PRONRES AWARD 2009 大賞受賞製品発表

今年9月に開催されたDVEXPOでは、Liam Finn氏は、「Big Movie, Little Camera」と掲げている。もちろん話の中心はいまやDSLRの最右翼となっているキヤノン5DmarkⅡ。この小さな一眼レフカメラが及ぼした影響は映像制作者たちにとっても絶大であり、35mmフルイメージャーが実現する、安価で美しい映像の魅力に取りつかれた人々が多いことは言うまでもない。このデジタル一眼は、現場に新しいワークフローを求め、それを乗り越える物を模索する1年だったように思える。この点からも映像業界に大きな影響を与えたキヤノン5DmarkⅡに栄えある第1回目のPRONEWSAWARD 大賞を贈りたい。

PRONEWS AWARD
大賞
EOS 5D Mark II

キヤノン

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キヤノンが初めて動画収録機能を搭載したデジタル一眼カメラ。約36mm×24mmサイズのイメージセンサーは、これまでの35mmフィルムキャメラのフレームサイズを凌ぐ。この広い撮像面積と、明るい開放F値を持つ豊富なEOS交換レンズを組み合わせることにより、誰もが手軽に被写界深度の極めて浅いシーンを撮影することが可能になった。動画用カメラとしては荒削りな部分はあり、オールマイティには使用できないこともあるが、『デジタル一眼フルHDムービーここにあり!』と高らかに宣言し、コンシューマからプロフェッショナルまで、カメラ機材から編集ワークフローまで、幅広く影響を与え続けた。

新たな制作ワークフローへの試行錯誤を続けた1年

では、少しそんな2009年の映像業界を振り返って見ようと思う。。一昨年から昨年前半にかけて話題をかっさらっていったのはRED ONEであった。「4K」「デジタルシネマ」といったキーワードは、映像業界を越えて、一般の人にとっても身近になるきっかけを作った。RED ONEが連続した静止画という思想で作られていたことから、大きな影響を受けたのがデジタル一眼カメラ市場だ。デジタル一眼カメラの大きなセンサーを使用して動画収録できれば…というフィードバックは、無事に2008年後半に、ニコンD90、キヤノンEOS 5D Mark IIとして相次いで発売され実現された。

こうして2009年は、デジタル一眼ムービー元年となる年となった。35mmフルサイズのセンサーでフルHD収録できるEOS 5D Mark IIは制作利用が進み、コンシューマ向けにはフォーサーズやマイクロフォーサーズだけでなくコンパクトデジタルカメラまでAVCHDやAVCHD LiteでHD収録が可能になり始めている。カメラ環境が変わると、制作環境も進化を求められる。2009年も引き続きファイルベース化に向けた取り組みが課題になっていたが、そもそもファイルベース以外ありえないデジタル一眼HDムービーが定着したことで、編集環境の整備は急務といえる。

EOS 5D Mark IIがプロ市場で利用されるようになってあぶり出されてきたのは、30p素材の扱いだ。ドロップフレームのないコーデックでの制作にとまどった人も多いだろう。トムソン・カノープスが11月に発売したEDIUS Neo 2 Boosterは、各社のデジタル一眼に対応してきた。ニコンのMotion JPEGやキヤノンのH.264+リニアPCMはもちろん、AVCHDやAVCHD Liteまで、インタレース/プログレッシブ、ドロップフレームの有無を問わずタイムラインに混在できるようになった。ソニークリエイティブのVegas Pro 9は、もともとの成り立ちがさまざまなビットレートを扱う楽曲制作ソフトであったために、デジタル一眼HDムービー登場以前から、映像として読み込み可能なコーデックであればドロップフレームの有無に関わらず実時間を優先して変換する方法を採ってきていた。こうしたEDIUS Neo 2 BoosterやVegas Pro 9のような設計思想は、来年以降、業務用ノンリニア製品にも波及していくに違いない。

収録用サポート用デバイスとして登場したAJA Video SystemsのKi Proも、新制作ワークフロー構築に一石を投じた。これまで、収録から編集に移る段階では、ビデオキャプチャやトランスコードが不可欠だった。その時間を節約するために、ノンリニア編集システムはカメラコーデックをネイティブに扱う方向で取り組みが進められてきた。Ki Proは、カメラのベースバンド信号出力を、アップルFinal Cut Studioで使われる制作用コーデックProResでリアルタイムに記録する。収録後にビデオキャプチャやトランスコードをすることなく編集に移れるという点で、ワークフローの効率化が進められたと言える。

新たなカメラや収録サポート製品の登場もあって2009年の1年は、新たな制作ワークフロー確立に向けた試行錯誤が続けられた年であった。さて来年2010年は、映像業界に何が起こるのか?楽しみになところでもある。また来年のこの時期に映像業界を振り返りたいと思っている。

PRONEWS 編集部

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