Litepanels MicroProには、96個(12×8)の白色LED

Litepanels MicroProの電源は単三電池6本、5~16Vの外部電源に対応

Litepanels Microは、48個(8×6)の白色LEDが並んでおり、Litepanels Micro Proはちょうど倍の96個(12×8)のLEDが並んでいる。いずれもサイズが異なるだけでほぼ同じデザインで、ディマーにより0~100%までの調光が可能となっている。ただ、電源はLitepanels Microは 4本、Litepanels Micro Proは6本の単三乾電池が本体内に挿入できるようになっており、オプションでACアダプターが用意されている。背面のDC入力コネクターにより外部電源を使用することもできるようになっているが、Litepanels Micro には5~12Vの表示があり、そのとおりだとすると一般に業務用で使われている12V系のバッテリーは使用できないことになる。Litepanels Micro Proは5~16Vと表示されているので、ケーブルを工夫すれば使用可能だろう。

本国のWebページにも業務用のバッテリーアダプターなどのオプション表記はなく、その代わり小型ビデオカメラ用のバッテリーアダプターが用意されている。これは、本体の大きさや消費電力、使用するユーザーなどを考えると納得できる仕様といえる。Litepanels Microの質量は本体のみで約110g、バッテリー込みでも200gほどしかないので小型ビデオカメラへ装着してもそれほど負担にならないだろう。Litepanels Micro Proの方は一回り大きく、電源も単三電池6本なので、多少重量があり400gほどの質量だ。なお、Litepanels Microの方は、小型ビデオカメラだけでなく、デジカメで動画撮影する場合の照明としての使用も想定されている。

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フィルターの装着は本体左右の枠に差し込む方式

3200Kタングステン変換フィルター、4700Kアンバーフィルター、ディフューザーが付属

いずれのモデルも装着方法やサイズが異なるが、本体以外に3200Kタングステン変換フィルターや4700Kアンバーフィルター、ディフューザーが同梱されている。4700Kアンバーフィルターは、TIFFENのWARM系のフィルターのように肌色などに温かみを持たせるフィルターで、肌色に温かみを持たせ、健康的な肌色に映るようにするためのようで、光量が落ちるが、影が目立たないようにディフューザーとの併用も有効と思われる。

小型・軽量で手軽に使える

Litepanels Microは、石鹸箱ほどの大きさで補助光として使用するには手ごろな光量をもっている。ディマーも装備されているので、撮影場所の環境光とのバランスをとることも間単に行うことが可能だ。HVR-Z5Jに取り付けて使用したが、手ごろな大きさで、取り回しにそれほど不都合はなかった。

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Litepanels MicroをHVR-Z5Jに装着。手ごろな大きさで、取り回しにそれほど不都合はない

三脚使用を前提とすれば、HVR-Z5JクラスでもLitepanels Micro Pro装着も問題ない

一方Litepanels Micro Proは、Litepanels Microより一回り大きいので、HVR-Z5Jクラスの小型ビデオカメラに装着するには少々荷が重いようだが、三脚使用を前提とすれば問題ないだろう。いずれも、ライトの電源は、ディマーの調節ノブと兼用になっており、回していくとスイッチが入りLEDが徐々に明るくなっていくのだが、半分を過ぎないとLEDが点灯しない。0~100%までの調光は150°ほどの回転角で行うことになる。スイッチと兼用になっているせいか、ACアダプターなど乾電池以外の電源を使用した場合を考慮してかは不明だが、不感帯があるのはもったいない気がする。

ライト本体はティルトすることができるようになっており、被写体までの距離やその場の状況に応じて調節することができるようになっている。ティルトロックのネジがあるが、ある程度絞めておけば、角度を変えるごとに絞めなおす必要はなさそうだ。カメラに装着するシューも含め、樹脂製なのは耐久性の面でちょっと不安ではあるが、本体が軽量なので、ぶつけたりしない限り強度的に通常の使い方では問題ないと思う。Litepanels Micro Proはボールヘッド型のスイーベル雲台が付属しているので、Litepanels Microより角度調節の自由度が高い。

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付属のスイーベル雲台を使ってカメラなどに装着。ボールヘッドなので、自由な角度調節が可能

Litepanels MicroProの電源スイッチを兼ねたディマーノブ

なお、バーンドアは付属していないが、LEDの指向性を考えると特に必要はないという判断であろう。正面から見ると眩しいほどだが、斜め方向にはランプが点灯しているのはわかるがほとんど光は漏れていない。

色温度は5600Kとなっており、デーライトの色温度だ。室内などタングステン照明の場合は、付属の変換フィルターにより、光量は落ちるが色温度を3200Kにすることができる。Litepanels Microのフィルター枠は、跳ね上げ式の枠に装着するようになっており、必要のないときは跳ね上げておくことが可能だ。フィルターの着脱も容易で使い勝手は良い。Litepanels Micro Proは左右の溝にフィルターを差し込むようになっており、使用しないフィルターは本体裏面に収納できるようになっている。

カメラライトというと最近ではパワーLEDを採用した製品が多いが、Litepanels社はいまのところ社名のとおり、LEDを多数並べたパネル型の製品をラインアップしている。パネル型の利点は直視してもそれほど眩しくなく、比較的均一でソフトな光源となるが、反面光源の面積が必要になるという欠点があるもののLitepanels Microは、小型・軽量化をうまく実現しており、小型ビデオカメラだけでなく、デジタルカメラの照明や仕込み照明などアイディアしだいで様々な使い方が可能だ。電源も汎用の単三乾電池が使用できるので、カメラバックに常時入れておいてもいざというときにすぐに使うことができるだろう。

Litepanels Microの主な仕様

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約1mでの配光特性

フィルターなしLitepanels Microの明るさ

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分光曲線(4700Kアンバーフィルター)

分光曲線(3200Kタングステン変換フィルター)


▲380~880nmまでを光スペクトラムアナライザーでスキャンしたグラフで、1目盛りは50nm
  • 外形寸法:幅97×高さ70×奥行38mm
  • 重量:110g(本体のみ)
  • 電源:単三電池4本または充電地(6V3W)
  • 色温度:5600K 昼光色
  • 連続照射時間:1時間半
  • 付属品 : 単三電池4本(本体に内蔵)、フリップダウン式フィルターホルダー、フィルター(3200Kタングステン変換フィルター、4700Kアンバーフィルター、ディフューザー)
  • 希望小売価格 : ¥40,950(税込)

Litepanels Micro Proの主な仕様

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約1mでの配光特性

フィルターなしLitepanels MicroPROの明るさ

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分光曲線(4700Kアンバーフィルター)

分光曲線(3200Kタングステン変換フィルター)


▲380~880nmまでを光スペクトラムアナライザーでスキャンしたグラフで、1目盛りは50nm
  • 外形寸法:幅139×高さ97×奥行41mm
  • 重量:260g(本体のみ)
  • 電源:単三電池6本または充電地(6V9W)
  • 色温度:5600K
  • 連続照射時間:1時間半
  • 付属品 : 単三電池6本(本体に内蔵)、スイーベル雲台、フィルター(3200Kタングステン変換フィルター、4700Kアンバーフィルター、ディフューザー)
  • 希望小売価格 : ¥69,930(税込)

問い合わせ先:ボーゲンイメージング株式会社 03(3405)6521

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